この社説が気になる(2025.1.11)
今日の気になる社説
2025年になって、初めて各紙が二本ずつ社説を掲載する形となった。新しい年が本格的に始動したな、と実感する。
産経が、一本でグリーンランドを自国の領土にしようとするトランプ氏に警鐘を鳴らし、もう一本でその米国よりも中国への訪問を積極的進める与党幹部を厳しく断じている。採り上げる話題が異なりながら、同紙が主張したいことが二本で一つの流れに感じられた。
毎日は、原発の汚染土の再利用について言及した。科学的に安全とされても不安や風評被害への懸念が払拭されない限り再利用は進まないと書く。科学的な事項の解説よりも不安の声を集めて発信する機会を増やしていないか。風評被害の発信源に自分たちがなっていないか、自省を求める。
注目するのは、法科大学院の誕生から20年になったことに言及した朝日の一本。
司法試験の予備校化に懸念を示す一方、刑事事件の容疑者に教員と接見したり、一般の人の法律相談に乗ったりする学生が現れているところに焦点を当て、法科大学院が本来目指すべき教育と指摘している。
学んだり身に付けたりしたことを道具として、周囲に、ひいては社会にどう役に立つ行動をするか。一部の法科大学院生の行動から大事な姿勢を思い出した。
[抜粋]学生に表れた変化に注目したい。司法試験を受けた後、経験を積もうと刑事事件の容疑者に教員とともに接見したり、一般の人の法律相談に乗ったりする活動に参加する学生が増えているのだ。相手の心を開くコミュニケーション力の大切さに気づいたり、将来の活動分野を社会的弱者への支援に変えたりする学生もいるという。↓
その他の各紙の社説
[抜粋]ものづくりとソフト産業の特性の違いを理解し、経営の時間軸や組織文化を改める必要がある。製造業では時間をかけて品質を高めるのが普通だが、更新が容易なソフトはスピード重視だ。一定の失敗は許容し、いち早く顧客に届けてその意見を聞きながら継続的に機能を高める姿勢が欠かせない。↓
[抜粋]すべて米欧の制度にあわせる必要はない。しかし、総会前に有報を読めないことが日本市場への違和感となり、企業の過小評価につながっているとすれば問題だ。市場の視点に立ち、決算や有報提出、総会開催の実務を再点検してもよいのではないか。↓
[抜粋]いくら処遇を改善しても自衛隊の組織風土が堕落していたら、人は集まるまい。ハラスメントや手当の不正受給、機密情報の不適切な取り扱いといった不祥事を一掃し、規律ある組織へと改めていくことが不可欠だ。↓
[抜粋]日本は国際機関から資金洗浄対策が甘いと指摘されてきたことも、重く受け止める必要があろう。「金融活動作業部会(FATF)」は、21年の審査報告書で、日本の中小金融機関の取り組みが十分ではないと指摘している。↓
[抜粋]中国共産党との「友好」行事を惰性で続けるのは危うい。それでも北京詣でをしたいなら、不当に拘束された邦人全員を取り戻してもらいたい。↓
[抜粋]武力による威嚇で他国領土を脅かすことを禁じた国連憲章に反し、力による現状変更を容認するに等しくないか。ウクライナを侵略するロシアや台湾併吞(へいどん)を狙う中国の発想と大差なく、見過ごすことはできない。↓
[抜粋]科学的に安全とされても、それだけで再利用の受け入れが進むわけではない。不安や風評被害への懸念が払拭(ふっしょく)されていないからだ。↓
[抜粋]地域クラブに移っても、多くの場合、引き続き学校施設を使えるが、指導や運営に携わる人をどれだけ確保できるかが課題だ。教員も兼業許可を得て指導に当たることができるものの、地域住民の協力が欠かせない。↓
[抜粋]個人や企業がすぐに取り組めることを広めるのも大切だが、色々な立場での世界全体の協力が欠かせない。だが現実は自国優先の動きが広まるばかりだ。報告書は変革を妨げる要因として、自然と人との関わりの断絶、権力と富の集中、短期的で物質的な利益優先主義をあげる。↓