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アイドルカフェの松ぼっくり
アイドルカフェは、学内のラウンジで練習を行うことがある。メンバーにとっては、とても馴染み深い場所だろう。
椅子やテーブルもあり、休憩時にはそこで食事をとったり、会話を楽しんだりする。
そんなラウンジのテーブルに、いつ頃からか、松ぼっくりがおかれているのだ。私がその松ぼっくりを気にとめるようになったのは、昨年の秋頃である。
何度か目にするうち、前回もおいてあったな、と記憶に残るようになり、練習のたびにいつしか松ぼっくりの存在を確認するまでになった。そしてふと、松ぼっくりはいつからここにあるのだろう?と考え始めた。
そういえば、去年も松ぼっくりがあった気がする、と私は感じた。もしかしたらなかったかもしれない。確証はないけれど、なんとなくあったような気がしてきた。
私は6期さんや7期さんにも話を聞いて、「いつからラウンジのテーブルには松ぼっくりがあるのか」ということを確かめようとした。しかし、誰も知らなかった。
この松ぼっくりは誰が、いつから、どうしてラウンジにおいているのだろう? この謎は、もう解くことができないのかもしれない。
このことは以前、Twitterでも投稿した。どうして松ぼっくりなんか、と思う人もいるかもしれない。たいしたものではないのに、些細なことだろうと。
だが、だからこそ、私は松ぼっくりを意識し始めたのだ。
もしテーブルの上におかれていたのが花束であれば、私はここまで気にしなかった。いや、初めて見た時は驚いたかもしれない。けれど明らかに異質な存在があれば、誰かの忘れ物だろう、とそれだけで片付けてしまっただろう。
松ぼっくりは違う。松ぼっくりは、どうしてここにあるのだろう? と思いはするものの、そこにあることを自然と受け入れ、納得する存在だったのだ。松ぼっくりという些細な存在がゆえに、日常のものとして私は受け入れたのである。
日常にあふれているものと想い出が結びついた時、それは深く記憶に刻まれる。私は松ぼっくりを見るたびに、ラウンジでの練習を思い出すだろう。今年も来年も、卒業した後も。
松ぼっくりだけではない。アイドルカフェで踊った曲が街中で流れるたびにその記憶が蘇るし、誰かの好物を見れば思い出す。こんな風に、私の日常にはたくさんのアイドルカフェが溢れている。
私が松ぼっくりをわざわざ取り上げてTwitterでも話をしたのは、こういう想いからだ。先輩方も、松ぼっくりを見た時に、アイドルカフェのことを思い出してほしい。
とりあえず今年も秋になったら、私はラウンジで松ぼっくりを探そう。そしてもし見つからなかったら、その時は私が松ぼっくりをテーブルの上におこう。
もう松ぼっくりは、秋のラウンジに欠かせない存在になってしまったから。