シンプル持論にしがみつく人たち 政治へのあくなき無批判性
最初に。
サムネイルの画像はネットから拾ったのであしからず😅
エリザベス女王の逝去に伴い、再び安倍晋三の国葬の是非が活発に議論されるようになった(以下、敬称略)。
今日の「報道特集」では偏りをなくすためか、国葬賛成派の意見も紹介していた(今まではあからさまに反対の姿勢だったから、やはり上層部からイチャモンがついたのだろう)。
その賛成派の3人はみな若年層で、2人は高校生、もう1人は20代だった(ように思う)。
彼らが賛成する理由は「憲政史上最長の総理大臣だから」「不慮な亡くなり方をしたから」というものだった。
それだけで何で16億もの税金を使うんだ?🤣というツッコミはあるものの、賛成派の思考パターンを自分なりに考えてみたい。
「若い人も選挙に行けば国が変わる」と言っている人がいるが、若年層ほど自民党支持なのだという。なぜなのか?
国葬にしても、反対を表明するには「なぜ」を説明するだけの知識がなければならない。
だから「モリカケサクラって何?」というレベルの人は迂闊に反対できない。
「どうせ受け売りだろ?」と馬鹿にされるからである。
賛成派の論拠はわかりやすい。「人が亡くなったのだから、お葬式をして何が悪い」という極めてシンプルな思考だ。
そこには国葬にすべきか自民党葬にすべきか考えた形跡はない。
「細かいことはわからないし、考えたくもない」からだ。
政治に無関心な人が増えて久しい。自分の身の回りのことにしか興味がない。ニュースを見ない。世の中の動きに関心がない。
政治のことはわからないから政治家が決めたことに素直に従う、というスタンスだ。
以前若い人と話していて、「知り合いでTwitterで政権批判を毎日してる人がいてダサい。『代わりにできるの?』って思う。私はできない。だから文句を言わないことにしている」と言われて腰を抜かしたことがある。
自分の専門外のことには文句を言わないというスタンスなら、外食してまずくても文句を言わない(調理師免許持ってないから)、タクシー運転手が道を間違えて大幅に遅刻しても文句を言わない(自分はタクシー運転手ではないから)ということになる。
他人のサービス一切合切にそういう思考ならわからなくもないが、どちらかというと他人の言動が気に食わないクレーマー気質の人だったから、不案内な政治においてのみ適用している考え方なのだろう。
今は何でも意見を求められる時代。どんな政治音痴でも、現在の首相が誰かすら知らなければさすがに仲間内から見下されるのではないか。
とりあえず何でもいいから自分を守ってくれる持論がほしい。
そして、その持論は「政治に無関心な自分でも守ってくれるもの」でなくてはならない。
そこで登場したのがシンプル持論だ。
「人が亡くなったのだからお葬式をして何が悪い」という発想である。
「葬式をすべきでない」という意見の持ち主を人でなしのように見なしてすらいる。
シンプル持論派は政治のことに不勉強な人間が大半なので、安倍晋三の「功績」などまったくわかっていない。
「歴代最長の総理大臣だから」とか、そんな根拠しか言えない。
世の独裁者はだいたい長期政権ですよ? プーチンや習近平が偉大なる指導者ですか?
一人でも「アベノミクスのおかげで日本経済がよくなった」と言ってくれれば私の見方も変わるが、安倍晋三が亡くなってからテレビで見た「街の声」で安倍の政策を褒めていた人は一人もいない。
第二次世界大戦中に日本人兵士が多く亡くなった硫黄島(だったか)の地面に安倍が跪いて詫びた写真がTwitterにアップされて、「こんなに国を思っていた方なんです」と書かれていたが、パフォーマンスでしかない。
国を思っていたなら、なぜ日本国民から金を騙し取ってる統一教会と結託しているのか。
安倍シンパは韓国嫌いが多いが、なぜか韓国の宗教団体に支えられていた安倍を崇拝している矛盾には無頓着だ。
「立憲や共産は朝鮮寄り」という思考がこびりついていて、統一教会と自民党がいくら強固に結びついていても取るに足らないと思ってしまう。
目の前の事実を見ようとしない、極めて危険な態度である。統一教会に騙されている信者と同じではないか。
シンプル持論派は「歴代最長の総理大臣だったから」以上の意見がない。
安倍晋三の政策の是非もわからないだろうし、仮にわかるだけの知性があれば賛成しているとは思えない。
ゆえに政治に詳しかったり関心のある知識人層が国葬に反対し、単純な論理でしか物事を見ないおバカ層が国葬に賛成するという構図が出来上がっている。
おバカと言われて不愉快な人は、安倍晋三の8年強にわたる功績が何なのかを説明してほしい。
それができないから単純な論理に回帰してしまうのだろう。
国葬反対派は「死者を悼むな」と言っているのではない。安倍晋三が殺されてよかったねとも思っていない(一部そういう人もいるだろうが)。
安倍は生きたまま在任中の不正に関する責任を追及されるべきだった。殺されてしまい、それらがうやむやになってしまった。
ただ、殺害によって統一教会問題が一気に露呈したのは日本の政治史において大きな前進だろう。
「国葬をしなかったら容疑者の思い通りだ」という意見も理解しがたい。
事件の加害者が何を考えていようが、国葬の是非はそれとは別に論議されるべきものである。
原発推進を主張するバスジャック犯が逮捕されて、「犯人が原発推進を望んでいるから原発は廃炉にすべき」となるだろうか?
いかにおかしな論理かわかる。
太田光やパックンといったテレビタレントが統一教会擁護のコメントをしてしまうのは、迂闊に批判したら降板させられるからだろう。
政界にこれだけ侵食しているのだから、メディアの上層部もどっぷりなのは想像がつく。
シンプル持論派はおそらく投票にも行っていないのではないか。
浅い持論で満足していて、掘り下げようという気はさらさらないのだから。
上が決めたことに黙って従うという思考回路なのだ。
彼らが好きなもう一つのシンプル持論は「野党は批判ばかりしていて提案をしない」である🤣
批判するというのは理想とするものと照らし合わせているわけだから、もう一つのやり方を提示しているのにそういうことにすら気づかない。
どうも蓮舫に代表される「うるさ型」の野党議員が彼らにはクレーマーとして映っているのではないだろうか。
上の人がやろうとしていることの足を引っ張っているという認識なのだ。
日常生活でもみんなが決めたことに不満をこぼすクレーマー気質の人はいる。
日頃そういう人に振り回されてうんざりしているので、野党議員の振る舞いも「大人気ない」「みっともない」と感じてしまう。
それに「野党支持」なんて言った日には「市民運動家」のように見なされる空気が若い人の中にはありそうだ。
立憲や共産を支持していると「青臭い」「ダサい」と思われる。
いろいろ問題はあるにしても自民党を支持するのが「大人の態度」なのだ。
彼らに聞いてみたい。なぜ自民党を支持するのか、と。
おそらくこう答えるのではないか。
「だって今まで自民党政権でずっとやってきて、それなりに国が回ってきたじゃないですか。なんで変える必要があるんですか?」