この社説が気になる(2024.12.5)
今日の気になる社説
12月5日の深夜、隣国から衝撃のニュースが飛び込んできた。
韓国の尹錫悦大統領が「非常戒厳」を宣言した。
結局宣言は解除に至ったが、大統領に弾劾訴追案が提出されるなど、混乱がどこまで続くかが気になる。
語気を強くして大統領の行為を批判しているのが産経と毎日。それに朝日が続いている、という印象を持った。
毎日は、もともと韓国の野党勢力に歩み寄る論調が多い印象を持っていたので、その延長での言及かな、と思う。産経は、他紙が触れている日本との関係への影響に言及していない点が気になった。
朝日が、軍隊が議会に入り込む中でも議員が議事堂に会し、非常戒厳の解除決議案を可決させたこと、それを支援した市民がいたことを評価している。
この話題に最も注目すべきだろうが、私が今日注目したのは朝日がもう一本の社説で触れた、国際学力調査。
国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の結果が公表されたのを受けての言及であり、日本の子供は高水準を維持しつつも、女子の平均点が男子より低い結果がでたとのことである。成績差が大きいのは中学二年生とのこと。
社説では、ほかにも、男女ともに理科の平均点が前回より下がっている点、教員に対する労働環境の満足度を問う質問への回答にも焦点が向く。文部科学省がこれを受けてどう行動するのかに注目したい。
[抜粋]気になるのは、小中ともに理科も算数・数学も、女子の平均点が男子より低かったことだ。文部科学省によると、これまでの全国学力調査や、国際学習到達度調査(PISA)では見られなかった差だという。↓
韓国の動きに言及した各紙の社説
[抜粋]総選挙の結果は民意である。物価高が暮らしを直撃するなかで、独善とされ、支持率も低迷する尹氏は野党に歩み寄るべきだった。数の力で押し切ろうとする野党の態度も目に余る。韓国の安定は地域の秩序の維持に欠かせない。事態の収拾を急いでほしい。↓
[抜粋]国会が非常戒厳の解除を求める決議案を可決したため、尹氏は宣言から約6時間後に解除を発表した。国会には一時、軍隊が入り、抗議する市民が周辺に集まるなど情勢が緊迫した。激しい衝突に至らなかったのは幸いだ。↓
[抜粋]韓国は混乱を早期に収拾すべきである。主要野党は尹氏の弾劾訴追案を国会に提出した。可決されれば、憲法裁判所が罷免の可否を判断する。求心力を失った尹氏は事態収拾のため進退を決断しなければならないのではないか。↓
[抜粋]少数与党での政権運営を余儀なくされているのは、尹氏の強権姿勢に批判が集まり、4月の総選挙で敗北した結果である。自らの意に沿わない野党の振る舞いを「内乱を企てる反国家行為だ」と決めつけるのは、時代錯誤も甚だしい。↓
[抜粋]今回注目されたのは、戒厳軍が迫る中、与野党議員らが駆けつけ、非常戒厳の解除要求決議案を可決した国会の対応であり、それを支援した市民の存在だった。権力の暴走を止めた民主主義の底力を評価したい。↓
その他の各紙の社説
[抜粋]不安定な中東のどこかで戦火がくすぶる限り、それがまた別の問題を引き起こす懸念は尽きない。ガザの衝突がレバノンに飛び火してこの地域の危うい均衡を崩し、シリアに新たな危機の素地をもたらしたことを想起すべきだ。↓
[抜粋]海中で分解されなかったプラスチックが、紫外線や波で細かく砕かれ、「マイクロプラスチック」となって海を漂い、魚などに取り込まれている。人体や生態系に悪影響を与える恐れもある。↓
[抜粋]いわば遺族と国民の怒りが生んだ法律である。怒りの対象は事故そのものと、法のあり方にも向けられた。その後も大事故を契機とする適用対象拡大などの法改正が続いている。それは法が国民の怒りに追いつかない過程ともいえた。常識にかなわぬ法は国民を苦しめるだけだ。↓
[抜粋]経済協力開発機構(OECD)によると、適切に処理されず廃棄されるプラごみは年2200万トンに上る。もはや、それぞれの国や業界の取り組みだけで解決できない状況にある。↓