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セッション定番曲その187:Watch What Happens by Michel Legrand

ジャズ(ボーカル)セッションの定番曲。スイング(4ビート)はもちろん、ボサノバで演奏/歌唱されることも多いです。キレイなメロディの歌いやすい曲。
(歌詞は最下段に掲載)

和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。


ポイント1:Lisa Ono

2003年録音、フランス発祥の曲ばかりを歌ったアルバムから。

これから(英語で)ボサノバを歌おうとする人の中には「Desafinado」とか「Triste 」とか結構難しい曲を選ぶ人も多いのですが、そんな時におすすめなのがこの曲です。元々フランス映画で使われた曲に英語歌詞を付けたもので、ボサノバ固有のクセのようなものが少なく、メロディも歌いやすいものです。


ポイント2:Oscar Peterson Trio

1972年録音。全盛期には「弾き過ぎる」とか「技巧的過ぎる」と一部のジャズマニアからは批判されたこともあるOscar Petersonですが、「マニア」は声はデカいけど実際には影響力は無いので無視しましょう。この演奏も歌心と技巧のバランスが素晴らしいですね。


ポイント3:Michel Legrand

映画「シェルブールの雨傘」の為にMichel Legrandが書いた「Le récit de Cassard」という曲が元ネタ。George Blanèsという人がフランス語で歌っていました。実はフランス発祥でジャズスタンダードになっている曲は意外とあります。

Michel Legrandが書いたものだけでも「I Will Wait for You」「The Windmills of Your Mind」「The Summer Knows」「What are You Doing the Rest of Your Life」など。そして有名な「Autumn Leaves(枯葉)」「La Vie en Rose(バラ色の人生)」など。

ポイント4:歌詞のポイント

Let someone start believing in you
Let him hold out his hand
Let him touch you and watch what happens

「someone(誰か)」が君の心を深く知りたがっているよ
「彼」に手を握らせてごらん
「彼」が君に触れるのを嫌がらないで
そうしたら何か素敵なことが起こりそう

歌っている主人公は第三者的に「彼」と「君」の関係を語っています。余計なお世話?

One, someone who can look in your eyes
And see into your heart
Let him find you and watch what happens

余計なお世話は続きます。
「彼」は「君」の瞳を見つめて、心の中を見透かそうとしています。

Cold, no, I won't believe your heart is cold
Maybe not too warm from a long and lonely night

彼女は過去の辛い経験から心を閉ざしていて、つれない態度を見せている様子。主人公もそれを心配しています。

Let someone with a deep love to give
Give that deep love to you
And what magic you'll see
Let him give his heart to you
Let that someone be me

ここで種明かしです。「someone(誰か)」は実は「me(僕)」だったことを白状しています。遠回しに気持ちを伝えていたのに我慢出来なくなったようです。勘のいいリスナーは最初から気がついていたのでしょうが、この回りくどい口説き方がオシャレだと感じる人も多いかもしれません。


ポイント5:曲の構成

Aパート16小節、Bパート8小節、Cパート12節。
コードが半音移動していく箇所が多いのが特徴的ですね。特にAパートの15-16小節目のメロディが上昇していく箇所が印象的です。全体的にはメロディの上下動が少なく、ボサノバ・アレンジが似合いますね。


ポイント6:様々な歌唱のバリュエーション


Alexis Cole, Bucky Pizzarelli
、2015年録音
穏やかなボサノバアレンジ


Sophie Milman、2011年録音
ゆったりしたテンポでのセクシーな歌唱、声の残し方に特徴があります


Charito、2019年録音


Frank Sinatra、1969年録音
ゆったりしたスイングでの歌唱


Tony Bennett, Natalie Cole、2011年録音


Mel Tormé、1982年ライブ録音
自由に様々な曲のモチーフを繋いで歌っています


ポイント7:様々な演奏のバリュエーション

Wes Montgomery、1967年録音
ポップ路線のWes Montgomery


Joe Pass、1970年録音


Art Farmer, Phil Woods、1968年録音
速いテンポのスイングでの演奏


Steve Kuhn Trio
、2010年録音
Michel Legrand曲集から


◼️歌詞

Let someone start believing in you
Let him hold out his hand
Let him touch you and watch what happens

One, someone who can look in your eyes
And see into your heart
Let him find you and watch what happens

Cold, no, I won't believe your heart is cold
Maybe not too warm from a long and lonely night

Let someone with a deep love to give
Give that deep love to you
And what magic you'll see
Let him give his heart to you
Let that someone be me


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