休みが怖いナマケモノ
「どうしよう、疲れちゃった…。でも僕が頑張ったことは、喜んでくれてるし、またよろしく、なんて言われたら嬉しい。でも…なんだか、疲れちゃった。」
泣き出したナマケモノに、ニライカナイのオーナーは温かいチャイを渡して言いました。
疲れるなんてみんなあること。でも泣くほどなら、休むことが最優先。涙が出てしまうほど、身体も心も疲れてカラカラなものなんだよ?
「休んだら…また始めるのは大変だって聞いたことがあるの。それは怖いことだよ…続けるか、やめるか、二択しかないの?」
そんなことはないよ。続けるなら、キミが疲れない工夫はしなくちゃ。続けていける工夫は、みんなそれぞれ違うからね。みんながやれているように見えるのなら、みんながそれぞれに、自分らしいお仕事をしているからかも。
それくらい、みんな、出来る事が違うと思う。だから、出来ればキミがわたしに教えて欲しいよ。
「僕が疲れない工夫、僕…みんなについて行く為に、そのことだけしか見えてないかも。
僕は休んだら置いていかれない?」
休むことは止まることではないよ。
キミは今みんなと足並みを揃えているからこそ、そんな心配が出てきてしまうのかな。努力しているキミだからそう思えるんだよ。でも泣きたくなるほど疲れてしまったんだ、よく頑張ってくれたんだね、ありがとう。
みんな揃って進んでいくのはとても難しい、そして今はここしか見えてないかもしれないが、キミの歩く道もわたしの歩く道も、この場所さえ、同一ではないんだよ。
だからしばらく…そうだね、キミが笑えるようになったら、またこのお部屋へ来てくれる?それで、どんなふうに過ごしたのか、話してくれる?
そうしてから決めたってなんにも遅くなんかないよ。
いっぺんに話すのもいいけれど…もし良かったらお手紙を送って。このニライカナイに。
時間がかかっても大丈夫。
きっとキミはお休みしている間に、たくさん言いたいことが出てくるはずなんだ。
少しずつお手紙にしてくれたら、お休みで会わない間もわたしはキミがどんなふうに過ごしているか安心だし、次に逢える時を楽しみにしているよ。
そんな経緯で、働き者で努力家で、いつもふにゃりと笑顔を絶やさなかったナマケモノは、少しお休みをすることになりました。
正直、休みたくない。
不安でいっぱいです、不安を紛らわすためにも働いていたい。
けれども、本当のほんとうは、疲れて疲れて、まるで自分の身体が自分のものなのか判らないほど、自分の体とナマケモノは分かれてしまっていたのでした。
まるで細い糸でギリギリ繋がっているかのように…。