
ADHDに役立つ忘れ物対策
ADHDの特性を持つ人々にとって、忘れ物は日常的な課題の一つです。忘れ物問題に対する効果的な対策をすることは、生活の質を向上させる上で非常に重要です。
忘れ物の原因には、注意力の欠如、衝動性、短期記憶の問題などがあります。特性に対応するためは、視覚的サポートの活用、ルーティンの確立、環境整備などの具体的な対策が効果的です。
対策を日常生活に取り入れることで、忘れ物の頻度を減らし、自信を持って生活を送ることができます。
本日は、ADHDの忘れ物対策についてご紹介します。
そもそもなぜ忘れ物をしてしまうのか
ADHDの人が忘れ物をしやすい主な理由は、脳の機能の特性にあります。ADHDでは、注意力の制御や短期記憶(ワーキングメモリ)の処理に課題があります。
特に不注意の特性が強い場合は、一つのことに集中し続けることが難しく、必要な情報を適切に記憶し、必要なタイミングで思い出すことが困難になります。衝動性や多動性の特性でも、現在の課題から注意がそれやすく、物事を忘れてしまうことがあります。
ADHDの人は、特に短期的な情報の保持や処理を行うワーキングメモリの機能が弱いことが指摘されています。持ち物のリストを覚えていても、実際に準備する段階で一部を忘れてしまうこともあります。
さらに物事を順序立てて考えることや、計画的に行動することが苦手な傾向があります。
いくつかの要因が複合的に作用し、日常生活における忘れ物や失くし物の頻度が高くなります。

子供が忘れ物をしたけど、𠮟るときの注意点
ADHDの子供が忘れ物をした際に叱る場合は、まず、叱責よりも理解と支援を優先しましょう。特性により、忘れ物は意図的ではなく、注意力の欠如や短期記憶の問題が原因であることを認識します。
叱るのではなく、子供と一緒に忘れ物の原因を探り、対策を考える姿勢が効果的です。
さらに具体的で建設的なフィードバックをしてあげましょう。「なぜ忘れたの?」ではなく、「次はどうすれば忘れないかな?」といった前向きな質問をします。小さな成功を褒め、自信を持たせることが大切です。
一貫性のある対応と忍耐が必要で、改善には時間がかかるため、長期的な視点で子供の成長を見守り、継続的にサポートします。

効果的な忘れ物対策とは
いくつかの対策を組み合わせ、相手に合った方法を見つけてあげることが重要です。忘れ物を完全になくすことは難しいため、「少なくする」という考え方で取り組むことも大切です。
ADHDの特性を理解し、適切な対策を講じることで、忘れ物の頻度を減らし、日常生活をより円滑に送ることができるようになります。
①視覚的サポートを活用する
チェックリストの作成
持ち物や日常的なタスクを書き出し、視覚化する
朝の準備や学校からの帰宅時など、特定の時間帯用のリストを作成する
ルーティンチェック表の使用
日常行動を細かく分解し、各ステップをチェックできるようにする
例:朝の準備→洗顔→朝食→持ち物確認→電気スイッチオフ
視覚的な手がかりの設置
ドアや鏡に持ち物リストを貼る
ランドセルに持ち物カードを付ける
②定位置に置くなど、環境の整備をする
定位置の設定
鍵、財布、メガネなど、よく使う物の置き場所を決める
学校のプリントはランドセルの特定のポケットに入れるなど、ルールを作る
整理整頓の習慣化
物の置き場所を明確にし、常に整理された状態を保つ

③習慣づけとルーティン化をおこなう
定期的な確認時間の設定
毎日同じ時間に持ち物を確認する習慣をつける
学校から帰る前に持ち帰るものを点検する
準備時間の確保
出発前に十分な準備時間を設ける
同じカバンの使用
外出時は常に同じカバンを使用し、必要なものを入れておく
④周りのサポート体制の構築
家族の協力
子どもの場合、保護者と一緒に持ち物を確認する
大人の場合も、パートナーや家族にサポートを求める
成功体験の積み重ね
小さな成功を褒め、自信をつけさせる
完璧を目指すのではなく、少しずつ改善することを目標にすること
