文法演習のひと手間で
「文法がよくわからない。」「文法が苦手です。」
という生徒の中には、そもそも、文法演習に使うワークを持ってこない生徒というのが、クラスに1人はいるものです。そもそも無くしてしまっているということもありますね。そこまでいくと自己責任と言うこともできるのですが、何とかできないかと考えました。
まず、教師用ワークをスキャンして、スライドを作りました。
ワークを忘れてきても、問題がモニターに映されるので、ノートに解けるのです。
スライドを作るのは面倒くさいと思うかもしれませんが、ポイントは教師用ワークを使うということにあります。
教師用ワークは、解答例が印字されています。
修正テープを貼る要領で、図形を貼り、ビルドアウト(図形を消す)のアニメーションをつければ良いだけです。
問題や答えを毎回の授業で黒板に書く手間を省けると思えば易いものです。
また、ワークにまとめの部分があれば、半透明の図形を用いて、マーカーで重要語句に印をつけるような演出も可能です。
手慣れてくれば、一回の授業準備に10分とかからないでしょう。
ただ、このやり方には弱点があります。
問題のレイアウトがワークのままなので、後方の座席の生徒の視力によってはよく見えないのです。
「眼鏡をかけろよ」とお思いの読者の方の心の声も聞こえてきそうですが、そもそも今回の対策の対象生徒は、眼鏡を忘れることだってあるのです。
そこで今回は、生徒に一台ずつリースされている端末、Chrome bookを活用することにしました。
本市では「ミライシード」を導入しており、「オクリンクプラス」というものが使えます。※1
簡単に説明すると、
教師、または生徒が作ったカードを編集し、みんなの見える場所にアップすることができるという性質のアプリケーションです。「マイボード」という場所は生徒自身にしか見えず、「みんなのボード」は誰からも編集内容が見えます。また、「みんなのボード」では、いくつでもボードを増やすことができます。
そこで、生徒全員のマイボードにワークの問題を貼り付けたカードを配布することにしました。
これは先ほどスライドで答えを空欄にしたものをスクリーンショットするだけなので、1秒で画像が作れます。
ただ、オクリンクプラスは縦書き対応していないので、解答欄が必要になります。グレーのところが解答欄です。
これでワークを忘れていても、Chrome bookを持ってきていれば、自分の手元で問題を見ながら解くことができ、授業に参加できます。
さらに、このオクリンクプラスでは、ボードの設定によって、提出した順に並べるという機能があります。
それを使ってクイズ番組のように、競争ができるのです。
アナログ授業で文法の問題をしていたときも、「できた人から手を挙げる」というルールで、手を挙げた瞬間に「1番!2番!」とコールして競わせていましたが、機械の判定の方が正確になります。コールする方が盛り上がるのは否めませんが、競争意識を持って取り組むことはできます。
また、副次的な効果ではありますが、ワークに書き込まないということは、テスト前にその問題を使って自習できるということでもあります。文法のような「できる学力」を養成するにはどうしても練習量が必要ですから、反復トレーニングができるというのは真面目な生徒にとってありがたいようです。
現在の課題は、生徒の入力速度が遅いことです。手書き入力など活用しても、やっぱり本誌に書き込む速さには勝てません。対策として、もっとカード一枚の問題を少なくして、手書きペンで書き込めるカードにすれば解決できますが、スタイラスぺンを配布していないことと、準備工程が増えてしまうことがネックです。
まだまだ改善の余地はありますが、教師は授業時の手間が省けて、生徒は演習時間、演習機会が増えるアリな手だと思います。いかがでしょうか。
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