うたを読む/いわだてすみえさん
2024年はこちらの歌でスタート。
ようやっと肩書きのないすっぴんのにんげんになる旅の途中で/いわだてすみえ
https://twitter.com/sminov_i/status/1711707644501864570?t=vViZbWF9E-UL4tlilzxvcQ&s=19
程よい脱力感があって、大好きな一首。添えられたイラストのゆるい雰囲気も素敵です。
初句の「ようやっと」からは、これまでの時間の長さや背負ってきた肩書きの重圧が感じられます。
頑張ってきたけど、もうそろそろいいだろう。歩き続けた自分への応援歌でもあり、労いでもあるのだろうと感じました。
「肩書き」とは何を表しているのだろう。
最初は「会社でのポジション」が浮かんだのですが、多分それだけじゃないですよね。
○○さんちの娘さん、○○の彼女、○○くんのママとか嫁とか。生きる時間が長くなるほど、社会的役割は増えていき、たまに「あれ?本当の私ってどこなん?」と思うことがあります。
この歌の「旅」は前後どちらの言葉にかかっているんだろう。
「にんげんになる旅」の途中にまだいる、と読むのか。「旅の途中でにんげんになる(取り戻す)」と読むのか。
それによって景が変わるところも、この歌の魅力だと感じます。最初は前者で読んだのですが、この評を書くうちに、後者で読む方が「ようやっと」や「すっぴん」が生きるような気がしました。
旅先の、誰もいない芝生に寝転んで空を眺めたくなるような、旅情を誘う歌でもあります。
多分この主体は、ひとり旅派だろうな。もしそうなら仲間です。
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