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発達症グレーゾーンの子どもを持った私が学校にお願いしたこと ~日常生活編

困りごとが多い発達症グレーゾーン

現在、発達症でお困りのお子さんお持ちの方は、学校でお子さんが困るシーンが多く、対応にも苦慮されていることでしょう。
我が家には22歳の息子、12歳の娘がおりますが、先日2人ともASDと診断されたところ。

親目線で我が子の成長を見ながら「どうして我が子は自分の子供時代と違うのだろう」「よそのお子さんと同じことがどうしてできないの」「なんでこんなことしちゃうの?」そんな毎日を送っていました。

今も手探りで、周囲に助けていただくことが多い中、集団生活を送る学校にお子さんの状況などをどう伝えたらいいのかわからない方に向けて、一つの方法として共有できたら嬉しいです。

年配の先生は合理的配慮を知らない??

語弊がある書き方なのは承知の上で、この見出しをつけました。

もちろん優しい先生はたくさんいらっしゃいます。優しい先生はきっと誰にでもどんなお子さんにも同じ対応ができる素晴らしい先生です。でも中には、日本らしい「集団を重んじる」方や今までの経験にない子供がクラスにいると排除しようとする先生もいる、という話です。

私たち(40~50代)の世代の同級生の中には、
「どうやっても勉強ができない子」
「じっとしていられない子」
「空気が読めない子」
「すぐに癇癪を起す子」
「癇癪や怒りのコントロールができない子」
「忘れ物がすごく多い子」
がいませんでしたか?

もしかしたらそのようなお子さんは、見過ごされてきた発達症のお子さんだったかもしれません。

そしてひどいときには、からかいやいじり、いじめの対象になる事もあったでしょう。わたしの小中学校時代も「できない子」「(先生や大人が)困る子」というレッテルを貼ってキツイことを言われるシーンも見たことがありました。

私たち世代よりも上の世代の先生は、こうしたお子さんへの配慮に対する研修を受けている回数が若い先生よりも少ない、反対に若い先生は学校で合理的配慮や発達症について学び、研修も受けると聞いたことがあります。

娘の不幸は小学1年生の時の担任の先生でした。

希望に胸を膨らませ、小学生になった娘。
初めての担任の先生は学習面に力を注ぎ、集団を重んじるタイプの定年前の先生。プリントを大量に出す、できない子にはできるまでさせようとする昔ながらの先生。

先生は娘の癇癪には手を焼き、キツイ言葉を浴びせ、私に娘ができないについて毎日ご連絡してくださり、「家庭できちんとしてください」と言われてしまう。

そうして「薬を飲ませるなどしてほしい、きちんと病院(おそらく精神病院)に行ってください」と仰り、親子ともに心を痛め、今振り返ると辛い1年でした。

当時、すでに病院にも通っており、投薬は不要と聞いていたのでまさか担任の先生から「薬を飲め」と言われるとは。

すぐに当時通っていた病院に相談し「学校から指示がでているのなら」とエビリファイを処方してもらいました。

しかし今度は担任の先生は、薬の処方をしてもらうとすぐさま娘の居眠りについて「薬のせいで眠いのではないか」と言い出します。

私もさすがに腹に据えかね、薬の効能を伝えると同時に「授業に魅力がないのでは」とやんわりお伝えしました。もちろん、早寝早起きなど生活習慣の見直しも我が家の課題です。

プリントや問題集中心の授業。勉強ができる子中心の授業運びは、みんなについていくのがやっとの娘にとっては眠気を誘う授業だったことは想像に難くありません。

発達症についての情報が少ない、集団を重んじる日本文化、そういった状況の中で、グレーゾーンの娘は、私や先生の対応に苦しんできたのではないか、と思うと未だに心が痛くなる1年生時代でした。

病院の先生からのアドバイス

そうしたやり取りを当時通っていた病院の医師に相談すると親身になって聞いてくださったうえで「私の対応が悪い」と叱ってくださいました。そして良いアドバイスを頂いたのでした。

学校に先生と電話でのやり取りが多くなっているため、何事も学校とのやり取りについては書面で日付を付けたものを渡すこと。たくさんの児童がいる中で、一つ一つの事案を覚えておくのは難しいだろう、と言うことです。

さらに、当時SNSで発達症がある方が、就職先でご自身の取説を書いて、助けてほしい事、自分がみんなを助けられることなどを職場のメンバーにお伝えしているのを知って、両方を取り入れた「娘の取説」を作ることを思いつきます。

我が子の取説~文章にするのメリット・デメリット~

文章に記載するメリットは、
・同じことを何度も質問、説明する手間をお互いに省くこと
・伝え漏れを防ぐこと
・予測できる困り事ことについて整理できること
・学年や学校で共有してもらいやすく、先生による対応間違いが減る事

が挙げられます。

デメリットは
・細かい親(神経質)と思われてしまうこと
・我が子だけ特別扱いしてもらおうとしていると誤解を受ける事

が考えられますが、事実をきちんと伝える事、「忙しい中、他の生徒や児童がいる中、申し訳ありませんがお願いします」というような、謙虚な気持ちで記載することで上記のような印象を避けることは可能だと考えています。

よくあるクレーマーにならないよう、何度も文章を読み直したり、自己中心的な文章になっていないかなど、他の人にも目を通してもらうことで回避できると考えています。

私は、毎回、取説作成後は、作った文書を夫にさっと目を通してもらうことにしています。家庭内で共有していることが確認できない、客観的な文章になっていない場合には、学校に提出しないようにしています。

我が子の取扱説明書に書く内容

① 病院での診断
現在通っている病院があれば通院中であること、病院ですでに診断名がおりている場合には、そちらについても記載します。また家庭での状況やわかっている困りごとについて、具体的に記載します。
発達検査の結果なども、病院の了解を得て、記載するようにします。

どう伝えたらよいかわからなくても先生も診断名があると、どういったことに配慮したらよいか調べやすくなります。また学年や学校で共有してもらうと、子どもが関わる先生が同じ対応をしてくれる可能性があります。

② 処方された薬について
処方された薬があれば、薬名、飲むタイミング、効果、副作用について記載します。ネットで調べた情報でも、お薬手帳や処方箋などを参考にして書くようにします。

当時エビリファイを服用していたために、「授業中眠くなるのは薬のせいですか?」という質問を何度も先生から受けていたからです。

薬を飲んだタイミングから効果がピークになるタイミングなどを伝えること、眠くなる理由はほかにある事(学校までが遠く疲労で眠くなる、プールやマラソンなど激しい運動の後は疲れてしまう事)、眠ってしまったときの対応(言葉かけはどうするか、起こすか、放置するかなど)も一緒に記載します。

薬の効能やピーク時間などは、医師や薬剤師に「学校で聞かれるので教えて欲しい」と言えば、余程のことがない限り教えてくれます。

③ 言葉かけについて
ASDの特性を持つ娘の場合、頭ごなしにできていないことを注意すると癇癪を起してしまうことがあります。そして極端に自己肯定が下がってしまうこともあります。もちろん危ないことは注意してもらい、ケースごとに言葉かけについて家庭で気を付けていることがあれば記載します。

例えば、
友達とケンカした時は、我が家ではまず話を聞き、本人の気持ちを代弁することから始めます。「そうか、その時嫌な気持ちだったね」と受け止め、その後「でも○○をすると、友達はびっくりしたと思うよ」や「友達も○○されて嫌な気持ちになったよ」など本人が落ち着いて聞ける言葉かけ、話しやすい環境を作るようにしています、相手の気持ちも代弁します、ということを記載しておりました。

④ ケースごとに配慮が必要なこと
例えば急な時間割変更、行事の変更が苦手だとか、手先の不器用さだとかそういったシーンについては、配慮してほしいことを書いておきます。
文章にすることでケース別の対応が整理でき、また集団生活においての困りごとを先生方が予測できるようにしておきます。

⑤ ほかの体調面について
娘の場合、気圧の変化などで頭痛を訴えることが多かったので、薬を持たせていることやあまりひどいときは保健室へ行く事などを記載しました。
例えば女の子の場合、生理痛がひどい、初潮がまだ来ていないので学校で突然のことがあったら保健室で対応してほしいことなど、記載します。
他にも、貧血気味、朝起きられない、緊張すると汗をかきやすい、お腹の調子が悪くなりやすいなど、お子さんの体調面で気になる事も記載します。

⑥ 得意なこと、苦手なこと
得意な教科、苦手な教科についても記載しておきます。
特に苦手な教科について伝えておくことで、通級支援などで確認してもらいやすくなります。
また自分の事を言葉に出して伝えにくい事も一緒に記載しておきます。

得意な教科についての記載については、褒めてもらえるシーンを増やしたいから、という親心から。

ASDの子たちは叱られることが多く、自己肯定が下がりやすい傾向にあります。

取説の中では「できないこと」を中心に記載するので、全体的にできた文章を読んでいくと「あれもこれもできない子」のような記載になってしまいます。そのためあえて得意な教科について記載できる箇所を作るようにしています。

もちろん「特別扱いしてほしい」ということではありません。

得意なことや好きなことがあって、それらでほかのお子さんや学級の役に立てるシーンがあれば活用していただきたいし、好きなことがあるので学校に進んでいきたいというアピールに活用するのです。

こうした内容を細かく伝えておくようにし、最後にお手数をかけてしまうこと、できる範囲で構わないことなどを伝えるようにしておきます。

そしてすぐに連絡が付く連絡先の記載などを最後に付け加え、先生が手に取ってくださったときにすぐに連絡しやすいようにしておきます。

まとめ

我が家の取説の書き方をご紹介しました。
実際のところ、学校に家庭のことを伝えるのは簡単ではありません。

私のように、後からぽろぽろと伝えておきたいことが出てきてしまう、学校にどう対応してもらったらいいか困っている、という親御さんに向けて、もし少しでも我が家のやり方が参考になれば嬉しいです。








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