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おかえり

「ただいま、おばあちゃん」

私は久しぶりにおばあちゃんの家に帰ってきた。まあ、久しぶりと言っても1ヶ月ぶりぐらいだけど。おばあちゃんは現在一人暮らし。
両親も、私と同じく時間がある時に顔を出してはいるが、付きっきりは難しい。

「おかえり、玲」

「ただいま、久しぶりだね」

「1ヶ月だろ笑」

出迎えてくれたのは、○○。今はおばあちゃんの家の近くに住んで、面倒を見てくれている。

「どう?そっちの病院は?」

「相変わらず…そっちは?」

「のんびりスローライフ笑」

「私もそっち行こっかな?笑」

「来るとしてももうちょっと経験してから来いよ笑」

○○と私は同じ病院の同期で幼馴染みだった。しかし、4年前ある薬を巡り上層部と闘い、ここに飛ばされた。そして、おばあちゃんの近くということもあり、面倒を見ると言ってくれた。感謝してもしきれない。

「おばあちゃん、玲帰ってきてくれたよ」

「ただいま、おばあちゃん」

『ん?お客さん?お茶淹れなきゃ!言ってよ、○○!ごめんなさいね~』

「……ねぇ?」

「……」

「いつから?」

「はっきり出てきたのは玲が来た後ぐらいから。物忘れはあったけど…」

「病院は?行った?」 

「いや、まだ…」

「そう…」

「また、休みの日に行かせるけど…多分…」

「…まあもう歳だもんね…」

「無理…すんなよ…」

「うん…」

とは言ったものの、大好きだったおばあちゃんに忘れられるのは年齢のせいだと割りきるような気持ちにはなれなかった。

「いつまでいるの?」

「明日まで…」

「俺明日は仕事だけど大丈夫?」

「うん…」

「あれだったら帰ってもいいからな?」

「大丈夫…」

「そうか…俺と仕事は味方やから」

「仕事?」

「仕事してたら何もかも忘れられるから、俺は。多分玲もそうだと思う。」

「明日、病院行ってもいい?」

「なんで?笑」

「久しぶりに○○の仕事ぶりみたいから」

「救急やから…邪魔にならんとこおれよ」

「ありがと!」

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次の日。

「おはようございまーす!」

「なに?彼女職場に連れてきたの?」

「里奈さん、違いますよ…」

「先輩おはようございます!」

「あ!小田倉さんおはよ」

「随分ハーレムなんだね?」

女の子に囲まれていることにすこーし腹が立った。好きとかではない。

「お怒りのようだよ?」

「大丈夫っすよ。てか、こいつ俺の仕事ぶり見たいって来たんですけど…」
 
「見るんやったらそこのベンチで、ご飯とかはごめんやけど仮眠室使って~」

「わかりました~」

9時を時計が指し、○○の顔つきが変わった。

「ふぅ…頑張りましょ!」

「平和だといいですね」
 
「そんなこと言ってると…」

『頭部外傷患者!意識レベルⅠ-3です!』

「こうなんだよ笑」

楽しそうに仕事してるな~昔のまんまだ…。
私はあんな顔して仕事してるだろうか?

「お名前言えますかー?今日何月何日?よし、CT撮るよ~」

『○○さんこっちの患者もお願いします!』

「わかった!」

「里奈さん任せました!小田倉さんはこっち来て」

「こんにちは、どうされました?」

『背中が痛くて…』

「わっかりました…ちょっと触りますね~痛かったら言ってくださ~い。ここは~?」

『お腹も…痛い…』

「造影CTオーダーしといて、小田倉さん」

「えっ?」

「腹部大動脈解離だ」

「わかりました!降圧剤も持ってきます!」
「助かる!」

うわーっ…やってんな…なんかうちの病院より
忙しい気がするんだけど…。

「田舎やのに忙しいと思っとうっちゃろ?」

「あっ…里奈さん…?」
 
「せいかーい!里奈でええよ」

「私も玲で…」

「まあ、高齢者が多いけん…」

「そりゃそうか…」

それから、私は飽きておばあちゃんの家に帰ってきた。

お昼
プルルルルルッ

「なに飽きて帰っとるんや~」

「ごめんて…」

「まあ、ばあちゃんのこと頼むぞ」

「んー」
 
「ごめん!切るね」
 
「がんばってー」

「はいはい…」

プツッ

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その後、何事もなく晩に。

明日から仕事か~楽しいけどやっぱやだな~
てか、おばあちゃんのご飯楽しみだな~
美味しいんだよね~やっぱおばあちゃんの味ってやつ?落ち着く…

バタンッ!

ん?台所の方から…?まさか…

急いで台所に向かうと、頭を押さえてうづくまっているおばあちゃんの姿が。

「おばあちゃん!おばあちゃん!」

『頭が…痛い…』

「救急車!えっと何番だったっけ?あ!119だ!」

人間パニックになると、何もわからなくなる。
頭が真っ白になるとはこのことだろう。

その後、○○のいる病院へ搬送され…

「どうやった?」

「くも膜下…」

「そう…」

「俺が…検査行かせんかったから…」

「大丈夫なの?」

「わからん…これからオペ…」

「大丈夫!おばあちゃん強いから!」

「うん…」

点灯する手術中のランプ。私たちはいつもあの向こうで闘っている。同じ病院なのに世界が、気持ちが違う…。当たり前か…。

灯っていた灯りが消え、執刀医の先生がこちらに向かってくる。どうか無事であって……。

『成功だよ』

その一言で私たちは安堵し、2人で泣いた。

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次の日、おばあちゃんは目を覚ました。
「おばあちゃんおはよっ」

『れ…い…?おか…えり…』

「おばあちゃんも!おかえり!」

『?』

キョトンとした顔でこちらを見る。そりゃそうか。こっちの男は吐きそうな顔をしている。

「本当…よかった…」

「○○のせい違うから!もう大丈夫なんやから笑顔!」

「うん…」

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5年後…








「おかえり玲」

『おかえり!ママっ!』


○○とは当時は予想もしていなかった関係になりました。










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