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With/Afterコロナで、大手鉄道会社は○○の事業に取り組むべきではないのか?〜ドリルよりも人は穴を欲しているのであれば〜

こんにちは、しかたです。普段はフリーランスとか複業とか、Webとか映像のことについて書いているんですが、ちょっと今回思うところがあったので、ビジネス的なことを書いてみます

コロナ禍で、鉄道会社が軒並み業績不振に

私は生粋の鉄道マニアです。よく「乗り鉄ですか、撮り鉄ですか」と聞かれるのですが、まあどちらかといえば乗り鉄でしょうか。

そんな私なので、近年のコロナ禍で、鉄道会社が業績不振と聞くと、残念な気持ちになってしまいます。致し方ないのですけどね。

そんな中、JR東日本は新幹線車内でのリモートワークを推奨する実証実験を行いました。

これを聞いて、私は「なんか違うなあ、これじゃないんだよなあ」感が否めませんでした。

自動車メーカーが自動車を作る以外のことをする時代

10年ほど前の話です。私はとある中部地方で行われた異業種交流会に出席していました。

その会で行われたグループディスカッションで、トヨタ系の会社から来られた方が

「トヨタは車を作っているわけだが、高齢化や限界集落の問題で、車に乗れずに買い物へ行けない弱者が増えてくる。車に乗れない人たちをどうすべきか、そのために自動運転車について取り組んでいるが、他に何かいいアイデアはないだろうか」

というような問いかけがありました。すると、別の方が、

「車の問題を車で解決するのもいいけど、発想の転換をしてもいいですよね。買い物弱者が問題なのだったら、トヨタが移動販売車で限界集落に日用品を売りに行ったらいい。社会問題を解決するっていうのなら、そっちの方が近道ですよ」

みたいなことをおっしゃったんですね。トヨタ系の人は目から鱗が落ちたような感じで感心されていたのが印象的でした。

私も結構感心した方なのですが、結局これって、ドリルを買う人はドリルが欲しいのではなくて、穴を開けたいだけだ、みたいな話あるじゃないですか。それと一緒じゃないかと思うんですよ。

鉄道が運んでいたのは、人や貨物。でも、それって実際のところどこまで本質的なのか?

さて、鉄道会社のコロナ禍における業績不振の問題に立ち返ると、鉄道が運んでいたのは一体何だったんだろうねぇ、ということを思わされるに至りました。

まずは平日のラッシュ時は通勤通学ですよね。ビジネスと教育を受ける人たちがメインです。平日の日中は、買い物や所用のほか、商談のために移動するビジネスパーソンなので、プライベートとビジネスが半々といったところでしょうか。そして休日はプライベートが主ですよね。買い物や行楽です。

鉄道は人や貨物を運んでいるわけですが、実際のところはその運んでいる人にはそれぞれ目的があって移動していて、貨物については、運ぶ必要があるから運ばれていると。

結局、乗り鉄みたいな「乗るのが目的」みたいな人は一握りで、大多数の人は目的があって移動している、目的があって物を運んでもらっているわけです。ドリルの話で言うところの、穴が目的なんですよね。

鉄道会社がWith/Afterコロナで取り組むべき事業とは?

となってくると、ドリルの話で言うところの穴を、鉄道会社が提供するのであれば、ビジネスや教育のチャンスを在宅でできることを提供するしかないんですよ。

提供するサービス①:ITツール

例えば、ZoomやTeamsみたいなビジネスチャット。Google Workspaceみたいな、ビジネス目的のクラウドソフトウェア。こういったものを鉄道の代わりに提供する。これまではみんな電車に乗って会社に行って、そこで仕事していたのを、代わりにオンラインでしなくちゃならなくなったわけです。同じ価値(穴)を提供するのであれば、電車に乗って会社に行くわけでなくても同じことができる価値(穴)を提供すればいいわけです。

まあもっとも、今からGAFAが提供するようなITサービスを作れというのは無理かもしれませんが、それでも日本初のビジネスITツールといえば、ChatworkとかBacklogとかあるわけで、鉄道会社もそういう方面に挑戦してくれたら面白いんじゃないかなあ、と思います。

あとは営業支援サービスとか。電車に乗って各エリアを飛び込み営業する、みたいな会社っていまだにあると思うんですよ。でも、コロナ禍だから飛び込み営業できないし、電車にも乗ってもらえない… なら、ビジネスマッチングサービスとか、営業代行とか、そういうことを鉄道会社がやってもいいですよね。

提供するサービス②:オンラインの私立学校

鉄道会社は通勤通学の定期券の売り上げが大きな安定収入だったわけですが、特に通学定期券の減収を補うのであれば、同じこと(穴)で売り上げを作るのがいいのではないでしょうか。

既にBeforeコロナの時点で、角川がN高等学校というオンラインの学校を実現しましたが、鉄道会社は今からでもこの方式で教育事業に参入するんです。学校が無理なら、学習塾でもいいと思います。大学や専門学校を作れるのであれば、その卒業生から自社の新入社員を優先的に採用するようにすれば「鉄道会社に就職有利」ということで受験志望者を集めやすくなるはずです。

繰り返しになりますが、通学定期で学校や学習塾に通っている学生は、電車に乗るために定期券を買っているわけではありません。電車に乗って教育を受ける(ドリルの穴に相当)のが目的な訳です。電車に乗れなくて教育を受けられないのであれば、それを鉄道会社が提供してあげてもいいと思うんですよね。

トヨタは車の次に街を作ろうとしている。鉄道会社はどうだ?

さて、いち鉄道マニアが2つの提言をしてみたわけですが、どこまで届くかはわかりません。

でも、本当に顧客に価値を提供したいなら、業態を変更することも視野に入れないと、ですよね。昔は球団を持って、その輸送に鉄道を使ってもらうとか、今でも沿線に住宅を開発して、通勤通学に使ってもらおうとしたじゃないですか。でも、その常識はおそらくもう通用しない。

トヨタが富士山麓にスマートシティを作っていますが、そういう意味では鉄道会社の街づくり的な文脈を後追いしているかもしれない。でも、トヨタはトヨタで、車を所有してもらう、所有することに価値を見出してもらう、みたいな価値観ではもうやっていけないと気づいたから、そのさらに先にある価値を創造しようとしているんですよね。それがスマートシティだと。

鉄道会社もスマートシティに取り組むってのもいいですけど、もっと手前の段階で「ドリルの穴」的思考で考えたら、やっぱりビジネス支援と教育なんじゃないかと思うんですよね。

そしたら、首都圏の列車、そう、東海道線なんか15両もの長大編成で走ってるじゃないですか。あれ、ラッシュ時に10両、日中なら8両とかで済むと思うんです。そしたら電気代も削減できるし、エコですよね。

線路を敷いて、そこに車両を走らせる、って発想自体が19世紀のものなので、その発想自体をアップデートしてもいいと思うんですよ、そろそろね。鉄道マニアとしては、少し寂しいですけど。

でもやっぱり鉄道会社というかインフラ企業は、人々の生活を支えるのがミッションだと思うので、是非ともWith/Afterコロナの社会を支えるには、どういう事業が良いのか、ってことを、これからの鉄道会社には考えてもらえたらな、って思ってます。

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