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セッション定番曲その139:Tenderly

ジャズバラードのスタンダード曲。メロディがキレイで、これもバラードとしては短めなので、セッション向きです。実はゆっくりとしたラテンアレンジでもいけます。
(歌詞は最下段に掲載)

和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。


ポイント1:Nat King Cole

たぶん一番有名な歌唱。包容力というか安心感が半端ないですね。声の説得力が半端ないです。

ポイント6と7で歌詞の内容と発音について解説しますが、やはりこの人をお手本として聴いておけば大丈夫です。

ポイント2:Ben Webster

1954年録音、テナーサックスで吹くバラードってやっぱりいいですね。音色だけでうっとりしてしまいます。ジャズの王道。夕暮れ時に聴きたい。


ポイント3:Bill Evans Trio

1959年録音、もともとは三拍子の曲だったというのを感じさせますね。


ポイント4:Mongo Santamaria

1964年録音、意外なことにラテンアレンジが見事にハマっています。こんな曲で踊るのもいいですね。


ポイント5:Eric Dolphy, Booker Little

1962年録音、心がザワついた時はとにかく座ってドルフィーを聴きましょう。心の襞の深い所に刺さります。


ポイント6:Tenderly

The evening breeze caressed the trees tenderly
The trembling trees embraced the breeze tenderly
Then you and I came wandering by
And lost in a sigh were we

「tenderly」は「優しく、柔らかく、そっと」という副詞。
最初の2行は情景描写ですが、当然、主人公の心の動きも表しています。「wandering by」は、上記の風景の見える場所に2人でやってきた、と。

「lost in a sigh」は「2人ともため息をつくばかり」という感じでしょうか。
この「sigh」が大事で、上記の「木や風が揺れて起きる音」の形容にも使われますし、日本語で「ため息」というと「がっかり感」ばかりの感じですが、「sigh」には懐かしさや愛しさで思わず漏れる「吐息」みたいなニュアンスもあります。

この2人は深く愛し合っていて、見るもの全てが愛に溢れているみたいに見えているのかもしれません。

The shore was kissed by sea and mist tenderly
I can't forget how two hearts met breathlessly
Your arms opened wide and closed me inside
You took my lips you took my love so tenderly

愛の描写は続きます。
「Your arms opened wide」→「and closed me inside」
両腕に抱き抱えられているのが分かりますね。

ポイント7:発音のポイント

「caressed」の発音はちょっと難しくてhttps://ja.bab.la/%E7%99%BA%E9%9F%B3/%E8%8B%B1%E8%AA%9E/caressed

「embraced」は
https://ja.bab.la/%E7%99%BA%E9%9F%B3/%E8%8B%B1%E8%AA%9E/embraced

「trembling」「wandering」もスムースに発音出来るように練習しましょう。

「tenderly」も「R」音と「L」音が続くので舌が忙しいです。
https://ja.bab.la/%E7%99%BA%E9%9F%B3/%E8%8B%B1%E8%AA%9E/tenderly

「breathlessly」には「R」音「th」音「L」音が入っているのでちょっと難しくて「breath+less+ly」と分けて考えましょう。
https://ja.bab.la/%E7%99%BA%E9%9F%B3/%E8%8B%B1%E8%AA%9E/breathlessly

バラードなのでゆっくり歌って大丈夫ですので、どの単語も明瞭に発音しまましょう。

ポイント8:様々なバリュエーションを聴いてみましょう

Ella Fitzgerald、1957年録音
まだ声が可愛かった頃のエラ。甘い雰囲気が伝わってきます。


Stacey Kent、2015年録音
上品で上質な歌と演奏。気を衒う必要は無いのが分かります。


Anita O'Day with The Oscar Peterson Quartet、1957年録音
語りかけるように歌うAnita O'Dayは、自由自在という感じ。


George Benson
、2011年録音
時々、本気を出すヒト。


Bud Powell
、1955年録音


Chet Baker、1956年録音


◼️歌詞


The evening breeze caressed the trees tenderly
The trembling trees embraced the breeze tenderly
Then you and I came wandering by
And lost in a sigh were we

The shore was kissed by sea and mist tenderly
I can't forget how two hearts met breathlessly
Your arms opened wide and closed me inside
You took my lips you took my love so tenderly


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