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【小春の着付教室】第31号●長襦袢:正絹と化繊

こんにちは。着付師・着付講師の *小春*です(*^^*)
本日もよろしくお願いいたします。

正絹と化繊の違い

正絹と化纖の違いは、もちろん生地の素材。

・正絹は天然の織物
・化繊は人工の織物

両方の織物の着物をお召になったことのある方は、お気付きだと思いますが、天然素材ということで正絹の方が温かいですね。体へしっくりと馴染みます。

また裾さばきに関しても、正絹の方がしなやかですね。
化繊はどうしても「バサバサ」という感があります。

こう書くと、やっぱり化繊はダメね~となってしまいますが、化繊が良いと思うところもあります。

・汚れを気にせず着られること
・お洗濯は自宅の洗濯機で簡単にできること

長襦袢に化纖の半衿を縫い付けておきますと、半衿を外すことなくそのまま洗濯機に入れてお洗濯が出来てしまいます。ですから半衿を付けたり外したりする回数がグッと減ります。違う半衿にしたいと思ったときのみ半衿を付け替えます。最初の一回のみの半衿付けで済み、お洗濯した綺麗な状態でいつも着られるなんて魅力的です。手間なしです(*^^*)

更に、

・雨の日でも気にせず着られること

また、

・近年の化繊は正絹に近い風合いを持っていること

などの特徴もあります。
いかがでしょうか。
簡単に上げてみただけでもいろいろあります。
ですから、どちらの素材が良い!と一概には言えないのですね。
どちらにもそれぞれ良い点があるのです。

着用する際、目的によって使い分けをすれば良いのです。
これは着物も一緒ですね。
「礼装に化繊はダメなのよ!」というお声を聞きますが、ダメではありませんし、失礼でもありません。
柄付けが訪問着ならば、訪問着の格があるのです。
ですから、堂々とお召しになって頂きたいと思います。

ただ、化繊でも生地の風合いのランク(良し悪し)は様々です。
お値段によっての違いで比べるのは偏りがあると思いますが、一流のメーカーが作っている化繊には、優れた技術が沢山!盛り込まれています。
正絹に近い風合いまで作り上げる技術がありますしね。

化繊は長く着用しても、何回お洗濯しても、風合いが変わりません。
※品質にもよりますが・・・

正絹と化繊の相性

・着物は正絹
・長襦袢は化繊

この組み合わせ、喪服セットに多く見られますね。
喪服の表生地は正絹、裏物の胴裏(どううら)・八掛(はっかけ)または裾回し(すそまわし)が化繊の組み合わせで仕立てられている着物です。

※八掛と裾回しは同じものですが地域により呼び名が違います

長襦袢を化繊でお召しの方は多いのではないかしら。
着付けを習い始めのお稽古で、プレタの長襦袢を購入されたりと、身近な長襦袢ですね。
そのうちに正絹の着物を誂える機会があり「長襦袢は?」と思ったとき、練習で着ている長襦袢があるからそれを合わせればOK!と、長襦袢は化纖を合わせる流れも多いと思います。

このね、正絹と化繊の組み合わせ、実はすごく仲が悪いのです。

特に冬には空気が乾燥して静電気が!
ご経験はありませんか?「静電気」で裾がまとわりついてイライラ!

これは本当に厄介ですね。
化繊同士の組み合わせの場合はそれほど静電気は起きないのに、正絹と化繊を合わせると凄く静電気が発生するのです。

静電気防止スプレーを使用すればある程度は抑えられますが、その際にはくれぐれも正絹生地の方へはかけないでくださいね。
スプレーするのは化繊の方へ。出来れば長襦袢の内側にスプレーして正絹には触れさせない方が良いです。シミなどの原因となってしまいますから、正絹の生地へ飛ばないように細心の注意が必要です。

また、残念なことに、静電気は埃を吸い寄せますね。その為、そのような状態が続くと裾が黒ずんでしまったりもします。
ですから、正絹と化纖の組み合わせはお勧めできません。どうしても組み合わせたい場合には、充分にお気をつけ頂きたいと思います。

お身体が乾燥していると、静電気はより発生しやすいと思いますので、足にボディーローションやクリームを塗っておくのも効果的です。

そして肌着、特に裾よけには柔軟剤で静電防止、長襦袢もお洗濯時には柔軟剤を用いるなども効果的です。

柔軟剤を使用した状態で長期保存しますと黄ばみの原因になる場合もありますので、着用後しばらくお召しにならない場合には柔軟剤不使用の状態で保管することをお勧めいたします。
これもポイントですね。

以前ご紹介しましたせいでん糸を縫い付けるのもお勧めの方法です。


生地のハリ

正絹と化繊では、体に触れる感じが違いますので、場合によっては寸法さえも変わってきます。正確には違うように感じられます。

これは正絹と化繊の生地の違いだけではなく、織の違いによっても変わってきますね。
表の着物よりも中に着る長襦袢の方が、柔らかくたれのある感じですと、
袖口から見えてしまう場合もあります。

これは長襦袢が正絹で、着物が化繊の場合に出やすくなります。
腕を曲げた時、張りのある生地よりも柔らかい生地の方が下がることで出やすくなるのです。

ここでも寸法の話につながってしまうのですが、着物と長襦袢の関係って、本当に奥が深いのです。

組み合わせによって、「この着物の時だけ、長襦袢が袖口から見えてしまって・・・」と、このような経験をされている方もいらっしゃると思います。

風合いの違いから止むを得ないことですから、着る時の組み合わせにも気を付けるようにすると良いですね。

白の長襦袢

長襦袢に限らず、正絹と化繊って「白」のお色が違いますね。

・正絹はアイボリー、オフホワイトっぽく
・化繊の白は「ザ・白!!!」っていう感じの真っ白(笑)

私はどちらかというと正絹の白が好きです。
柔らかさを感じますしね。

でも、綺麗な白は?と言えば、やはり化繊の白。
輝いた白色!これぞ白!ですものね。

化繊は、当然ながら変色することはありません。化纖でも保管状態が悪い場合、シミなどから変色してしまうことはありますが、柔軟剤や手汗などに気を付けてしまうと防げます。

正絹は時の経過と共に徐々に飴色がかってきます。またシミなどありますと、その部分の変色は大きく変化します。

留袖や喪服、式典などの色無地には白の長襦袢を合わせますが、あまりにもお色が変わり過ぎて、ちょっと・・・、そう思われた場合は新しい白の長襦袢をお求めになりますね。

そうすると、今まで着用していた長襦袢は見向きもされなくなってしまいます(涙)
可哀想に・・・

そのままにしてはもったいないですから、色をかけて普段用の長襦袢として大いに着用致しましょう!

お好きなお色に染めて普段に着ることとなれば、長襦袢も喜びます(*^^*)
新しく購入しなくても、新しい長襦袢が増えますね。
ただし、この場合、

 *解き代 *洗い代 *染め代 *仕立て代

これだけ料金が発生します。シミがあれば染み抜き代もかかりますので、それならば新しい長襦袢を買った方がお安いかも・・・!?となりますね。

でもね、この長襦袢が想い出のお品でしたら?
何とか着られる形で残しておきたいと思いますよね。

物の価値観は人それぞれです。
これはお勧めしているわけではありませんが、このように生まれ変わらせることも出来るということをお伝えいたしますね(*^^)v

残念ながら化纖の場合には正絹と同じようにすることは出来ません。解いて縫い直しをすることは考えられていませんので、ミシン縫いがほとんどです。手縫いであっても縫い直しして着用することはまずありません。

おわりに

私の母が亡くなったとき、母が着用していた白の長襦袢が留袖と一緒に出てきました。
その時すでに私は自分の白の長襦袢を誂えていましたので、二枚あっても仕方がないと思い、その長襦袢に色を掛け普段用の長襦袢としました。今も普段用に着ています(*^^*)

仕立て直し代金はかかりましたけれど、この長襦袢を着る度に母の着物への思いはどんな感じだったのかしら?
この長襦袢と留袖を着て私の結婚式に出たかったわよね・・・などといろんな想いがわき上がってきます。

そしてこの長襦袢を着ていることで、母と一緒にいる、そう思うと心が温かくなるのです。
染めて、仕立て直しをして良かったと思える私の大切な長襦袢となりました。

皆様も、想い出のお品がありましたら、呉服屋さん、悉皆屋さんにご相談してみてくださいね。キャンペーン中だったりしますと、思っていたよりもお安く良いお品に仕上がることもあります。

ゆっくり寛げる時間がありましたら、箪笥の中の遠い昔の想い出を探してみてくださいね(*^^*)

次回より、いよいよ長襦袢の着付けに入ります。
長襦袢についてのお勉強はしっかりしましたしね!

ここまでの内容は興味なく面白くなかったかもしれませんが、大切なことをお伝えしてきました(^^)
この数日間にお伝えしてきたことが、これからの着付けに大いに活かされることとなります。

それでは、また明日に続きます♪
最後までお読みくださり、ありがとうございました。

■次回予告

*長襦袢:着付け小物

※この内容は、私が販売する着付け・帯結びテキストご購入者様向けに2009年より配信していた内容を一部修正および加筆編集し一般公開として掲載しております。

● 小春日和*小春流着付*着付師さん応援ブログ


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