ラジオデイズ
先週の金曜日は憂鬱な日だった。なぜなら遠く離れた2つの銀行、郵便局に行き、面倒な手続きの数々を済ませなくてはならなかったから。
どこから先に行けば効率的なんだろう。慣れない街中の混んでいる道を思うと気が重い。
車に乗りこんでとりあえず出発。憂鬱な時は関係のない面倒なことまでさらに思い出すもので、車窓の風景が流れる中、小さくため息を漏らす。
運転中は考え事をしてはいけない。気分転換にいつもは聴かないカーラジオに手を伸ばす。
♬ I know it's a bad idea
But how can I help myself?
流れてきたのは心の曇りが拭われていくような好みのメロディ。どこか懐かしい感じもするけど知らないな。
60年代から90年代の洋楽が好きで、ビートルズからカルチャークラブ、イーグルス、デュランデュラン、オアシスなどなどヒット曲は殆ど聴いていたつもりなんだけど..と思いながらパーソナリティの曲紹介を待つ。
「今日はエド・シーランの新しいアルバムから『Eyes Closed』をお届けしました♬」
エド・シーラン!『イエスタデイ』の映画に本人出演してた人ね。
次々にエド・シーランの新曲が流れていき、銀行に着いた時には先ほどまでの憂鬱な気持ちはすっかり消え去っていた。
音楽で救われることってこれで何回目だろう。
大抵は好きな音楽を大音量で聴いて心を無にする。でもラジオから偶然流れてくる音楽も実は必然なのかもしれない。
あれから毎晩、Alexaに話しかけている。
「Alexa、ラジオをかけて」
クラシックやロック、ジャズが小さな音で部屋に流れ始める。日々いろんな思いはあるけれど、心を煩わせるのは他者との関係だろう。人の心に関しては誰もが無力だ。こじれたものはどうにもならない。相手の心も自分の心も。
深く考え過ぎないようにありのままを受け入れて時が過ぎていくのを待つだけだ。いつの日かお互いの心が変わっていくのか、または変わらないのかはわからないけれど...
♬Everything changes,nothing's the same,
except the truth is now you're gone
And life just goes on.
(全てが変わってしまった、以前とは何もかも...
変わらないのは君がいなくなってしまったことだけ
それでも人生は ただ続いていくだけなんだ)
Eyes Closed / Ed Sheeran
(アイズ・クローズド/ エド・シーラン)
※タイトルはスピッツの楽曲から。
♬ 新しくなっても 痛みを超えても
大人になっても 君を求めている
こんな雑草も花を咲かす 教えてくれたんだラジオ
したたかに胸熱く 空気揺らしてくれるラジオ
スピッツ『ラジオデイズ』