【小春の着付教室】第57号●着物:衿を整える
こんにちは。着付師・着付講師の *小春*です(*^^*)
本日もよろしくお願いいたします。
まずは背中心
衿の整えは腰紐を掛けた後に行いますので、ここではザックリで構いませんが、中心を意識して進めることが大切です。
最初に背中心を決めます。
背中心は後からでも良いのでは?と思われると思いますが、まず初めに背中心を決めることが大切です。中心を決めずに裾合わせをしますと、歪みが生じた着付けとなってしまう場合があります。
歪み無く綺麗に整える為には、初めに背中心をしっかりと決め、左右対称にしておきます。背中心を決めることで、左右同じ位置の衿先を持って裾合わせをすることが出来ます。
掛け衿が基準
背中心を決める際に基準となるのが掛け衿です。
左右同じように掛け衿のところで三分の一の衿幅を折ります。折った左右の掛け衿を合わせ片方の手で持ちます。
そして、もう片方の手で背中心(背縫い)のウエストあたりをつまみ、前後に引きながら中心を決めます。着物が左右対称に羽織られていることを確認してから裾を決める作業に入ります。
この掛け衿を揃える作業は、後で衿合わせの際にも行いますが、ここで揃えているから大丈夫と思わず、衿合わせの時にもこの作業を忘れずに行います。
背中心がずれてしまっている後ろ姿は美しくありませんし、前姿も掛け衿の線がずれてしまいますと、見た目にもよろしくないですものね。小紋のように全体に柄のあるお着物ですとこのズレはあまり目立たないため気付きにくいですが、背中心のズレを意識しない着付けが習慣になってしまいますと、紋付きの着物では抱き紋の左右の位置(高さ)が違ってしまう、背紋がずれていてもご本人は気付かないということも起こります。
大切な日のお召し物で恥ずかしい想いをすることの無いように、どのような着物でも着物を着るときには必ず背中心の確認を行う習慣を付けておくと良いですね。紋付きの着物のときのみ注意をすれば良さそうと思いましても、着物を着る時の習慣がないと紋付きの着物の時のみ意識することは難しいものです。
前姿で、掛け衿の位置が左右同じ高さになっていれば、背中心があっていることが分かります。逆に、ずれていれば前姿からでも背中心がずれていることが分かってしまうのです。
衿を整える
背中心が決まるとすぐに裾合わせに入りたくなりますが、その前に衿を綺麗に整えておきましょう。
先ほど掛け衿ところを三分の一折りましたね。
背中心から衿肩明きまでは半分の衿幅、掛け衿のところは三分の一となりますので耳たぶの下から下に少しずつ広げながら折り線を付けていきます。生地が歪まないように整えてから、裾合わせに入りましょう。
裾を決めてから衿合わせをするのですが、この時点でもこのように衿を整えておきますと衿周りがスッキリした状態で裾合わせに入ることが出来ます。
裾合わせをしているときに、着物が肩からスルリと落ちてきたりしますと裾が整えにくくなりますでしょう。長襦袢の衿に着物の衿を添わせておけば衿周りは落ち着きが良いですから裾合わせに集中することが出来ます(*^^*)
それでも背中心がずれてしまう方へ
この作業を行っても「どうしても私の場合は左側に背中心がずれることが多いのよね(涙)」と、意識してはいるものの気付くとだいたいズレていてガッカリという方は次のことをお試しくださいませ。
ちゃんと解決方法があります(*^^*)
掛け衿を持つ手と、背中心を持つ手を変えて行ってみてください。
これだけです(*^^*)
人それぞれ身体の重心や姿勢、左右の筋肉のつき方が違ったり、利き手が違いますよね。身体の傾きがある方もいらっしゃると思います。
これらの影響で中心と思っている位置が、実は少しずれているということが考えられます。
このような場合、左右の持ち手を変えてみると、そのズレに気付けることがあります。
まず初めに、いつものように背中心を決めておきます。
次に掛け衿と背中心を持つ手をいつもと逆にして持ってみます。中心を意識してです(*^^*)
いかがでしょうか?
何となく中心に違和感がありませんか?
例えば、
いつも左に背中心がずれてしまう方の場合、手にしている掛け衿の位置を少し左側にずらしたいという感覚になっていませんか?
もしそう感じましたら、その感覚を信じて少しだけ(ご自分で中心だと感じるところまで)ずらしてみましょう(*^^*)
そしてそのまま着物をお召しになってみて、背中心のズレ、左右の掛け衿の位置がいつもに比べてどの様に変化しているかを確認してみてくださいませ。
今まで抱えていた問題がスッキリ解決されているかもしれません(*^^*)
おわりに
初めはこれらの作業の重要性はあまり理解できないかもしれませんが、着付けの技術が上達するにつれ、大切なのだと理解できるようになってきます(*^^)v
ここでの作業が増えたとしても、結果的には着付け時間の短縮につながっていることに、そのうち分かるようになってくるものです。
手を加えなくても、着物の羽織り方次第ではこの作業を省ける場合もあります(*^^*)
着慣れてくると、羽織る際に注意することが出来るのですね。
凄いでしょう!
慣れないうちは意識付けが大切です。
「どうでも良いこと」と思わずに、「重要なこと」と考えられると上達も早く自然と習慣づいて参ります。
それでは、また明日に続きます♪
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
■次回予告
*着付ポイント:裾合わせ
※この内容は、私が販売する着付け・帯結びテキストご購入者様向けに2009年より配信していた内容を一部修正および加筆編集し一般公開として掲載しております。
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