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"準・顕在層”を制せばマーケティングは次のレベルに行ける

最近、大学生の方にマーケティング関連の質問を受ける機会があり、ちょうど別のnoteで書いた話だったので僕のnoteのリンクを教えたところ、「あんまりお金なくて・・・」と言われました。
もちろん全部無料で、趣味で書いているだけなのですが、そんなに僕はお金欲しそうな顔してたのかなと少しショックでした。

また、僕のマーケティング記事の連載を持っているメディアの皆様、小林は気分で書くからなかなか記事が上がって来ない癖に、気分でnoteは書く余裕はあるのかよと思っているご担当者様もおられるかなと思います。
その節は申し訳ないです。たまたま新幹線に乗っていて、気分が乗ってしまいました。

今日は最近一番考えていること、”準・顕在層”について考えていきたいと思います。なかなか既存事業の成長が見えてこない経営者・マーケティング担当者に是非トイレに入りながら、あまりにも暇な時に読んで欲しいと思います。

  1. 準・顕在層とは 

みなさん、お客様を捉えるときにざっくり二つで捉えていると思います。
分かりやすく、月額2,980円で使い放題の本格DXフィットネス事業に置き換えます。皆さんは自分の事業に置き換えてみてください。

顕在層:これまでも10,000円前後のマシンジムに通っていて、それが1/3の価格で通えるならめちゃいいやん!と思う筋トレが好きなお客様
(ニーズが顕在している、リスティングとかで獲得できそうだなぁと思っている人が多い)
潜在層:今まであまりフィットネス経験も運動経験もないけど、健康意識はあるお客様
(ニーズが顕在していないが、ゆくゆくはユーザーになってくれそうな人たち。デジタルでは取れなくて、TVCMとかで取れるだろうと思っている人が多そう)

僕はこれだとマーケティングしづらい=事業を伸ばしづらいと思っています。
どんな事業でもまずは自分たちの足で、そしてリスティング/displayを通じてまずは全力で顕在層を取りに行きます。行けるところまで。
ただ、残念な事実として、これらの手法には2つの制約がある。
一つ目はあなたの会社だけ有利な条件でwebマーケティングを展開することはできないということ。リスティングがわかりやすいですが、だいたいそのKWにおけるCPAというのは決まっています。これはお金を投資さえできれば同じ条件なので、競合他社に対して圧倒的な効率を生むことはできません。
二つ目に、お客様の数に限界があるということです。
例えばフィットネス業界だと、いわゆる筋トレ参加層というのは4%程度と言われています。この層だけをターゲットに事業を展開しても、後発だとやはりお客様の取り合いになり、割と早めに成長の壁に当たります。

そうなると、次に多くの企業が考えるのは、こうです。
「よし。マス広告をやって潜在層取りに行こう」

その結果、デジタルに比べてマス広告は顧客獲得単価CPAで見れば5-10倍くらいは悪化する(小林の肌感)ので、こうなります。
「あかん!マス広告はまだうちには早かった!」

僕はこれをマーケティングの板挟みと呼んでいます。
効率を追いかけると、周りから求められるスピードでスケールできない。
かといってマス広告に全力投球できるかといえば、体力と効率の悪さがあってやり切れない。

これは顕在層・潜在層という2元論で捉えているから起きる事象です。
僕が最近考えている準・顕在層はこの間のセグメントであり、この層を獲得できればこの課題を解決できると思っています。

2.準・顕在層をどう獲得していくのか

改めて整理すると、フィットネス事業の場合、
顕在層:これまでも10,000円前後のマシンジムに通っていて、それが1/3の価格で通えるならめちゃいいやん!と思う筋トレが好きなお客様
潜在層:今まであまりフィットネス経験も運動経験もないけど、健康意識はあるお客様

としたときに、準・顕在層はこう定義できます。
準・顕在層:これまでジムに通っていたことはあるけど、なかなか続かなくて残念ながらやめてしまったお客様

なんで準・顕在層とわざわざ名称を変えたのか。
通常この層は顕在層同様、webマーケティングでリーチすることが多いですが、多くの企業はこの準・顕在層に対して、顕在層と同じコミュニケーションをしてしまっています。

顕在層へのコミュニケーションとはすなわち、こんな感じのproduct outまたは課題ありきなもので、結構押し売りに近いです。
「こんなかっこいいジムが2,980円!安くて高品質!最高!」

ただ、準・顕在層を、「これまでジムに通っていたことはあるけど、なかなか続かなくて残念ながらやめてしまったお客様」とした時に、この人たちが上記のような広告で靡くでしょうか?
結論、無理なんです。
もっとお客様に寄り添った施策に変更する必要がある。

例えば、
・なんでこのフィットネスジムなら続けられるのかを伝える
・フィットネス特有の入会時の縛りや退会時の煩わしさがないことを伝える

また、その伝え方も、もっと課題を引き出すような設計にする必要があります。
最近でいえばLINE友達追加に誘導する企業が増えてきているのもその一つです。
LINEに誘導して、診断コンテンツを入れ、そのお客様の悩みなどを正しく把握。
その悩みに応じた訴求をセグメントごとに実施していくような形です。

準・顕在層を正しく捉えて、その事業に応じたマーケティング施策を確立することができれば他社よりも次の成長が創れます。
逆も然りで、これを先に他社に創られてしまうと引っ返すのが難しいです。

フィットネス業界だと、
顕在層:4%
準・顕在層:36%
潜在層:60%
と見ているので、実は顕在層を取るよりも準・顕在層を取る方が圧倒的に成長の裾野があり、わざわざ遠くて体力のかかる潜在層に今行く必要は全くないのです。

ただ、多くの事業は顕在層に向いていることが多いので、マーケティングの手法だけでなく時にはプロダクトや組織まで含めて変更していくことが大切だと思っています。

本当はもっと準・顕在層獲得の事例を話していこうと思ったのですが、新幹線で酔ってしまったのでここまでにします。

読んで頂いた方、ありがとうございました!
小林幸平

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