ちょっとずつ母親に ETV特集「塀の中で手にした“鏡”」
番組紹介
刑務所の一角に、女性受刑者たちが絵本を読む声が響く。
塀の外に残してきた子どものために絵本を選び、練習を重ね、録音した声をCDにして届ける更生プログラムだ。
絵本が親子関係をつなぎとめ、出所後の孤立や再犯を防ぐことが期待されている。
参加した6人は覚せい剤所持などの罪で服役する母親たち。自ら選んだ絵本を読む中で、まるで“鏡”と向き合うように自分自身を見つめ直していく。
子どもと再会するまで、1年の記録。
番組を見てボロボロ泣いてしまった。
テレビ(特にドキュメンタリー)を見て泣くことが多いのはHSP(繊細すぎる人)だからなのだろうか。
年を取れば誰しも涙もろくなるともいう。
いろんな人の苦労に身を重ねて共感できるようになるからだろう。
番組内容はこちらに詳しい。
「ハートネットTV」の放送内容を再編集(ボリュームアップ)して「ETV特集」で放送するって異例ではないか。
ゆりさんが最初に絵本を読みあげたときは棒読みだったが、指導役のノートルダム清心女子大学教授で児童文学作家の村中李衣さんとやりとりを繰り返し、自分の子どもが幼かったときを思い返して読むうちに感情のこもった読み聞かせ方になった。
村中さんと女性受刑者の交流もよかったが、仮出所したゆりさんが子供たちと触れ合いつつも複雑な心中を吐露する場面が印象的だった。
長女は「(ママに)どういうのになってほしいというのはそんなにない。隣におってほしい」と言ってるのに、隣にいるだけでも悪影響ではないかと悩むのが母親なのだろう。
ゆりさんが家族と連絡を断ち音信不通になったと番組内で紹介され、不穏な展開を予想したが、番組の最後で取材に応じ、絵本読み聞かせプログラムのワーキングシートを読み返しながら「ちょっとずつ母親になっていこうと思ってる」と口にしていたのでホッとした。
おそらくゆりさんは「母親になる」ことの責任の重さを初めて自覚し、受け止めたのではないか。
一つ気になったのは、ゆりさんが「昔の私だったらここにはいてないと思う」と発言した際のテロップが「昔の私だったらここにはいてない(戻ってない)と思う」になっていたが、これは「昔の私だったら再犯してとっくに刑務所に戻ってる」という意味ではないのか?
それくらい更生プログラムの効果があったという意味だと思ったが。
「(戻ってない)」というテロップの意味がよくわからなかった。
絵本の読み聞かせがグループワークなのもよかった。
刑務所では自由な発言は許されないが、このプログラムの間だけはニックネームで呼び合い、お互いの読み方を褒めたりして、自尊心を高めていく。
絵本の読み聞かせプログラムは子を持つ女性受刑者に限らず、中高年男性や少年の受刑者にも使えそうである。
情緒を取り戻し、感情の細かい機微に思いを至らせる機会になるはずだ。
受刑者でなくてもいい。お気に入りの絵本を手元に置いておき、つらいときや寂しいときに自分に読み聞かせするのでもヒーリング効果がありそう。
私の母はよく図書館の紙芝居を読んでくれたそうでその記憶はうっすらあるが、絵本の記憶はほとんどない。
有名な絵本も読んでないものが多い(大人になってから『おおきな木』や『はらぺこあおむし』を読んだ)。
図書館の絵本コーナーに出入りしてると職員に呼び止められないか不安だが、子煩悩な父親になりきって誤魔化そう(考えすぎ?😅)
子を思う母、母を思う子の心情がよくわかる番組だった。
*本日(7/26)24:00から再放送あります。ぜひご覧ください。