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赤城SUN doで微生物展示をしました

2022年3月19日、群馬県前橋市の三夜沢赤城神社にて行われた『赤城 SUN do〜ふたつの空と太陽の道〜』にて、神社の微生物を採取・培養することで可視化し、展示する試みを実施しました。

本記事ではそのイベントレポートをお届けします。

三夜沢赤城神社で実施された『赤城 SUN do』

『赤城SUN do』では、カナダホワイトホースからのオーロラ中継、様々なアーティストによる音楽コンサート、ライブペインティング、インスタレーションなどたくさんのパフォーマンスが実施されました。

イベント会場となった三夜沢赤城神社は、群馬県指定天然記念物の「たわら杉」や「神代文字の碑」などが有名な由緒正しき神社で、入ってみると独特の空気感が漂っている本当に素敵な空間でした。

満月が冬の終わりを告げ、太陽が陽をのばし始める19日、群馬県前橋市にある三夜沢(みよさわ)赤城神社で、日本の文化を感じながらカナダのオーロラを鑑賞するイベント『赤城 SUN do(サンドゥ)〜ふたつの空と太陽の道〜』が開催される。テクノロジーが可能にした地球規模の祭典は、カナダ・ユーコン準州ホワイトホースと中継をつなぎ、現地の神秘的なオーロラをリアルタイムで赤城神社の空に灯す。

公式サイトから引用

神社における微生物の役割を考えるということ

そんな素敵な空間で行われたイベントですが、僕たちBIOTAは神社の境内の様々な場所から微生物を採取・培養し可視化する展示をしました。

イベントの主催者であり、BIOTAの理念に強く共感してくれているソウワディライトの渡邉さんにお願いされたことで実現した本展示ですが、お話を頂いたときは「このイベントでどのように微生物の展示をするべきだろうか」と僕自身もとても悩んだ記憶があります。

「いったい何を展示すればいいんだ」「何を伝えられるんだろうか」。そんな事を考えながら赤城SUN doに掲載されたメッセージ文章に辿り着きました。(ここでは一部を抜粋しますが、素敵な文章なのでぜひ全文読んでほしいです)

のびのびと裾野へ引く稜線が関東平野を包み込むように、悠然とたたずむ赤城山。赤城神(あかぎのかみ)が鎮座するその山は、多くの生きものたちのいのちを育んでいる。山は水を湛え、生きものを潤し、木々は枝葉を大きく広げ、太陽の光を恵みにかえる。土はそんな木々を支え、枯れ葉や落ち葉を新しいいのちへと循環させる。

赤城SUN doの開催におけるメッセージページから引用

これを読んだことで、神社という建造物は様々な生き物の循環が長い年月をかけて育まれている自然環境と密接に共存していること、自然環境における生命のダイナミズムを神社という存在を通して人が感じられるという側面もあるかもしれないと気づきました。

また、生命の循環を根底で支えているのは「土壌」であり、さらにはそこに生息して多様な物質循環を生み出している「微生物」は欠かせない存在です。

そう考えると、生命の循環の舞台である自然物(土壌)に共存する建造物(神社)という独特の環境において、見えないが確かにそこに存在する微生物にスポットライトを当てることで、あらゆる環境中に多様に存在する微生物について少しでも認知をしてもらえたり神社という建造物+自然物という特殊な環境の捉え方の変容などが起きるのではないかと思いました。

神社からの微生物採取の様子

そのため今回の展示では、神社の境内における様々な場所・物質から微生
物を採取・培養することで可視化し、それらを建造物、自然物に分けて展示することとしました。
建造物も、年代や素材、用途が異なる鳥居や床、壁などから採取しています。自然物も水、土、木の表面など異なる微生物が生息していそうな場所から採集を行っています。

※採取に関して宮司から事前に許可をいただきました。

鳥居からの微生物採取
御神水からの微生物採取
たわら杉からの微生物採取

また、自然物でも建造物でもない、私たち人間の手のひらからも微生物を採取しています。
人は手を使って様々なものに触れることができ、建造物や自然物すらも自由に創ったり壊したりできます。神社自体も人の手から生まれたものでもあるし、今後も人は手を使って様々なインパクトを自然に与えていくだろうと。

手のひらからの微生物採取

微生物採取後に培地を室内放置で培養しました。普段はラボにあるインキュベータにて37度まで暖めて培養するのですが、今回は室温で時間をかけて培養しました。

展示当日の様子

そしてイベント当日、赤城神社周辺はかなり冷え込んでいました。ちなみに前日の設営の際は雪が降っていたようです、、笑
そんな中でも、500名近い参加者が来場してくださり、会場はとても盛り上がっていました。

BIOTAは神社の参道に入ってすぐ横のゾーンにデスクを借りて展示をしました。ソウワディライトさんのご厚意で、おしゃれなライトも用意してもらいました!

建造物、自然物、ヒトの手のひらにわけてそれぞれ培地を展示し、生えてくる微生物の種類や量などが場所によって大きく異なることを示しました。

展示の様子

来場者の多くが足を止めて展示を興味深く見てくださり、様々な質問や感想もいただきました。
神社に微生物の展示があるというのが不思議だったと思いますが、神社やその周囲で起きている生命の循環、目に見えない微生物との共生について考えて感想をくださる方が多く、僕にとっても多くの気づきがありとてもいい機会になったと思いました。

感想など

まず、赤城SUN doという素敵なイベントに立ち会えたということがすごく嬉しかったです。イベント前にも何度か赤城神社に伺っていましたが、境内の空気感はとても独特で神聖な領域であることをひしひしと感じていました。
イベント当日もその空気感は変わらず、その中でオーロラ鑑賞したり、アーティストのパフォーマンスを見られたことはすごくユニークで貴重な経験になりました。

微生物の展示自体も短い期間での企画ではありましたが、メンバーやソウワディライト社員の方々、イベントスタッフに助けられすごく良い展示になったのではないかと思います。
展示を見てくれた人たちが、微生物という目には見えない生物を神社という空間を通して感じてくれたことが、理解の助けになったのではないかと思いました。

BIOTAでは、微生物との共生、多様性を様々な手段でコミュニケーションするための展示やインスタレーションの企画・制作に取り組んでいます。ぜひお気軽にご連絡ください。

オラファー・エリアソンの「Little Sun」。会場は足元が暗かったので大変助かりました。笑

Photo by MARIKO TAGASHIRA, Nozomi Suzuki and Kohei Ito

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