投球動作×バイオメカニクス - 海外文献から得た知見 -
初めまして!C-I Baseball3期生メンバーの三好航平と申します.
今回は2023年から開始したサポートメンバーによるnoteシリーズです.
本noteで私が書かせていただく内容は,野球関連の海外文献レビューになります.
私は今年3月まで大学院生として,多くの英語論文を読んできました.
その経験を活かして,皆様に野球に関する近年の英語論文をご紹介させていただければと思います.
文献情報
今回ご紹介する論文はこちらです.
背景
Pitch Efficiency(投球効率)は効率的な投球メカニクスを定量化するために使用された指標であるが,”Pitch Efficiency”という言葉は1イニングあたりの投球数が少ないという意味で使用されることがアメリカでは一般的である.混同を避けるために,この研究では,Biomechanical Efficiency(バイオメカニクス的な効率の良さ)という言葉で新たな指標として提言している.
一般的に球速が速い投手は投球時に生じる肘関節内反トルクが大きく,障害リスクが高いことが言われており,肘にかかる負荷を抑えつつ球速を高めることはパフォーマンスと障害予防の双方から考える上で重要であり,Biomechanical Efficiencyは投球を評価する指標として有用であることが示唆されている.
では,何がBiomechanical Efficiencyに影響を与えるか.
この研究では,動作指導により修正可能と考えられる投球キネマティクスとBiomechanical Efficiencyの関連を調査することを目的としている.
仮説
投球キネマティクスとBiomechanical Efficiencyは関連し,Efficiencyが高い投手と低い投手で異なるキネマティクスを呈する
プロの投手の方が大学生投手と比べてEfficiencyが高い
方法
545名(大学生98名,プロ447名)の投球データを解析しています.モーションキャプチャー(12台の赤外線カメラ,240Hz)で投球動作を測定,対象者は18.44mの距離を5-10球,ストレートを全力投球を行った.
対象者特性とキネマティクスについて,ステップワイズ多変量解析を用いてBiomechanical Efficiencyの決定因子となるものを検討.また,決定因子についてMann-WhitenyのU検定を用いて高効率群と低効率群で比較し,カットオフ値を算出した.
算出項目
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