【小春の着付教室】第27号●長襦袢:お袖(無双と単衣)
こんにちは。着付師・着付講師の *小春*です(*^^*)
本日もよろしくお願いいたします。
前回の衣紋抜きについてお伝え致しました。衣紋抜きと仲良くされていた方は、衣紋抜きに「さよなら・・・」と伝えましたでしょうか。
今すぐ無理にサヨナラしなくても良いですよね。着付けに時間と手間をかけても良い場合、衣紋抜きが大好きなの!、今はまだ無理!という方は、衣紋抜きともう少しお友達でいてくださいませ。
そして、使用しなければ「この作業は不要になる」「なくても衣紋が抜ける!」と思考を少しずつ変えていくことで、技術向上にも繋がります。
しばらくすると、今までと違った自分に驚きます(*^^*)
長襦袢の衣更え(ころもがえ)
長襦袢にも着物と同様に衣更えがあります。着物の衣替えについては着物の時にお伝えしますね。少しお待ちくださいませ。
長襦袢生地にも季節があり、仕立てにも季節があります。
順番にお伝えして参ります。
1.袖無双(そでむそう)の長襦袢
お袖が二枚合わせになっています。お洋服で言いますとお袖に裏地がついている感覚です。これを「袖無双(そでむそう)」と言います。
主に袷(あわせ)の季節に合わせます。
着物の袷の季節は10月から5月までですが、長襦袢の場合は着物からひと月程ずれままして、主に11月から4月までが袖無双の着用期間となります。
アバウトな書き方なのは、昔よりも気温が上がり昔の決めごとにはあてはめられない場合が出てきたからです。
そろそろ変えても良いのでは?と思いましたら、その月の中旬を境に変えても大丈夫です。
いえいえ、メルマガ配信の2009年頃はこのようにお伝えしていましたが、気温の変化が更に激しくなった現代では昔の決め事に従っていましたら体調不良、熱中症を起こしてしまいますから「衣更えの決まりごとは知っているが、今日の気温に合わせてこうしている」ということで、普段着物でしたら洋服のようにもっと自由にして良いと思っています。
私自身そのようにして過ごしていますが、特にうるさくいう人はいません(*^^*)
さて、話は戻りまして、
それでは10月と5月は袖無双ではないとしますと、どうするの?何を合わせるの?と思いますよね。
10月と5月には単衣(ひとえ)の長襦袢を着ます。袖無双はお袖の襦袢生地が2枚でしたが、単衣はお袖の襦袢生地が1枚になります。
着物の下に着ているものから衣替えをして行くのです(*^^*)
そうすることで、いきなりの衣更えではなく順番に薄物へ・・・、順番に厚物へ・・・と移していくのです。
何だかステキに感じませんか?
2.単衣の長襦袢
先ほどの袖無双はお袖が二枚で、着物に快適な季節にお召しになる方用に一般的な長襦袢となりますので、多くの方がお持ちの長襦袢です。
単衣の長襦袢を作る方はきっと着物が大好きになり、いつでも着物を着ていたいと思った頃だと思います(*^^*)
その時に、長襦袢の衣替えについて勉強したい!詳しく知りたい!と思うのですね。
皆様はいかがでしょうか。
単衣の長襦袢の着用月は、
◎9月(中旬)~10月
◎4月(中旬)~5月
ここでもアバウトな書き方ですよね。
秋には単衣着物の季節よりもひと月遅く着終わり、春には単衣着物の季節よりもひと月早く着はじめます。こうすることで快適に過ごすことが出来るのです。ステキでしょう~(*^^*)
上記の着用月では、ひと月ちょっとのずれもありますが、これも気温によって変えてもOK!ということです。
春は気温が上がるのが早いですから、4月上旬でも暑さを感じ始めたら単衣にしてしまいます。
お袖がね、二枚から一枚になるだけでとても軽く感じますし、涼しさも加わります。たった一枚の違いですが全然違います。
春先の衣更えでは「爽やかな季節が来たわ~♪」と、毎年そう思います。
◎単衣の着物+単衣の長襦袢
このような組み合わせで着物を着用することはありません。
着物初心者さんはきっとこのような組み合わせに考えますね。私もそうでしたもの。そしてそのように着ていました(汗)
この組み合わせでも良いのかもしれませんが、でもね、やっぱり暑いのです。
ですから、着物を快適に着る為には、表の着物とその下に着る長襦袢を上手に組み合わせて、季節や気温に合わせ快適に着物を楽しめるようにするのが一番です。徐々にの衣更えがベストです。
そう考えると、よく理解できるのではないでしょうか。
3.夏用の長襦袢
夏用長襦袢はすぐに分かります。袖無双や単衣とは生地が異なります。
お袖は単衣の長襦袢と一緒で、夏用長襦袢も一枚です。
透けている生地の絽(ろ)や紗(しゃ)の夏用の長襦袢生地となります。
「絽」「紗」など、見るからに涼しい織りですね。
▼絽
▼紗
▼麻
涼しい素材の麻も好まれますね。
肌触りがサラッとしていて気持ち良く過ごせます♪
もちろん正絹もありますし、ポリエステル、その他混紡生地もあります。
涼しさを考えると、やはり天然素材がお勧めです。
取扱いを考えると、ポリエステル素材は手間なしです。
麻素材も家でお洗濯できますので、素材による快適さとしては麻がイチオシです。正絹でも洗えるタイプがあります。
夏は汗をかきますのでお手入れは必ず必要になります。素材によりそれぞれに利点があり、不都合と感じる部分もあります。目的、お好みでお選びになってくださいね。
夏物長襦袢の着用時期
夏物長襦袢の着用時期は、普通ですと7月と8月でしょう?って思いますよね。
でも今まで書いてきました内容を振り返って頂きますと、違うわ!とお気付き頂けると思います(*^^*)
ええ。そうなのです。7~8月の2ヶ月だけではなく、夏物の長襦袢を着る期間って長いのです。6月から9月まで約4ヶ月も着られるのです。
先ほど書きましたが、5月に長襦袢のお袖が単衣になると涼しさを感じるように、6月単衣の着物に夏の長襦袢を合わせると快適になります。
袖無双から単衣に変わったときはお袖のみの変化でしたが、単衣から夏物に変わるときはお袖だけではなく身頃も夏生地に変わりますのでとてもとても軽く快適になります。裾さばきにも変化を感じます。
長襦袢のお仕立て
夏物の長襦袢のお仕立てでは、袖無双に仕立てることはありません。襦袢生地の用尺が短めになっていますので袖無双には仕立てられません。
夏物以外の長襦袢は生地の長さが一緒ですから、仕立てをお願いする時には
「袖無双にしますか?」
「単衣にしますか?」
と、聞かれます。
その時に、さらりと、
「袖無双でお願いします(*^^*)」
「単衣でお願いします(*^^*)」
と言ってみてくださいね。
この方、素晴らしいわ~!ちゃんと知ってるのね!と思って頂けます。
購入する際は、いつ着るための長襦袢が必要なのかを頭の中で整理しておくと良いですね。お気に入りの長襦袢生地を見つけたら、その季節に相応しい生地の厚みかを確認しましょう。
袖無双の長襦袢が一番長く着ることは出来るのですが、真冬に着る長襦袢と春先に着る長襦袢では求める生地の厚みが異なります。
真冬には生地厚の方が良いですが、その長襦袢を春先に着るには少し暑すぎるように感じてしまいます。単衣長襦袢の衣更え直前では尚更そう感じてしまうことでしょう。
平均的な着用期間は
◎袖無双・・・約6か月
◎単衣・・・・2~3か月
◎夏物・・・・約4か月
ですが、私は
◎袖無双・・・11、12、1、2、3月の約5か月
◎単衣・・・・3、4、10、11月の4か月
◎夏物・・・・5、6、7、8、9、約5か月
と、あまり差はありません。
上記には単衣の期間が一番短いですが、着物の袷の季節でも急に気温が上がるときには単衣の長襦袢を着ますので、使い回しとしてはとても重宝します。
昔と今では気温が違い生活様式も変わっていますので、普段着物ではご自分が快適に過ごせるよう工夫することも大切と思います。
素材によってやお勧めの仕立てもありますので、次回詳しくお伝えしますね。
いかがでしたでしょうか?
初めて聞いたわ~という方もいらっしゃるでしょうし、私とは考えが違うと思われた方もいらっしゃるでしょう。
ご自分が快適だと思われる方法で進めて頂くのが一番です。お洋服でもそうでしょう?気温でも感じ方は人それぞれです。
昔からの衣更えの決まりごとはありますが、現代に合わせた快適な過ごし方でなければ普段着物を楽しむことは出来ませんもの。
私は更に快適に過ごしたく、ちょっとした工夫で単衣の長襦袢を作りました。改めてご紹介させて頂きますね。
■次回予告
*長襦袢:織りと風合い
※この内容は、私が販売する着付け・帯結びテキストご購入者様向けに2009年より配信していた内容を一部修正および加筆編集し一般公開として掲載しております。
● 小春日和*小春流着付*着付師さん応援ブログ
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