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マーケティングで顧客目線というのはもう飽きました。顧客目線の正体とはなんなのかを解説します。

最近Xを見ていても、イベントを見ていても、顧客目線・顧客起点という言葉が飛び交う。
これには3つの目線がある。

1.マーケティング業界の偉い人たちが発してて、それをみんながこぞって真似して言うようになったから急にBAZZワードになった
2.というか顧客目線って当たり前じゃね?今更なんでわざわざ顧客目線っていう必要あるのかと思っている人は世の中に多そう
3.一方で、”顧客目線でマーケティング”をするのは構造上、意外と難しいという事実もある。

繰り返し、”顧客目線でマーケティングしよう!”というのは、”筋肉つけるならプロテイン飲もう!”と言ってるくらい当たり前のことです。
もう何十年も前から、P&Gが"Consumer is boss."とかロレアルが”Consumer centric"が重要だと言っていて、今流行っているっぽい顧客目線というワードはこれのただの和訳です。
ではなぜ、意外とそれが難しいのでしょうか。
それを今日はむしろマーケティングに普段携わっていない人にも分かるように解説します。
そして個人的に顧客という表現があまり好きではないので、ここからはお客様に変更します。

意外とお客様目線が難しい理由1:マーケティングという仕事自体がこの数年でかなり複雑化して、ノイズが増えた

僕は実は恵比寿にBARを持っているのですが、店舗事業はある意味ストレートで分かりやすいです。
知り合いを呼んで集客してもいいし、来てくださったお客さんと話す機会がナチュラルにあるので、そこでなんで来てくれたのか、満足度なりを深ぼればいい。
別にマーケティング担当なんて置いてなくても、「あ、恵比寿でBARに来る人たちはカラオケしたいんだな。じゃあカラオケを設置しよう。」
みたいな感じで最近カラオケを設置しました。
オフラインだとお客様との接点がすぐそこにあるのです。

一方で、現代の多くのリアルなマーケティングの現場では、お客様との接点がオンラインであることが多い。
WEBマーケティングで集客をする場合も然りで、向き合っているのがお客様ではなく、数字にすり替わっていることがかなり多い。
なので”見るべき”と言われる数字を一度紙に描き出してみると、おそらく10年前に比べて今は10倍くらい増えたはず。
その潮流に乗っかって、分かりやすくマーケティングデータ管理SAASはたくさん増えたのがその証拠です。
ここで問題となるのは、その進化の代償として、お客様と普通に話す時間は相対的に減少している。
結果、「それ普通にお客様に聞けば分かるくね?」ということでさえ、難解な数字をこねくり回して、その結果”難しいデータは読み解けるのに、なんか打ち手がパッとしない”という現代病が起きています。

最近は小さい頃からi Padを使うお子さんが増えていて、情報収集能力は大幅に向上しているが、一方でコミュニケーションを取るのが苦手な子も増えているらしい。
実はマーケティングの業界で今起きていることも同じで、取れるデータやそのデジタル化が進むことで、脳のメモリで記憶しないといけないことが増えていく中で、最もエッセンシャルな”お客様に答えを聞く”ということに回せるメモリが足りないケースが起こっている。

じゃあこれはマーケティングのチームメンバーが悪いのか、というともちろんそうではなくて、こういった状況を鑑みてCMOなりにあたる人が自らの姿勢で率先してお客様の声を拾いにいくべきだ。
分単位のスケジュールを組んで忙しい人からすると、1人のお客様のインタビューに60分割くなど非効率だと思われがちだが、そうじゃない。
とにかくお客様に聞くのが一番結局、早い。

いろんなタイプのマーケターが存在するが、僕個人で結局この人が優秀なのかを分かるメジャーはお客様に対するパッションと、どれだけ声を拾えているか、だ。
データの読み解きは後で教えられるが、このエッセンシャルな姿勢だけは実はあんまり教えられない。

意外とお客様目線が難しい理由2:普通のことを普通に考えるということがかなりハードルが高い

じゃあお客様の声を聞いたとして、結局それを事業に活かさなければいけない。これを正しく行うのが結局一番難しい。
まずどんな購買行動をしているお客様にヒアリングさせて頂くのかも大事だし、その中からノイズになるメッセージを外して、重要なその一言にたどり着くまで、その一点を深掘り続けることが求められる。

このプロセスを一言で言えば、”普通のことを普通に考える”ということなんだけれど、これはいろんなマーケティング人材を見てきて、実は多くの人が苦手としている。
せっかくお客様インタビューはするのに、なぜかアクションに紐づかない。
アクションになかなか活かせないのに、インタビューは物理的に結構な時間を取るもんだから、自然とお客様の声を聞くということから遠ざかっていく。
僕からすると、無限にあるデータと睨めっこして、そこからインサイトなるものをひねくり出すほうがよっぽど天才的な所業に見える。

じゃあ”普通のことを普通に考える”というのはどういうことなのか。
例えば、フィットネスジムを事業として展開するなら、捉えないといけないのは
・集客・解約率、単価、店舗数の掛け算ですね
・フィットネスに通うニーズって、筋トレかダイエットか健康維持ですよね

こんな簡単な分解ができればいい。
そしてそこから、分からないことは仮説を立てて、検証していけばいい。
お客様インタビューも同じで、まず何を検証するためにお客様と話すのか、という強烈な仮説がないとやる意味がない。
そしてそんな強烈な仮説があるときは、お客様インタビューをやらされるのではなくて、むしろ心から喜んでやらせて欲しいと思っているはず。

僕はマーケティングの能力として重要なことは?と聞かれると、いつも”普通のことを普通に考える”ことができるかどうか、と回答していて、これ以上話すと長くなるのでここでやめておくけれど、改めてお客様と向き合う上でとても重要だと思っている。

タイピングするのに疲れたのでここまでとします。

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