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「AI」より「恋」=「原稿」を「台本」にするコツのお話~ことばの記憶~
「そぉなんですよぉ」「そぉそぉそぉ」
地元のFM局で定曜日に生放送のコーナーに出演していた(退職前に勤めていた職場の)同僚のNさんの「喋り癖」。
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<この文章を要約すると>
・放送されるものにはほとんどの場合「台本」がある
・退職前に元同僚の出演のラジオ生放送の原稿を9年間書いていた
・「文字のことば」と「音のことば」を書き換えるのは「AI」よりも「恋」する気持ち
テレビでもラジオでも電波で放送されるものには、基本的に台本がありますよね。退職前にラジオの番組コーナーの原稿台本を9年ほど書いていました。
放送の3日前が原稿の締め切り。
局による確認だけでなく、パーソナリティさんの事前準備や打ち合わせにもそれだけの日数が必要。
書く台本は「タイトルコール」「身近な話題」から「メインのテーマ」「シメの言葉」まで。
約4分のコーナーをA4(600字)で4枚程度。
もちろんパーソナリティーさんのフリートークを除いて、すべて会話形式で書いていました。
録りなおしや編集ができない生放送は、お天気話題も含めて自然な感じのライブ感が魅力。
その魅力があるから生放送にこだわって、新商品や旬の食べ物、イベントなどを入れた話題をリスナーさんへ伝えたいと原稿を書いてきました。
そのラジオ放送が「原稿を読んでます」って感じだと面白くありない。それって「会話」が不自然だからかなと感じていました。
今どきならば「自然な感じで」と(流行の)ChatGPTや生成AIなどに書かせると原稿はできてしまうかもしれない。音声AIで読むこともできてしまうかもしれない。でも「ライブ感」はどうだろう。
ライブ感を感じられる台本を書けるようになり始めたのは、原稿を書き始めて半年ほどたってから。会話の中で、Nさんの「はい」が「そぅなんですよぉ」になる喋り癖に気が付いてから。
原稿を「そぅなんですよぉ」でつないで書くとNさんの声が脳内で再生され、文体も変わってくる。同時に会話相手のパーソナリティのMさんの声も、原稿の中から聞こえてくる。
その人の声で再生される原稿が書けるようになると、文章が台本らしくなってくる。
原稿を書きながら、頭の中でNさんがしゃべってる。
9年間、月2回の生放送への立ち会いと局での打ち合わせ。
実物のNさんとの会話の声と文章を書く時に脳内再生される声。その声に「恋している」気分を覚えながら。
「文字」の「ことば」が「音声」の「ことば」になる。
きっとたぶんAIにはできないかもしれない「AIではできない恋変換」。
Nさんには感謝しかありません。
もちろん局のパーソナリティのMさんにも感謝。
あのCD/DVDプレーヤーのテレビコマーシャルのようなインパクトはなくても、それなりに「ラジオならではの自然な女子トーク」のコーナーは作れたのじゃないかなと思っています。
≪あとがき≫
何度かの番組改編期を乗り越えて、私の卒業と同じく番組も模様替え、パーソナリティさんも交代し、出演していたNさんも交代。番組コーナーそのものは存続しながら、より新たなものになっています。番組コーナーの立ち上げから成長へといい経験ができました。
なお、すべての番組に細かい台本が書かれているとは思いません。私は出演してくださる方が迷ったり、短いコーナーの中で話が違う方向へ行かないようにと、気をまわして細かく書いていただけです。録画・録音などの後で編集できるものは細かくない方が、話や映像が膨らむと思っています。
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