ARB の供給状況(8月1日現在)
こんにちは、皆様いかがお過ごしでしょうか。
医療用医薬品の供給状況が困難である状況は続いているのですが、最近、特定の降圧薬の供給困難が深刻になってきたと感じているのでまとめてみます。
情報元として、厚生労働省がとりまとめて公表しているデータを使用し、集計しています。(8月1日現在のデータ)
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬 (ARB)
ARB は血圧降下薬の中でも、臓器保護効果等もあることから、非常によく使われている医薬品の一つです。
日本では、7種類の医薬品が使用されています。
成分名ごと出荷状況
7種類のARBについて、成分名ごとに、「製造販売業者の「出荷対応」の状況」をまとめました。限定出荷については、一つにまとめて集計しています。
以前からの状況ではあるのですが、バルサルタンについては、通常出荷が20%ほどしかなく、非常に供給が困難である状況にあることがわかります。
バルサルタンの規格ごと出荷状況
前述のグラフでは、バルサルタンの出荷状況を製品規格ごとに集計したところ、58製品規格が、限定出荷の状態でした。さらに詳細を見ると、8製品規格は「自社の事情」、50製品規格は「他社品の影響」でした。
バルサルタン錠については、医療用医薬品の供給困難の始まりとなった品質不正に関係した企業での販売中止のほか、最近他の企業でも販売中止となることが発表されました。
現在の状況として、出荷が困難になった企業の影響を受けて、他社で供給状態が困難な状態にあると考えられます。
バルサルタン錠について、規格ごとに出荷状況をまとめましたが、特に、規格によって供給状態が大きく違う、ということはなさそうです。
供給停止の理由
成分ごとに、供給停止の理由を集計しました。
販売中止に伴う「薬価削除」が主な理由として挙げられていました。
限定出荷の理由
「他社品の影響」による限定出荷は、需要増が原因で限定出荷になっていました。
自社品の事情については、製造や品質のトラブルなどが原因でした。
医薬品供給困難問題につきましては、患者様をはじめとして、皆様に影響している重大な問題です。
上述のバルサルタンに関しましては、各社の体制が整えば、そうしばらくすれば安定してくるのではないかと希望的観測を持ちたくなる状況ですが、もし、あらたにARBを処方される場合は、他のARBを処方していただくこともご検討いただきたく、処方医の先生方には心よりお願いいたします。
これまでにも供給状況をとりまとめています。
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