25周年を迎える日本SF大会・前説(1986年の記事についての2024年段階での解説)
本稿は、第25回日本SF大会DAICON5(1986年8月23〜24日、大阪府の吹田市文化会館「メイシアター」で開催。参加者数2500名)が発行したプログレス・レポート〈ジャーナル〉(全3号。発行日はそれぞれ、1986年1月31日、4月30日、7月15日。編集人は岡本俊弥、また表紙デザインは数年後に創元SF文庫のカバーをお願いすることになる松林富久治[ふくじ])の巻頭に、小浜が3回にわたって連載したものです。小浜は大会の立ち上げ段階からのスタッフであり、執筆時には23歳でした(なので、記事中の「現在」は1986年のもの。今回、当時の原稿にデータ的な追記を施しました)。
執筆当時もっとも頼りにしたのは、記事中でも言及している1981年の第20回大会DAICON3発行の、真っ黒で分厚い、148頁に及ぶプログラムブック掲載の日本SF大会20年史でした。特集の中身は、大会ごとに内容を1ページに要約した客観記事と、各大会の実行委員長によるやはり1ページの回顧エッセイ。さらにその年ごとに開催されたミニコンベンション、ローカルコンベンションもリスト化されているという、おそろしく力のこもった特集でした(これがのちに、商業誌〈SFイズム〉14号(1985年4月刊)「SF大会ハンドブック」の特集のもとになります)。
DAICON5の準備が始まった当時、ぼくの手元には先輩ファンから譲り受けた大会関係資料がある程度あり、できるかぎり刊行物やレポート類を参照したのですが、それでも一介の大学生ファンの集められた量には限界がありました。
あれから30年あまり、ファンダムの諸先輩に助けられ、さまざまな過去の資料に触れる機会をいただきました。その知識を得た上で、おそるおそる再読してみたところ、かつてまとめた内容は幸いにも、さして不正確ではなかったのだなあと胸をなでおろしたということもあり、その後、2015年のはるこんで企画「SFファンとSFファンダム史」(4月12日)に登壇するにあたって、皆さんの役に立つようであればと考え、会場で配布したものに若干手を入れた上で再録します。ネット上にある日本SF大会の年表などと見比べつつお読みいただけると有難いです。
DAICON5については、大会刊行物すべての編集長をつとめた出版局長・ 岡本俊弥さんの下記のページ「Infinite Summer SFをめぐる夏の物語」に詳しい ので、とくに大会の内側に興味をお持ちの方は、是非お読みくださいますように(2000年度「SFファンジン大賞」研究部門を受賞しています)。
http://www.page.sannet.ne.jp/toshi_o/sonota/SFcon_open.htm
なお2015年の資料配布にあたっては、はるこんスタッフで当該企画の担当者だったAMAB[あまえび]さんのお申し出に甘えて文字データを起こしていただきました。あのときはありがとうね。
またさらにその後、配信プラットフォーム「シラス」チャンネルで、ぼくもスピーカーとなった「菅浩江のネコ乱入!」2023年5月19日配信「SFファンダムとは(3)日本SF大会史」の関連資料としても配布しました。
ありがたくも、「残りの35年分もまとめろ」という声もいただくのですが、さて。
(小浜徹也)
(次回から本文)第1回は、
https://note.com/kohamatetsuya/n/ne2b761f71ff5