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この社説が気になる(2024.9.4)
5紙10本の社説に話題の重なりはなかった。
読売は一本で予算の概算要求に触れた。防衛予算に焦点を当てた過日の社説では言い足りなかったのか。前日の三紙と歩みを合わせたかったのか。財政規律を求める論調は、財務省に寄り添ったものでは、とも思える。
毎日は一本で男性の育休取得に言及。休暇取得はあくまで第一歩で、いかに家事に貢献できるかがカギになるだろう。それは出産・育児の場面に限った話ではないが。自らも省みねばならない。
産経が言及した、奄美大島での外来種のマングース根絶の件も注目したい。ハブの駆除が目的とはいえ、むやみに外来種を放つことによる生態系の破壊を反省する材料として。
注目するのは、旧日本兵が負った「戦争トラウマ」への調査に厚労省が乗り出すことに言及した毎日の一本。
戦場を経験した人が負う心の病に関して、これまで海外でのケースをニュースで目にした。
一方、第二次世界大戦まで幾度かの戦争を経験した日本でのケースは目や耳にしたことがなかった。「戦争神経症」などと呼ばれて専門に診る病院もあったそうだが、診療記録が隠蔽されていたそうだ。発祥を「恥」とみる風潮もあったという。
「戦争の非道さは、世代を超え、家庭や社会をむしばむ。国民一人一人がそれを心に刻むことが、次の戦争を起こさせない力になる。」毎日は社説をこう結ぶ。
ジャーナリストの田原総一朗さんは、1945年8月15日の玉音放送を機に、戦争に対する見方が180度変わり、大人のいうことを信用できなくなった、と話されている。
そんな流れの中で、新聞社も掌を変え、戦争そのものを否定する中で、船上で体や心に傷を負った人にも冷たい視線を向けていたのではないかと思う。
それゆえ「長い時間を経たとはいえ、国が戦争トラウマに目を向けた意義は大きい。」を素直に受け止めることができない。
その他の各紙の社説
[抜粋]望ましい最低賃金の水準を導き出すには、中長期の視点と精緻なデータ分析が必要だろう。英国ではエコノミストら専門家も情勢分析に加わって最適な引き上げ額を探っており、日本も参考にすべきだ。↓
[抜粋]やっとの思いで子どもの身をポリオから守ったとしても、休戦後にイスラエル軍の空爆で命を落とす危険は消えていない。「最良のワクチンは平和だ」(WHOのテドロス事務局長)との指摘通り、恒久停戦が必要だ。↓
[抜粋]コロナ禍が収まった昨年6月には、「歳出構造を平時に戻していく」との方針を示したが、歳出の拡大圧力は強く、24年度予算を要求する過程では、少子化対策や物価対策など平常の政策課題についても幅広く事項要求を認めた。↓
[抜粋]勝者にも敗者にも必ず物語があることは五輪もパラ大会も同様である。ただそこに障害との戦いが加わる。アスリートとして勝利を渇望する過程に価値があるなら、その結果である金メダルには最大限の称賛を送りたい。これをわがこととして喜び、明日への糧としたい。↓
[抜粋]海外でも、導入したマングースで同様の問題が起きていて対策に手を焼いている。奄美大島の面積での根絶は世界初の成功例だ。緻密で根気強い駆除活動が功を奏した。過去の失敗から今回の成功に至る歴史は、生物多様性保全の教訓として世界と後世に伝える価値がある。↓
[抜粋]国は、代替要員への手当に対する助成を今年から拡充した。来春からは、「従業員1000人超」の企業に義務づけている男性の育休取得率の開示を「300人超」に拡大する。↓
[抜粋]代理店への出向者による契約者情報の漏洩は、生命保険大手の第一生命保険でも先月明らかになっている。悪弊が生保を含めた保険業界全体に広がってはいないのか。金融庁は早急に点検すべきだ。↓
[抜粋]DNA型データの有用性は理解できる。難事件の捜査に役立つ。冤罪(えんざい)を晴らしたこともある。一方、容疑者以外に、事件の周辺住民らに広く提供を求めることもある。ならば、法律で取得、保管、抹消の手続きを厳格に定め、社会の信頼を得る必要がある。↓