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ロイコトリエン受容体拮抗薬の供給状況

今回は、ロイコトリエン受容体拮抗薬について、まとめます。

厚生労働省が取りまとめて公表している情報を集計して、グラフを作成しています。

ロイコトリエン受容体拮抗薬

これまでの経緯

ロイコトリエン受容体拮抗薬に関しては、非常に供給困難な状況が継続しています。

プランルカスト製剤

医薬品製造元の不祥事後、該当製造元にプランルカストの製造委託が集中していたことなどを受けて、プランルカスト製剤の供給は、極めて供給困難な状態が発生し、その影響は他社製品にも及び、供給困難が状況が継続しています。
2023年11月には、先発医薬品について、生産設備の大規模な更新対応のため、新たに供給困難のお知らせが出ています。

モンテルカスト製剤

プランルカスト製剤の供給困難を受けて、需要が集中したことで、モンテルカスト製剤も供給困難な状況が発生しています。

ロイコトリエン受容体拮抗薬の出荷状況

プランルカスト・モンテルカスとナトリウムについて、銘柄及び規格を全て合わせて、成分ごとに、製造元からの出荷状況を図1にまとめています。
プランルカストについては、通常出荷は1つだけで、ほとんどが限定出荷、それも他社品の影響で、需要増加に追いついていない状況であることがわかります。一部は、供給停止の状態です。

モンテルカストについては、通常出荷が3割のみで、こちらも供給困難な状況が見えます。
特に、気管支喘息のコントローラーとして、長期服薬が必要な医薬品であることもあり、薬局では調達に非常に対応に苦慮しています。

図1. プランルカスト受容体拮抗薬の成分ごと出荷状況

先発医薬品と後発医薬品の違い

次に、プランルカスト・モンテルカストナトリウムを成分として含む医薬品について、先発医薬品と後発医薬品で出荷状況にどのような違いがあるかと比較します。プランルカストを図2に、モンテルカストナトリウムを図3にまとめます。

後発品製造元の不祥事が医療用医薬品の供給困難問題の一端となったことから、品目によっては、「後発医薬品は入らないが、先発医薬品なら入る」という場合があります。
ロイコトリエン受容体拮抗薬については、前述の理由から、先発医薬品についても、供給困難な状況になっています。
プランルカスト・モンテルカストナトリウム両成分で、先発医薬品も供給困難な状況です。

図2. プランルカスト製剤の出荷状況 先発医薬品と後発医薬品の比較
図3. モンテルカストナトリウム製剤の出荷状況 先発医薬品と後発医薬品の比較

剤型の違い

次に、両成分について、剤型ごとに出荷状況をまとめます(先発医薬品と後発医薬品は合わせています)。

プランルカストを図4、モンテルカストナトリウムを図5に示します。

グラフの通り、小児なら大丈夫などということもなく、どの剤型についても、同様に出荷状況が悪く、供給困難な状況にあることがわかります。

図4. プランルカスト製剤の出荷状況 剤型ごとの比較
図5. モンテルカストナトリウム製剤の出荷状況 剤型ごとの比較


大事なこと

医療用医薬品の供給困難な状況ではありますが、患者さんの治療に支障をきたさないように、保険薬局では、医薬品卸とも情報交換しながら、なんとか対応しています。ご心配なことがありましたら、ご相談ください。
決して、薬がないからと、自己判断で休薬することだけは、絶対になさらないでください。

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