この社説が気になる(2024.8.28)
前日(2024.8.27)に起こった大きなニュースは、中国による領空侵犯。
そのことに、日経を除く4紙が言及した。
各紙の視点の違いに注目したい。
読売は日本の対処能力を高めることを訴え、産経は、政府の初動、とりわけ外務大臣が直接抗議しなかったことを批判した(外相においては、自民党総裁選への準備を理由に他国の訪問を取りやめた話も聞く。公務より立身が優先かと残念に思う。)。この状況で訪中をやめなかった自民党議員団に対しても厳しい言葉を添えている。
対する朝日と毎日は、中国との対話の継続を訴える。
上記の読み比べに加え、個人情報法改正に言及した毎日の一本。
情報の不正利用や流出への懸念が広がる中、不適切な取扱いに対する規制強化は実現してほしいこと。
一方で、過度な規制によるデータ利用萎縮を理由に経済界が反対している。
これを受けて政府は経済界と議論の場を持つという。毎日は企業への配慮が強くなりがち、という点を懸念している。
政府の介入が過度にならないよう、という主張の多い同紙。今回はそれよりも一部の利害関係者への政府の歩み寄りの方を問題と見ている。
[抜粋]経済界などの反発を踏まえ、委員会は識者や経済団体、消費者団体などが議論する場を設けた。こうした枠組みは利害関係者の理解や協力を得やすい一方、企業への配慮が強くなりがちだ。透明性の高い運営が求められる。↓
中国による領海侵犯に触れた社説
[抜粋]領海では、他国の船舶にも無害通航権が認められている。他方、領空にそうした国際法上の規定はなく、航空機が領空に入った場合、直ちに主権を侵害したことになるため、危険度は格段に増す。↓
[抜粋]直後の政府の対応には疑問が残る。岡野正敬外務次官が中国の施泳臨時代理大使を外務省に呼び、厳重抗議した。なぜ上川陽子外相が直接抗議しなかったのか。岸田首相も26日中にメディアの前で中国を論難し、国防の決意を表明すべきだった。↓
[抜粋]中国軍の活動が日本周辺で活発化している背景には、日本が米国などと連携して中国に対抗する枠組みを形成していることへの反発がある。アジアを重視するようになった北大西洋条約機構(NATO)との共同訓練に対するけん制という見方も出ている。↓
[抜粋]日中の防衛当局は18年、不測の事態が軍事衝突や政治外交問題に発展するのを防ぐため、「海空連絡メカニズム」の運用を開始。昨年3月には当局間のホットラインも開設された。こうしたパイプも最大限活用し、信頼醸成につなげたい。↓
その他の各紙の社説
[抜粋]海外のデジタルサービスに支払いが増えても、それを使って世界に通用する革新的な技術や製品を生み出せれば、日本から富が出ていくだけの状況は変えられる。政府は規制改革などで民間のイノベーションを後押しすべきだ。↓
[抜粋]逮捕を受け、テレグラムの運営会社は「プラットフォーム悪用の責任をその所有者が負うとの主張はばかげている」との声明を出した。通信の秘密を尊重する立場を理解できなくもないが、サービスの公共性を考えれば、責任回避の姿勢は受け入れられない。↓
[抜粋]外国人の受け入れ拡大を国策として進めている以上、国は日本語教育を自治体や学校任せにしてはならない。財政支援や先進地域の好事例の紹介に努めるべきだ。↓
[抜粋]1人暮らしの単身高齢者が急増する中、身寄りがなくても住まいを確保でき、安心して医療や介護のサービスを受けられるよう環境を整えていくことが欠かせない。政府は報告書を踏まえ、大綱に実効性のある対策を盛り込んでもらいたい。↓
[抜粋]今大会は五輪に続き、ウクライナやガサ地区の戦闘が続く中での開催になる。戦禍に倒れ出場がかなわなかった選手や、苦しみが続く人たちに思いを寄せ、平和の祭典としての意義を考え続ける大会としたい。↓