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この社説が気になる(2025.2.5)

今日の気になる社説

朝日が1本のみの掲載となり、5紙9本の社説が並んだ。

話題に重なりがあったのは、埼玉県八潮市での道路陥没事故。朝日と毎日が触れている。インフラの点検に関する体制に両氏が触れている。大事なことではあるが、このタイミングでの言及は「後出しじゃんけん」の感が否めない。過去の大きな事故の際にも同様の言及をしたとも推測されるが、大きな事故の時だけでなく、折に触れて、例えば財政のバラマキ批判の際に「もっと目を向けるべき支出がある」ことの例示としてでも常に触れておくべきではなかったか。

注目するのは、フェイク論文に言及した毎日の一本。

環境分野の学術誌に、生成AIによって捏造された論文が掲載され、その中に、実在する研究者の名前が著者として無断で掲載されていたことが紹介されていた。

この学術誌は、掲載論文の質の低さが問題になっている「ハゲタカジャーナル」と呼ばれているものの一つであることや、査読という過程を経ず、掲載料さえ払えば論文を掲載できることから、論文の執筆数や引用件数を増やして評価を上げようとする研究者の思惑ゆえにこの手の学術誌がなくならないことが指摘されている。

ノーベル賞受賞者の話題になる際に話題になる論文の件数。しかし、数だけ追うのではなく、その掲載先・引用先にも目を配らねばならない、と気づかされた社説であった。

[抜粋]論文投稿は通常、内容が妥当かどうかをチェックする「査読」という過程を経るため、掲載までに時間がかかる。これに対し、ハゲタカ誌は掲載料さえ払えば、投稿からわずか数日で了承される。↓

その他の各紙の社説

[抜粋]年金額の動向は高齢者の消費を通じて経済にも影響を与える。年金財政の悪化を防ぎながら経済の好循環を実現する観点からも、賃上げが大きなカギを握っていることを経済界は認識してほしい。↓

[抜粋]名前を変えただけで、中身がよくなるわけではない。なじみのない横文字社名を社会に浸透させるのは、一定の時間やコストも必要だ。社名変更を一過性のイベントにせず、組織風土の刷新や社員の意識改革につなげる視点が欠かせない。↓

[抜粋]高関税の延期は、トランプ氏が突然、方針を修正したように見える。初めから譲歩を引き出すための戦術だったのか。それとも株式市場の動揺などに慌てたのか。その予測不可能な行動には、警戒感を強めざるを得ない。↓

[抜粋]危険な病原体であればこそ、それを管理し研究しない限り、対策の立てようがない。海外から病原体が持ち込まれ、感染が疑われる患者が出た場合、対応できる施設が国内になければ、迅速に病原体を特定することすらできない。↓

[抜粋]国立劇場の再整備が大幅に遅れている原因は、建設費の高騰だけではない。新劇場を建設する際、民間資金の活用で社会資本を整備するPFIの手法によってホテルなども併設し、二兎を追ったことにもある。ようやく文化庁は昨年末、入札条件を見直してホテルの併設などを必須としない方針を決め、建設費高騰による経費増加分も政府が財源を確保することになった。↓

[抜粋]利用のリスクは情報漏洩だけではない。自民党の小野寺五典政調会長は衆院予算委員会で、尖閣諸島は「日本の領土か」とディープシークのAIに尋ねると、「『中国固有の領土だ』と事実と違う答えが返ってきた」と自身が試したやり取りを紹介した。↓

[抜粋]複数の市町村が共同でインフラを運営したり、点検などを企業に委託したりする動きも出ている。都道府県が調整役を果たすとともに、民間への丸投げでコスト管理などが甘くならないよう、チェックする仕組みが求められる。↓

[抜粋]インフラの老朽化は今後加速する。30年には道路橋の54%、トンネルの35%、水道管の21%が建設後50年以上になる。自然災害と重なれば大きな被害が出かねない。↓


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