セッション定番曲その107:All Blues by Miles Davis, etc.
ジャズブルースの名曲。モーダルな雰囲気が古いバップ系のジャズブルースとは一線を画します。これを歌わない手はないですね。
(歌詞は最下段に掲載)
和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。
ポイント1:まずは歌を聴いてみましょう
色々な人が歌っていますが、これが一番原曲に忠実な気がします。
Ernestine Andersonの1983年録音。
三拍子なのにウキウキした感じではなく鬱々とした雰囲気。歌もブルース的なフェイクではなくモードを意識したクールなもの。
ポイント2:ジャズブルース
トラディショナルなブルースだと歌が主役ですが、ジャズブルースでは歌が排除されてしまうことが何故か多いです。バップ的な演奏が期待されるからでしょうか。ホントは歌う人もどんどん参加すればよいと思います。後で例示しますが(無理矢理だけど)歌詞が付けられているスタンダードなジャズブルース曲も多いです。
その中でこの「All blues」はかなり歌うのに向いている曲です。メロディが特徴的で、ブルースそのものが苦手な歌手でも「黒っぽさ」を避けて歌うことが出来ます。
スケールを意識して歌える人はそうするれば完璧ですが、そうでなければ概ねメロディフェイクを意識して歌えば雰囲気は出ると思います。楽器と違って歌には「声」という音色があるので、多少強引でもコードトーンに合っていれば捻じ込めてしまうことも出来ます。乱暴ですが。
ポイント3:様々な歌を聴いてみよう
Oscar Brown, Jr.、1963年録音
Dee Dee Bridgewater
ピアノとのデュオ。
Morgana King、1965年録音
リズムは強調せず、ストリングスが通奏低音のように入っているのが面白いです。
Manhattan Voices、2020年録音
コーラスグループで、独自の歌詞を付けていますね
ポイント4:様々なジャズブルース曲(を歌ったもの)
Duke's Place、「C Jam Blues」に歌詞を付けたもの
Now's the Time、なんでも歌ちゃうEddie Jefferson、歌詞はつまらないものが多いですが
Billie’s Bounce、これもEddie Jefferson
Straight No Chaser、Carmen McRaeによるMonk曲集から
ジャズブルース曲を歌詞無しでスキャットだけで歌っている事例は沢山あります。その場合はやはりバップマナーのスキャットで楽器のひとつのような役割になっていますね。
◾️歌詞
The sea, The sky, And you and I
Sea and sky and you and I
We're all blues
All shades, All hues, All blues
Some blues, Are sad
And some are glad
Dark and sad or bright and glad
We're all blues
All shades, All hues, All blues
Some blues, Are bad
And don't you know that some are still sad
Dark and sad or bright and glad
We're all blues
All shades, All hues, All blues