#53 北陸応援割はシステム会社にも混乱を及ぼす(2024/03/15)
こんにちは。旅行系Webエンジニアのこへいです。
北陸応援割が始まり、あっという間に予約が埋まる宿が埋まる状況は宿側にとってはハッピーなことなのでしょうか?
〇宿泊施設側の声
ただでさえ従業員不足の宿泊施設に予約の問い合わせや苦情の電話が殺到し、その対応に追われる状況は本当に支援と言えるのでしょうか。
GoToトラベルをはじめとして消費喚起の割合サービスに関する宿泊施設側の地獄については、木下さんのこちらのnoteでも良くわかります。
また、北陸応援割を使わないことを宣言されている素晴らしい方々もいらっしゃいます。
まだ伺ったことがないのですが、とても興味を惹かれました。
〇旅行会社のシステム開発者の声
さて、この北陸応援割について旅行会社のシステムを開発する者の目線で見てみます。
正直、やめてくれと思います。
2022年の10月に宿泊施設向け予約販売システムの「TL-リンカーン」で要害が発生しました。
応援割の影響で全国の宿泊施設への予約が殺到し、大量の予約通知が発生したことによりシステムがダウンしたのです。
そういう状況に備えてシステムを構築していないから悪いんだ。と言ってしまえばそれまでかもしれません。
しかし、それは難しい注文です。
通常、旅行の予約サイトは短期間の爆発的なリクエスト(スパイク)を想定せずに作られます。繁閑期の差や夜12時前後のリクエストが多いなどの一定の波や、年単位でのリクエスト増を考慮をします。
というのも、スパイクに耐えうるシステム構成にするには開発・インフラのコストがかかるからです。
また、旅行業界はweb化への移行が早かったため、システムの老朽化という課題も抱えています。そのため、スパイクに耐えらえるようなシステム構成に変更するのにも一筋縄ではいきません。そのような背景がTL-リンカーンの障害にもつながったのかもしれません。
私の会社でも、お客様である旅行会社様がキャンペーン企画で一時的なリクエスト増が見込まれる際には都度、対処療法的な高負荷対策を実施するなどでしのぎます。
正直、大変です。。。
ちなみに、最近ではシステムのインフラをクラウド化し、スパイク時に自動でインフラを増強する仕組みや、オリンピックのチケット予約などでも利用されていた順番待ちの仕組みなどによって、システム障害を回避する手法も一般的になってきています。
ということで、大手の旅行会社や交通機関が嬉しい応援割は、宿泊施設側だけでなく旅行会社のシステムを担当する側としても不測の事態に備えた対応が必要になるため、大変なのです。という話でした。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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