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この社説が気になる(2024.9.12)

5紙10本の社説。
重なりがあったのは、米大統領選の候補者による討論会。朝日を除く4紙が触れた。
読売は、討論の模様から、どちらが指導者としてふさわしいか落ち着いて判断できる材料になったと肯定的に受け止めている。
一方、ほかの三紙は政策に関する議論を尽くしたと言い難い、と批判的な見方。この違いを味わいながら読み比べたい。

注目するのは、JR九州の子会社が起こした、高速船運航での隠蔽問題に言及した朝日の一本。社説以外のニュース記事をすべて読んでいるわけではないが、スクープの印象を受けた社説である。

日韓を結ぶ高速船の運行で、船への浸水を隠蔽していたこと。それが子会社社長の指示と了承の下、記録を改ざんし警報センサーも改ざんしていたとのこと。

社説で最初に採り上げられたのは、今年2月に発生した浸水。報告も修理も行わずに運行を続け、5月に浸水を確認したとして運休を決めた。問題は国土交通省が8月に行った抜き打ち検査で発覚したと朝日は書いている。

昨年2月にも浸水があり、国交省から改善命令を受け、「ゆるぎない安全づくり」を約束していたそうだ。とりあえず改善しますという言葉だけ発しておけばよい。そんな姿勢がなかったかと思う。乗った人の命を預かって運行しているという姿勢が欠けているとしか思えない。

[抜粋]JR九州によると、浸水隠しは子会社社長の指示で、会社ぐるみだった。航海日誌やメンテナンスログ(記録)に「異常なし」と虚偽記載し、実際の浸水量は裏の管理簿に記録。浸水警報センサーの高さを44センチから1メートルに上げる不正もしていた。↓

米大統領選の候補者討論会に言及した社説
[抜粋]世界が注目する課題で両候補が議論を尽くしたとは言いがたい。たとえば、対中国政策は制裁関税を巡って応酬したくらいである。大統領候補の討論会は複数回開くのが通例だ。米メディアによると、2人とも再討論に前向きとされる。ぜひ開催してほしい。↓

[抜粋]接戦が予想される米大統領選の行方を決定づける得点や失言はなかったが、候補の特性や政策の違いははっきりした。
どちらが米国の指導者としてふさわしいかを、有権者が落ち着いて判断する材料になったのではないか。↓

[抜粋]世界秩序安定のカギを握るインド太平洋地域が討論会のテーマとならず、台湾が中国から威圧を受けている問題について両氏から自発的な発言がなかった点は憂慮せざるを得ない。米国のこの地域への関心が低下していると見なされるようになれば、地域覇権を狙う中国が勢いづきかねない。↓

[抜粋]退潮が指摘される米国だが、経済力では中国の1・5倍、国防費では3倍に上る。国際社会での影響力を踏まえた責任ある外交政策の論戦を、今後期待したい。↓

その他の各紙の社説
[抜粋]ICC加盟国がプーチン氏を入国させ逮捕しないのは初めてだ。国際社会の正義を守る独立した訴追機関の権威を傷つけるとともに、独自の執行機関を持たないICCの限界も示した。↓

[抜粋]基本計画は「新しい認知症観」として、「認知症になってもできること、やりたいことがあり、住み慣れた地域で希望を持って自分らしく暮らすことができる」という考え方を掲げたのが特徴だ。↓

[抜粋]工藤会の頂上作戦の帰趨(きすう)は、他の「反社」捜査へも波及する。分裂抗争が続く山口組が本拠を置く関西では、来年、万博がある。世界からの来場が予想される中で、暴力団の活動は絶対に封じ込めねばならない。↓

[抜粋]農林水産省は、在庫全体でみると大きな不足はなかったと説明する。だが、業務用は確保できていても、小売り向けが払底したとの見方がある。6月ごろから在庫の減少を懸念する声もあった。流通の状況をきめ細かくチェックし、対策を講じておくべきだった。↓

[抜粋]防災気象情報をわかりやすく伝えるため、気象庁と国土交通省の有識者会議は大雨や河川氾濫の危険を知らせる警報などに危険度ごとに2~5の数字を併記する案を6月にまとめた。26年の運用開始をめざすという。複雑ともいわれる情報を整理し、適切な避難行動につながるよう、できるだけ早い改善が待たれる。↓


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