この社説が気になる(2024.11.9)
今日の気になる社説
週末のため、時間の制約が少ない状態で読めることもあるのだろうか。読んでいて気になるものが平日に比べて多い印象のある今日の社説。
朝日は、前日に日経が言及した会計検査院による決算の検査報告に触れた1本のみ。他紙にない傾向として、2本分の字数を割かない状態での1本のみの掲載が時々ある。執筆される論説委員の負担を軽減する狙いがあるのか。
国の財政に関わる話では、国民民主党の動きで注目される「103万円の壁」について毎日が言及した。どちらかというと難癖をつける形で。財源に触れているのは、新聞各社共通の財務省への忖度か。
毎日はもう一本で、代表が公明党に、自民党との関係を総括してはと説く。前日に朝日が触れた話題。この二紙が触れている点が興味深い。自民党を下野させるためのキャンペーンにも感じられる。
その自民党に対しては、前日開かれた両院懇談会での議論に、産経が触れている。総裁と幹事長が職を辞さないことを良しとしない思いが強く伝わってくる。
実際にその場にいた議員が発信している音声配信によると、選挙時の執行部の行動(非公認候補の出た選挙区への2000万円支給の問題など)を指摘する発言はあったものの辞職を求める発言をしたのは一人だけだったとのこと。それよりも、これから先どう立て直すのか、という議論が主だったらしい。今後の動きに注目したい。
こうした中、注目するのは、最高裁の国民審査に言及した産経の一本。
最高裁の裁判官に関する審査の判断材料が少ないことを指摘している。
今回の衆院選と併せて行われた審査では、NHKが、審査対象となる裁判官の人となりや、主な訴訟に対する各裁判官の判断を取りまとめて掲載した。今までより判断のための資料が増えた、という印象がある。
しかしながら、NHKが採り上げた主な訴訟への判断が全く書かれておらず、結局「判断のしようがない」という状況となる裁判官が半数以上いた。審査対象に関する規定の中の「任命された後に初めて行われる衆議院議員総選挙の投票日に国民審査を受け」(総務省のサイトから転記)となっている故、致し方ないところなのか。
産経は、従来行われている審査公報や最高裁のサイトでの情報掲載、新聞社のアンケートに加え、会見の開催や動画配信(有権者へのメッセージや執務の様子を収めたもの)を提案している。次回の衆院選がいつ行われるかは不透明な状況。そこまでに、国民審査の方も何か変わるだろうか。注目したい。
[抜粋]政治家と違い、最高裁裁判官の肉声が伝えられる機会は少ない。就任時だけではなく、国民審査に合わせて会見を行うのは一案だ。有権者へのメッセージや執務の様子を収めた動画の配信なども検討してはどうか。↓
その他の各紙の社説
[抜粋]米株式市場ではトランプ氏の当選が濃厚になったのを受け、経済政策の実現可能性が高まったとの見方も手伝い、株買いが勢いづいた。短期的な効果を巡る期待と、長い目でみて経済や市場をめぐる環境が改善するかどうかは別だ。冷静な視線が必要だろう。↓
[抜粋]FRBの独立性が脅かされる懸念もある。トランプ氏が1期目に景気浮揚を狙い、利下げするよう圧力をかけ続けたからだ。拙速な利下げでインフレを再び加速させる事態は避けねばならない。↓
[抜粋]Temuなどに対し、海外では低価格品を免税対象とする制度を悪用し、人権侵害に加担しているといった批判がでている。消費者も格安の背後にある仕組みを理解したうえで利用する必要がある。↓
[抜粋]引き続き必要な活動と、縮小や廃止が可能な活動を切り分け、スリム化を図るべきだ。頻繁に開かれる会議への抵抗感は強い。働いている人が出席しづらい平日の放課後に開催されることもある。↓
[抜粋]何の責任もとらず、大敗の検証も示していない。神妙な表情をつくって反省の弁を述べてもけじめをつけたことにはなるまい。石破首相と森山裕幹事長が本来取るべき行動は、潔く辞任した上で、落選した候補者から直接話を聞くことだ。↓
[抜粋]財政を大幅に悪化させる恐れもある。税収減は年7兆~8兆円に上ると政府は試算している。国民民主は「消費が活性化し、税収も増える」と主張するが、楽観的過ぎる。国債で穴埋めし、借金財政が一段と深刻化すれば、将来世代に回るツケはさらに膨らむ。↓
[抜粋]少数与党となったため、自民はキャスチングボートを握る国民民主党との政策協議に力を注ぐ。公明の影は薄くなっており、政策に主張を反映できるかどうかの正念場を迎えている。↓
[抜粋]非常時対応の部分があったにせよ、必要性や緊急性の精査がおろそかになり、金額が水膨れしていたことがみて取れる。結果的に無駄な支出をとりやめたものがあるのはいいとしても、補正全体として政治的アピールを優先し、甘い査定が横行していたようでは、事態は深刻だ。↓