いつかの空へ 〜never ending love〜

第1章 戦いは日常のなかに


「ねぇ、そこの君、キミ〜!」

2時限目の終わり、教室の出入口から、濃いめなピンク色のふわふわしたロングヘアの女子生徒から声をかけられた。

「キミって確か……、二年の酉嶋君、だよね?」

酉嶋は(女子に話しかけられた経験など暁聡絵と出会ったあの日以来、ほとんど無い為、)些か戸惑いながら答える。

「酉嶋、ですけど……、何か?」

「やっと見つけたー!!」

満面の笑みを浮かべ、女子生徒が走ってくる。

窓辺の席に座る酉嶋は、避けるように窓に身を寄せた。

立ち止まった女子生徒が一言。

「あ、ビックリさせちゃってごめんね!」

女子生徒は一歩下がって頭を下げた。

「い、いえ……。お気になさらず」

「自己紹介がまだだったね。あたしは市 千鶴(いち・ちづる)。第二偵察補佐科の2年生だよ!」

「ここは第1パイロット科のクラスだけど、偵察補佐科の人がどういったご要件でいらしたのか、知りたいところですね」

市と名乗ったピンク髪の女子生徒は、窓辺に座って天井を見上げる。

既に酉嶋は廊下側に椅子の背もたれを向けてずらし、市と向かい合うように座り直した。

「あたしがここに――酉嶋君のもとへ来たのはね、

酉嶋君に、あたしの戦闘技術を上げるためのアドバイスをしてほしくて」

「どうして僕なんですか?  友達とか、優等生的な人に頼めばいいじゃないですか」

市は口をすぼめて、困ったという表情を見せてきた。

「ん〜、それは、入学後すぐの全校生徒一斉戦闘技術能力値測定試験で酉嶋君がトップだったから、っていうのもあるし、あとは酉嶋君がその、爽やか系で、イケメンで素敵だなって……」

「――要は、僕のテストの成績が他の誰のよりもNO.1だから、ですね」

「そうそう!そうなの! あと、あたしと酉嶋君は同じ2年生なんだから、タメ語で喋ろうよ!今から敬語はナシ!」

市はダブルピースしてウィンクした。

本人に誘惑の意図は無いようである。

市は付け足すように、更にこう言った。

「あと、あたしのことは、イチでも、千鶴でも、好きに呼んでくれて良いからね♪ 」

酉嶋は椅子から立ち上がり、片手を差出した。

「僕の目は厳しいから、覚悟しとけよ、千鶴。

僕は酉嶋 情(とりしま・じょう)。第1パイロット科。首席で卒業して、絶対第1パイロット部隊員になるんだ。宜しく」

「ご指導、ご鞭撻、その他諸々、すれ違ったら宜しくね♪」
その後、2人は連絡先を交換すると、それぞれ次の授業へ向かった。

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エレ煎(えれせん)
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