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【2025年本屋大賞】ノミネート作品全て紹介します!
2月3日、今年の本屋大賞のノミネート作が発表されました!
その10作品全てを、ただの本好き大学院生が紹介します。この中から今年の本屋大賞は選ばれるのだという当たり前のことに勝手にどきどきする。
ノミネート作品は以下の10作
『人魚が逃げた』青山美智子
『生殖記』朝井リョウ
『カフネ』阿部暁子
『恋とか愛とかやさしさなら』一穂ミチ
『spring』恩田陸
『死んだ山田と教室』金子玲介
『小説』野崎まど
『アルプス席の母』早見和真
『成瀬は信じた道をいく』宮島未奈
『禁忌の子』山口未桜
書店で見かけたことある〜っていう作品も多いのではないでしょうか。この中で書店員さんによる投票が再び行われ、大賞が決定するのです。1年に数えきれないほどの本が出版される中で、たくさんの書店員さんがこの本売りたい!!と特に思った10作。この本めっちゃおもしろかった、人に薦めたい!という思いと、この本よく売れてるなあーという客観的な情報の両方を積み重ねて、日々棚を作るのを仕事にしている人たちなのです。こんな人たちが推してる作品、10作に選ばれた時点でめっちゃ期待して良いということ!!
本屋大賞とは
そもそも本屋大賞ってなんぞや?よく聞くけど他の賞と何が違うの?という方のために!本屋大賞公式による説明は以下の通りになります。
過去一年の間、書店員自身が自分で読んで「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」と思った本を選び投票します。
『博士の愛した数式』『舟を編む』『かがみの孤城』『そして、バトンは渡された』など、過去に大賞に選ばれた作品は、長く、多くの人に愛されているものばかり。昨年大賞の『成瀬は天下を取りにいく』も、ものすごい勢いで読まれていて、あらゆるところでそのタイトルを聞く一年でした。
読む人にとって、本の世界のいちばん待ち合わせをしやすい入り口のような賞だと私は思っています。
10作品の紹介!
それではノミネート作10作について順番に紹介していきます。紹介順は、著者のあいうえお順です。
『人魚が逃げた』青山美智子
銀座の街に人魚姫を探す王子が現れたと話題になり、その日様々な思いを抱えて銀座にいる人たちの人生と少しずつすれ違っていくお話です。あのときのあの人が!とかこの印象的なアイテムはひょっとして!とか、人生が絡まり合う優しい優しい伏線回収が青山美智子さんの小説の魅力だと思います。作品を通して流れる、おとぎ話のような少し不思議で優しい空気感に、心が明るくなる一冊です。
『生殖記』朝井リョウ
主人公は家電メーカー勤務の尚成。そんな「ヒトのオス個体」について、彼の中にいるとある存在が語っている小説です。まず、そんな視点ある??という驚き。どこまでも客観的に人間を観察しているその視点によって、今の時代の人間社会のすべてが詰まっているんじゃないかというぐらい壮大な話が繰り広げられて圧倒されます。それなのに軽快な口調でぽんぽん繰り広げられていくものだから、気づいたら楽しく読み終わっている。不思議な読書体験を味わえます。
『カフネ』阿部暁子
弟を亡くした薫子という女性が、弟の元恋人であるせつなと、家事代行サービス「カフネ」で活動し始め、そこからふたりの人生が少しずつ交わっていきます。傷ついてもう立ち上がれないと思ったとき、いっしょにご飯を食べてくれる人がいること、そして自分も誰かを助けられると思うことが生きていくための希望になる。読み終えたらきっと料理をしたくなります。
『恋とか愛とかやさしさなら』一穂ミチ
婚約者が盗撮で捕まった。そんなあらすじが怖くて怖くて、私はしばらく読み始められずにいました。なぜそんなことをしてしまったのか、彼を許すのか許さないのか、彼がどうすれば納得できるのか、「わからない」に向き合う苦しさがずっと描かれていて、読んでいる間中もやもやしました。だけど一度読んだらしばらくこの作品のことを考え続けてしまうような一冊です。
『spring』恩田陸
バレエの天才、萬春という人物を描いた物語です。天才の近くにいる別の天才、天才を育てた人、天才と一緒に新たな作品を作る人、そして本人。彼について様々な視点から語られていきます。最高の芸術作品を生み出すのはどれだけ大変で、エネルギーが必要で、それでいてどんなに楽しいことなんだろうと思う。高みを目指し続けることの激しさと美しさに心を掴まれて、目が離せませんでした。バレエの舞台を実際に観ているような気持ちになります。
『死んだ山田と教室』金子玲介
クラスの人気者だった山田が突然死んでしまう。しかしその数日後、教室のスピーカーから山田の声が聞こえてくる。そこからの山田とクラスメイトの日々が描かれています。男子の会話のくだらなさに笑わされたかと思うと、山田って死んでるんだよねという事実をふとした瞬間に思い出して切なくなる。暑苦しくて、あほで、まっすぐな彼らがひたすら眩しくて愛おしいです。
『小説』野崎まど
まさに描かれているのは「小説」のこと。小説の魅力に取り憑かれた内海と友人の外崎の物語を通して、小説とは何か、小説を読むとはどういうことなのか、ということを追求していく。思いもよらぬところに連れていかれてとてもびっくりもするけど、そのスケールの大きさで、小説を愛するすべての人を救いにきてくれる一冊です。
「アルプス席の母」早見和真
高校球児の航太郎の母、菜々子を描いた作品です。甲子園を目指す息子と一緒に神奈川から大阪に引っ越し、慣れない土地での暮らし、父母会の人間関係など、苦労や葛藤を繰り返しながら息子のことを想い続ける菜々子。母という存在がこんなふうに主人公として描かれている作品に初めて出会いました。野球少年の青春を周りの人がただ支えているんじゃない、関わるすべての人にそれぞれの人生があるんだと気づかせてくれます。こんなに応援したくなる親子、他にいないと思う。
『成瀬は信じた道をいく』宮島未奈
やっぱり成瀬が大好き。昨年の本屋大賞『成瀬は天下を取りにいく』の続編です。自分の道を突き進んでいく成瀬が、今回は周りの人の視点から描かれています。その真っ直ぐさをどこまでも見届けたい。100万部突破と聞いて、まだ日本人の1%しか成瀬に出会ってないということ…?と戸惑ってしまうぐらい、ほんとにみんなに成瀬という人を知ってほしいと心から思う作品です。
『禁忌の子』山口未桜
救急医の武田の元に搬送されてきたのは、彼と全く同じ顔の遺体。これは誰なのか、自分と関係はあるのか、同じ病院で働く医師の城崎と一緒に解き明かしていきます。始まり方が不気味すぎて、一気に引き込まれました。絡まり合った謎がひとつひとつ解き明かされるたび驚き、この先どこに向かうのだろうとずっと気になって、どんどん読み進めてしまいます。城崎かっこよすぎる。好き。
さいごに
10作品全部ご紹介しました。
最近こんなおもしろい本を読んでさ〜って人に話したくなるような、素敵な作品だらけということを改めて実感して、ノミネート作が発表されたというだけなのに既に幸せです。
この一冊気になるから読んでみようかな、もよし!全部読むぞ!もよし!大賞を予想してみるのもよし!
それぞれの形で本屋大賞を引き続き楽しみましょう〜!
大賞発表は4月9日予定だそうです。たのしみ!