『パラサイト 半地下の家族』は2度観たい映画でした。|#60
こんばんは。こひまるです。
ようやくパラサイトを観てきましたので、本日はレビューをば。
3部構成、3部はネタバレを含みますが、「なぜこんなに流行っているのか?」「映画に携わった人間からはどのように見えたのか?」など、知りたい方はぜひご覧くださいませ!
[1] アカデミー賞で4部門受賞、『パラサイト 半地下の家族』はなぜここまで話題になっているのか
本作品は韓国映画。『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』など、世界がその才能を絶賛する若き巨匠ポン・ジュノがメガホンを取っています。
一昨日2月10日に行われたアカデミー賞授賞式で、作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞の本年最多4部門で受賞をしたことで、大きな話題となりました。
「4部門受賞ってどのぐらい凄さなの…?」という記事は後日記載するとして、ここまで騒がれている理由は、世界最古・アメリカ映画の発展のためにつくられたアカデミー賞の中で、外国語映画で”作品賞”を受賞したのは本作が史上初であったため。こう聞くと、どれほど評価されたのかがわかります。
個人的には、『ジョーカー』の主演、ホアキン・フェニックスが主演男優賞を受賞したことと同じぐらい喜ばしいことです。笑
他にも、昨年5月14日から行われた世界三大映画祭のひとつ・カンヌ国際映画祭では、【最高賞】にあたるパルムドールに審査員満場一致で輝くという快挙を成し遂げています。
映画に精通しているわけではない方でも、アカデミー賞、カンヌ国際映画祭は聞いたことがあるのではないでしょうか。
この有名、且つ格式の高い2つの舞台で、どちらとも最高賞とも言える賞を受賞した、それが『パラサイト 半地下の家族』なのです。
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[2] 『パラサイト 半地下の家族』のあらすじ
ここは、これから観る予定のある人のためにも、軽めにご紹介します。
公式サイト以上のことは記載する予定はありませんので、安心してスクロールください。
計画性がなく楽天的な父、その夫に強くあたる妻、
頭は冴えているが大学受験に落ち続けている息子、センスはあるも美大の予備校に通うお金もない娘。
しがない内職で日々を繋ぐ、全員が全員失業中の4人家族、キム一家。そんな彼らが暮らしているのは、住みづらい”半地下住宅”。
とある日、留学予定の友達から「代わりに家庭教師をしてくれないか?」と、息子ギウが提案を受ける。彼は、学歴はないが受験経験だけは豊富。
”受験のプロ”のギウが向かった先は、IT企業の社長一家が暮らす高台の大豪邸だった——。
社長一家の心を掴んだギウは、続いて妹を家庭教師として紹介する。更に、妹のギジョンはある仕掛けをしていき…
”半地下住宅”で暮らすキム一家と、“高台の豪邸”で暮らす社長一家。相反する2つの家族が交差した先に、衝撃の光景が広がっていく——。
※公式サイトより一部抜粋。
何やらとてもテンポが良い、という前評判のみで観に行きましたが、実際にテンポが良い作品でした。詳しくは後述しますが、喜怒哀楽が揺さぶられる、そんな作品です。上映時間の132分があっという間。
ちなみに、パラサイトは英語で寄生虫という意味合い。一言であらすじを説明するのであれば、”貧乏一家が、金持ち一家に寄生していく”お話しとなっています。
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[3] こひまる的、最高だったシーン3選
※警告※
ここからは、モロネタバレします。
可能であれば、鑑賞予定の方は、鑑賞後にご覧いただきたいです…。
それでも、という方、閲覧は自己責任でお願いいたします。
警告はお読みいただけましたでしょうか?
ここからは私から見て、「これはうまいなー!」「ここのシーンが好き」というシーンを3つだけ厳選して挙げていきたいと思います。
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◆1:豪邸から脱走し、半地下住宅へと戻るシーン
なんといっても、このシーン。とても印象的なシーンでした。
個人的にベストオブシーンです。
社長一家が息子の誕生日でキャンプに行っている間、社長の家で好き勝手に宴会をしていた貧乏家族。そこに、土砂降りの雨でキャンプを中止にした社長一家が帰ってきてしまう。
全員が脱出するには時間が足りず、ヒヤヒヤしながら息を潜める貧乏一家。隙を見計らい、ようやく脱出ができた、というあのシーン。
とにかくあの場から家に逃げ込まなくては…!と走るキム一家でしたが、恐らくここは意図的に画面右側(社長一家宅)から画面左側(半地下キム一家宅)へと逃げ込むという創りになっていたと思います。
右肩あがり、という言葉は日本でもよく聞くと思いますが、キム一家が安息を求めて走り続けたのは、画面左側。
父は左側に走ることで安心感を覚えるとともに、一瞬息子であるジウが立ち止まるカットがあります。これは、「結局、半地下へ戻ることが安息に繋がるのか…?」と葛藤するジウの心境を表すカットになっていると感じました。
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◆2:終盤の事件が起こる、ホームパーティーの鮮やかさ
それまでは、どちらかと言うとシックに描かれていた本作ですが、ホームパーティーのシーンでは、今までよりも色調が多いです。
そりゃパーティーなんだし、当たり前じゃん…と思う方もいらっしゃるかと思いますが、私が思ったのは「あぁ…韓国映画が始まる…。笑」ということでした。つまり、惨劇が起こることを色調で予感しました。
これまで、こちらも意図的に赤色が使われていなかったと思います。そのため、血が飛び散るシーンなどもより印象的になったのではないかと。
韓国映画は、激しい表現が多いですよね。冒頭のシーンで甲斐性なしの父親を、妻が足で蹴ったのも「日本では考えられないなー」と思ったシーンのひとつでもあります。
中盤まで「もしかしたら血が流れない映画なのか…!?」と謎の疑いをかけていましたが、ここはやっぱり韓国映画。ひとまず、いつもの悲惨さが表現されていて安心しました。(こんなこと言ったら韓国の方に怒られそう…。)
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◆3:便座の上で、娘がタバコを吸うシーン
これも上手いなーと思いました。
半地下住宅、水圧の関係かと思いますが、トイレは地上に近い位置に設置されています。(半地下住宅内で言うと天井に近い位置。)
自宅が大雨により水浸しになるシーン、妻以外の3人が帰って行った行動が、3人の性格と今後を表していたと思います。
父は、妻の学生時代?の砲丸投げのメダルを手に。
(なんだかんだ家族想い。)
息子は、友人からもらった石を手に。
(避難した体育館で父に謝ったこともあり、この時点で殺人を覚悟しているものと思われます。)
そして娘は、便器から溢れる汚水を防ぐことを諦め、タバコを吸い出すのです。
結局は過去に囚われている父、未来を見る息子、そして今を生きる娘。
このシーンは、人によって捉え方が大きく分かれそうなシーンでした。父は過去ばかり見ているというわけではないのですが、きっと潜在的に、どこかでこうなってしまった(自身の甘さから家庭を幸せにできなかった)ことへの後悔なんかがあるのでしょう。
専属運転手になり社長へ話をしているシーンで、「過去30年もこの仕事を続けている」と語ったのも印象的でした。他の家族は誰一人として、自身の過去のことを語ってはいません。
結局こういう時に冷静なのは、女性なのかなーなんて思ったり。あの状況で娘がタバコを吸うシーンが、とにかくかっこいい。
既に観たけれども、もう一度観たい!と思う方なんかは、この3つもぜひ注目してご鑑賞いただけますとより楽しめると思います!
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以上、『パラサイト 半地下の家族』についてのご紹介でした。
いやー、もう1度観たい作品ですね。アカデミー賞作品賞、カンヌ国際映画祭のパルムドールの名に恥じぬ、素晴らしい作品でした。好きなシーンをもっと書きたいのですが、既に3,000文字を超えたのでこの辺でやめておきます。笑
韓国の情勢などを理解しているともっと楽しめそうな作品だと思いました。既にご覧になった方がいらっしゃいましたら「このシーンが好きだった」や「このシーンはこう解釈した」などコメントもいただけますと嬉しいです。
それでは本日はこの辺で!
まだの方は、損はさせません、ぜひ劇場でご鑑賞くださいませー!