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ビジュアルツールで思考が動き出す

ビジュアル・ツール 」という言葉は、
国語ではあまり一般的ではありません。

そもそも私は、
図にする」ということに、抵抗感すらありました。
本文を図にまとめては単純になりすぎる
まとめた気になってしまう
しかしこれは、私の誤解だったのです。

まず、何のために図を用いるのか。
主題を「まとめるため」とするならば、
「自分の言葉で、文字で書き表す」
という活動の方が“国語的”かもしれません。
しかし、
考えるため」「考えを共有するため
ならば「図にする」ということは、
効果の高い活動になります。

このことに気づかせてくれたのは、
山本茂喜さんの
「ビジュアル・ツール で国語の授業づくり〜思考力を育てる10のツール〜」

という本でした。

実際、この本と出会うまでにも、
説明的文章や、文学的文章の対比すべき事柄について、
上下や、左右に分けた表を使って、まとめさせたことはありました。
しかし、
ビジュアル・ツール 」は、単に直線で区切った箱ではないのです。
それぞれに意味と機能を持った道具なのです。

例えばサムネイルにしてある、
二項対立チャート
右側に主人公(あるいは主題)、
左側に主人公(あるいは主題と対立するもの
それぞれの「対立している点」を書き込んでいきます。

生徒はまず、対立するものが何なのかを考えます。
その上で対立している点を列挙していくのですが、
正しいものを選ばないと
対立している点」が見つかりません
そうした活動の中で「二項対立」について気づきます。
その後、班、クラスと、共有範囲を広げていく中で、
自分や自分たちの間違いや、
対立が象徴するもの気づくことができます。

箇条書きで書き出すだけでは、
紛れてしまう間違いや、
発展のヒントが、
視覚化することで、
発見できるという仕掛けになっています。

二項対立」という概念を生徒に与えるだけでは、
生徒にとって分かりにくいのですが、
ビジュアル・ツールを与えられたことで、
視覚化され、はっきりし、
思考できる、議論できるようになります。

山本茂喜さん
「ビジュアル・ツール で国語の授業づくり〜思考力を育てる10のツール〜」
http://www.toyokan.co.jp/smp/book/19/b207664.htmlこちらは残念ながら絶版ですので、

新しく出ているこちらが良いかもしれません。
山本茂喜さんの
「思考ツールで国語の『深い学び』」
http://www.toyokan.co.jp/book/19/b341455.html

ビジネスの世界では「シンキング・ツール」として紹介されています。
また、思考できるツールと強調した方が、
国語科の教師にも受け入れられやすいと考えての改題かもしれません。

興味のある方は是非手に取ってみてください。

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