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セッション定番曲その31:Black Orpheus (Manhã de Carnaval)

ボサノバで演奏されるジャズセッション定番曲。親しみやすいメロディと比較的ジャズっぽいコード進行で取っつきやすい人気曲です。
(歌詞は最下段に掲載)

和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。


ポイント1:「黒いオルフェ」

1959年公開の映画「黒いオルフェ」の主題歌です。なので曲名が2つあるというか、映画名で呼ばれることと曲名で呼ばれることがある訳です。「A Day in the Life of a Fool」という英語タイトルもあるので、更にややこしいでうすね。

もうひとつ「Samba De Orfeu(オルフェのサンバ)」も映画の挿入歌で、こちらもスタンダード曲化しています。選曲の際に「オルフェのアレ」とか言うと、どっちだか分からずに混乱してしまう場面も。

映画はギリシャ神話(悲劇)がベースになっていて、ブラジルのリオデジャネイロが舞台。ギリシャ神話に馴染みの薄い我々にはなかなか分かりにくいストーリーではありますが、当時のカンヌでパルム・ドールを獲得しています。

ポイント2:歌詞の種類

ということで原曲はポルトガル語で歌われている訳ですが、それが英語に訳詞された際にいくつか違うバージョンが出来たようです。歌詞を乗せやすいメロディだということでもありますね。最下段に2種類を転記してあります。上の方が一般的だと思います。(細かい部分でも色々なバリエーションがあります)
ポルトガル語で歌うのも、英語で歌うのも、どの歌詞を選ぶのも自由ですね。

ポイント3:Luiz Bonfá

作曲者はルイス・ボンファ。ブラジル生まれの名ギタリスト/作曲家です。この曲もそうですが、聴きやすい哀愁のあるメロディと高度なギターテクニックが共存する曲を作曲、演奏していました。

ボサノバというとアントニオ・カルロス・ジョビンの名前だけが真っ先に出てきて、この原曲も彼が歌っていますが、この時期に才能のあるミュージシャンが当地に続々現れていたということは知っておきたいですね。

ポイント4:A day in the life of a fool

恋に盲目になる愚か者の話、というのが歌詞の冒頭で提示されています。先に進むと分かるように、既に望みの無い恋っぽいのに。この最初のパートでいかに聴き手の心を掴んで共感を得るか、が大事ですね。

ポイント5:Hoping to run into

「run into」は「偶然にばったり出会う」という意味です。
いいですね、ケータイだのメールだの以前の恋愛の世界。簡単に相手と連絡が取れない、意思疎通が出来ない、伝えたいことを口に出来ない。街でばったり出会わないかな、と期待して彷徨う訳です。

「ITが恋愛ドラマを殺した」とよく言われる所以ですね。

ポイント6:I stop just in front of our door

ここも未練がましくていいですね。
恋人が以前住んでいた場所、その扉の前。

その人が住んでいた街や乗っていた電車の路線の近くにいくだけでも、いつの間にかタイムトリップして、セツナイ気持ちになってしまうことってありますよね。タイミングが夕暮れ時ならなおさら。

そんな気持ちが歌に籠められると最高ですね。

ポイント7:エンディング

Til you come back to me
That's the way it will be
Everyday in the life of a fool
テンポを落として2拍3連でエンディングというのが定番ですが、リハ無しのジャムセッションでそれがバッチリ決まったという場面をあまり見たことが無いのが実際のところです。

それまでのテンポのままでいくのか、どのくらいテンポを落とすのか、2拍3連のアクセントをどこに置くのか、事前の意思疎通無しでは難しいのかもしれませんね。

ポイント8:発音の難しい単語/箇所

「a long lonely day」
l」音から始まる単語が2つ続きます。「lonely」は単語の中にも「l」音が2つあって発音の難しい単語なので、明瞭に発音することを心掛けましょう。

「the avenue」
これも発音の難しい単語。綴りに惑わされず、誰かが歌っているのをよく聴いて真似をしましょう。
英単語 avenue 発音と読み方

「But you're never there any more」
簡単な単語の組み合わせですが、文になると早口言葉のように、舌が回りにくい一文ですね。特に「never there」の部分はよく練習しましょう。籠った音が続くので、そんな中でも明瞭な発音/発生を頑張りましょう。

「That's the way it will be」
これも同様に簡単な単語の組み合わせなのに、何か舌が回りにくい一文。特に「will」のあたりでつまづき易いので、息継ぎも含めて練習しましょう。

ポイント9:様々なバージョンを聴いてみよう

Luiz Bonfa、哀愁たっぷりの演奏。


Baden Powell


Paul Desmond、少し早いテンポで


Quincy Jones


Wayne Shorter, Freddie Hubbard, Eddie Higgins


Astrud Gilbertoのポルトガル語歌唱、当時のボサノバ!のイメージですね。


Anna Salleh、歌唱力がダンチ・・・


Connie Evingson、別パターンの歌詞による歌唱。


Cassandra Wilsonによる気怠い歌唱、もう再会を諦めたように聴こえます。


■歌詞

A day in the life of a fool
A sad and a long lonely day
I walk the avenue
Hoping to run into
The very sight of you coming my way

I stop just in front of our door
But you're never there any more
So back to my room
And here in the gloom
I cry tears of goodbye

Til you come back to me
That's the way it will be
Everyday in the life of a fool

========別パターンの歌詞=========

I'll sing to the sun in the sky
I'll sing till the sun rises high
Carnival time is here
Magical time of year
And as this time draws near
Dreams lift my heart!

I'll sing while I play my guitar
I'll cling to this dream from afar
Will true love come my way
On this Carnival day
Or will love stay in my heart?

I'll sing to the sun in the sky
I'll sing till the sun rises high
Carnival time is here
Magical time of year
And as this time draws near
Dreams lift my heart!

I will sing while I play my guitar
I'll cling to this dream from afar
Will true love come my way
On this Carnival day
Or will love stay in my heart?

Will true love come my way
On this Carnival day
Or will I be alone with my dreams?



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