【小春の着付教室】第49号●着物:寸法(3.繰越)
こんにちは。着付師・着付講師の *小春*です(*^^*)
本日もよろしくお願いいたします。
繰越
着物寸法で、あまり馴染みのない繰越(くりこし)。
繰越を多くすることで、衣紋を抜きやすくします。
衿が縫い付けられているところの衣紋を抜く部分、肩から後ろ側ですね。
カーブして縫われていることろがあるでしょう。衿肩明きのところです。
肩山よりも後ろに繰れて衿がついていますでしょう。この繰る長さを「繰越」の寸法としています。
首や肩周りがふっくらされている方、首が短めの方は衣紋を多く抜くことでスッキリした衿元、首回りとなりますね。
着物のお仕立てで繰越を多めに指定しておきますと衣紋が抜きやすくなります。衣紋を抜きやすくするように繰越の指定をしてのお誂えは、着付けの先生方では常識です(*^^*)
衿を寝かせやすくなりますし、そのお蔭で首は長く見え、美しい着物スタイルを作りやすくなります。
繰越を多めに指定するだけで衣紋を抜きやすくなるわけですから、衣紋を多く抜きたい方は今後の参考にしてみてくださいませ。
繰越は通常2センチ(5分)、多めで3センチ(8分)。
いかがでしょう。繰越は何センチにされていますか?
着物お仕立て時の寸法表に記載されていますので、ぜひお控えを確認してみてくださいね。
長襦袢との兼ね合い
着物のみ繰越を多めにしてもよろしくありません。長襦袢の方は普通寸法の場合は微妙にズレが生じます。この逆でも同じです。
着物と長襦袢の両方の繰越寸法を合わせて綺麗に整えたいですね。
指定しなければ、普通寸法
仕立てを願する際、繰り越しの寸法をお願いすれば指定寸法にて仕立てて頂けますが、指定しなければ普通寸法の2センチ(5分)となります。またはお仕立てされる方、お店の統一指定や担当者のお好みで決められます。
こだわりたい方は必ず指定するようにしましょう。細かいことは気にしない!のであれば、指定寸法としてお願いする必要はありません。
分からない場合、特に伝えなくても大丈夫です。お任せになりますので。
先にもお伝えしましたが、首や肩周りがふっくらされている方、首が短めの方、肩に厚みのある方など、また衣紋を自然に抜いてしまいたい方はお誂え時に相談してみると良いです。
親身になってくださり、参考材料としていろいろとご提案してくださいます(*^^*)
呉服店によっては、衣紋を多く抜けるよう配慮して、繰越を多めにしてくださる場合もあります。有り難いことではありますが、今までのご自分の寸法でのお誂えではなくなってしまいすので、勝手にされてしまうのは迷惑になることもあります。今までの指定寸法がある方は、この繰越寸法を見落とすことなく、しっかりと確認すると安心ですね。
衣紋を綺麗に抜く
繰越を多くとれば、必ずしも上手に衣紋を抜ける!とは限りません(>_<)
「私、衣紋を綺麗に抜けないから多めにとっておこう!」
と、安易に考えないでくださいね。
繰越を多めに指定すれば衣紋は抜きやすくなりますが、それが全てではありません。着付け技術も伴いますので、意識して着付けることは必要です。
多めの繰越寸法にしたお蔭で、簡単に綺麗に抜くことが出来るようになった衣紋であっても、背中の処理を怠れば衣紋は動きやすくなります。いつの間にか衣紋が詰まってしまうということは当然起こります。
着付けの練習も頑張って参りましょうね(*^^*)
着物から繰越を知る
着物寸法表が手元にあればすぐに繰越寸法を確認できますが、簡易的な寸法表の場合は繰越寸法までの記載は無いかもしれません。
知りたい方は、誂えた呉服店などに問い合わせしてみると教えて頂けます。
分かりましたら、今後のためにも手帳に記しておきましょう。
問い合わせて確認することができない方は、ご自分で着物を測ってみましょうね!
《1》
前身頃は脇縫い線で折り合わせて綺麗に整えておきます。
《2》
着物の後ろ身頃を上にしておきます
《3》
肩山から繰れている部分までの幅が何センチあるかを測ります。
いかがですか?測れましたでしょうか。
ここで分かった数字が繰越寸法となります。忘れないうちに、手帳に記しておきましょうね(^_-)-☆
おわりに
私の繰り越しは、通常の「2センチ」
はじめからずっとこの寸法です(*^^*)
呉服関係の仕事をしていた時、よく繰越について質問を受けました。
また、しっかりと自分の寸法を把握されている方は、ご自分で寸法を書いてくださいました。繰越寸法「3センチ」などとね(^_-)-☆
ご自分の寸法を把握できていることは素晴らしいことです。
ステキです♪
繰越の多さに関わらず、衣紋は綺麗に抜くことができます。多く抜くことも少なく抜くことも可能です。着付け技術ですね(*^^*)
しかし、多く抜く衣紋がお好みの場合には、お仕立てで繰越を多くとった方が肩山の位置が後ろに行き過ぎることが無いため綺麗に見えます。
これは、袖山・肩山の位置の関係からです。
繰越が普通寸法ですのに、必要以上に衣紋を多く抜いた場合は、袖山・肩山の位置が後ろの方に決まってしまいます。
それに比べ、繰越を多く指定した寸法で仕立てた着物の場合には、袖山・肩山の位置が後ろへ下がりすぎてしまうことがありませんから、綺麗な後ろ姿となります。
ん~!
理解できないわ!と思われた方、もっと詳しく知りたいと思われた方は、着物の仕立てについての詳細、和裁についてもお勉強されてみてくださいね(^_-)-☆
これから着物との付き合いが長くなります。
寸法によって着やすかったり着にくかったりということが身体で分かってきますので、着やすい着物を頻繁に着用し、着にくいと感じる着物は自然と着用回数が減ってしまいます。せっかくのお誂えなのですから、そのようなことの無いよう、ご自分のサイズを指定した寸法でお着物を誂え、沢山お召しになって頂きたいです。
いずれ、着物の寸法がいかに大切なのかを実感できる日が訪れます。
「何でかしら?」「何が違うの?」「どうして?」と疑問に思ったとき、すぐに調べると頭によく入っていきますわ。
着付けの先生や呉服屋さん、お着物仲間にも質問してみると良い知識を頂けることでしょう。楽しみながら覚えてくださいませね。
それでは、また明日に続きます♪
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
■次回予告
*着物:寸法(4.衿下)
※この内容は、私が販売する着付け・帯結びテキストご購入者様向けに2009年より配信していた内容を一部修正および加筆編集し一般公開として掲載しております。
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