なんとなく春を感じたくなって
ふと春の気配を五感で感じたくなって、地元のはままつフラワーパークへ出掛けてみた。正面入り口には、春先の球根や春に咲く花の寄せ植えがいくつも並べられている。
入場券入り口でチケットを購入する。
年パスなら3回いけば元が取れる計算なのだが、ちょっと悩んでいつもの入場券にした。が、それはすぐに後悔することになる。
はままつフラワーパークでは、季節に応じて料金が変わるシステムを取り入れている。今の季節は、ハイシーズン前の金額。
つまり二番目に高い金額設定になっている。
入場した途端に迎えられたのは、若葉の色とよく晴れた青い空。
バラをはじめとして20年以上植物を育て、一時期は仕事にもしていたくらいに植物が大好きな私。「大好きな季節がやってきたんだ!」とうれしくなり、気持ちはいやがおうにも高まっていく。
思えばここ数年は、仕事の事やコロナなど取り巻く環境の変化でゆっくりと緑を楽しむこともできなかった。
数年ぶりのはままつフラワーパークはとても進化していた。
現在の理事長は、世界中に素晴らしい庭園と讃えられるあしかがフラワーパークを立て直した塚本こなみ氏だ。
日本中のガーデナーが憧れる著名人を次々と引き入れては、園内に魅力的なスポットを作りあげている。加えて塚本理事長がもっとも得意とする藤も組み合わされて、有名ガーデナーの作り上げる庭との美しい饗宴が楽しめる。
塚本理事長が就任してから、10年を迎えるはままつフラワーパーク。
その努力が身を結びつつあるように思えた。
今年は見逃せないな・・・!
そう感じるほどに、見どころがたくさんあると断言できる。
わたしが好きなバラ園からの観点からとなるが、就任当時はいわゆる古い品種しか植えられていないような状態だったように思う。
それはそれできれいだけれど、最新品種のバラや植栽の美しいあちこちの有名ガーデンに出かけていた当時の自分としては、とても残念でならなかった。同様にパーク内の植栽デザインセンスも古くて、正直目新しさのないものだったと思う。
現在は横浜イングリッシュガーデンのスーパーバイザーである河合 伸志(かわい たかし)氏を指導者として迎えている。
バラ園では、芽かきの作業中ということで複数の担当員がバラの手入れに従事していた。
バラの株の大きさや芽吹きの様子、ツルバラの仕立て方や下草の取り合わせ。見るとわくわくしてきた。今年の5月の開花シーズンは見に来なくては絶対に損をする出来具合のように思う。
せっかくだからお昼も外で楽しもうと、ここにくる前に購入してきたお弁当でランチを楽しむ。冷たいお茶を飲んでひとこごちつけて、ボーッと道向こうを歩く人たちの話し声をなんとなしに聞く。
少し冷たくてきもちよいそよ風が、芽吹いてまもない葉をゆらゆらを揺らす姿や、水鳥の鳴き声。
時折飛び跳ねる鯉の水音を聴いていると、少し疲れてささくれていた気持ちをゆっくりと静かにしていくのを感じる。
ひとりでこうやってどこへともなく出かけてボーッと過ごす時間は、私にとって必要だ。
大勢の人と過ごすのもたまにはいいけれど、その中にいるとどんどん自分を見失っていく。
そのうち自分が感じている今の気持ちさえ、どちらのものなのかわからなくなる時もある。自分がすり減っているのだと思う。
これは持って生まれた性分なので直せるものではない。
だから、そういうのが理解できない人と関わると本当に疲れてしまう。
少し放っておいてほしいとも思う。
私が私自身を取り戻すための時間を奪わないでほしい。
今年は年パスを購入してこまめに平日に通おうと思う。
今日のようにまたぼうっと景色を眺めて遠くに聞こえる音を聴くともなしに聴いて。