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オーキド博士の言葉

我が子が、ポケモンに興味を持ち始めている。

初代ポケモンが登場したのは1996年。
筆者が小学校低学年だった頃、今の我が子と同じくらいの年齢のときだ。

それはそれはすさまじいブームが巻き起こり、ゲームボーイを既に持っていた私も、ポケモンが発売されてからその使用頻度が劇的に増えた。
家庭に1台しかなかったゲームボーイは兄弟で取り合いになり、親にねだってもう1台買ってもらったほどだ。
ポケモンをやっていない子供はほぼいなかったと言っても過言ではない。
現在では知らない人はいない、世界中に知れ渡る大ヒットコンテンツとなっている。

あの頃は、モンスターを集めて育てることがただただ楽しかった。
だが大人になった今、改めてポケモンを素晴らしいと思うのは、そのストーリーの奥深さだ。

初代ポケモンは、田舎町に住む子供が「ポケモンマスター」を目指し、旅に出て様々なポケモンを集め、育て、時には悪党とも戦いながら多くの人と出会い、最終的にはポケモンリーグに参加して優勝を目指すというシンプルにして熱いストーリー。

その物語を語るうえで欠かせない人物が「ライバル」だ。
彼は主人公と同じ町の住人、幼なじみである。

物語の始まりは、町にあるポケモンの博士、オーキドの研究所から。
オーキド博士は主人公とライバルにそれぞれ1匹のポケモンを託す。
実はライバルはオーキドの実孫なのだが、自分の孫だからといって彼を特別扱いすることなく、平等に二人の子供を見守ってくれる。

物語の進行中、ライバルは常に主人公の一歩先を進んでいる。
ポケモンリーグへの参加に必要となるバッジを集めるために各地のジムを訪れるが、どのジムに行っても、ライバルはすでにクリアしているのだ。
時折ライバルと出会う場面では、彼が「俺とにかく強いポケモンを集めまくっている」といった話を自慢げに話す。

そしてクライマックス、ポケモンリーグで最後に戦うのはこのライバルだ。
ラスボスとして、主人公の前に立ちはだかる。

死闘の末、ライバルを打ち負かすと、物語のエンディングが始まる。

その場で、オーキド博士は孫に向けて次のように諭す。

グリーン(孫の名前)よ……!
なぜ まけたのか わかるか?
…… …… ……
おまえが ポケモン たちへの
しんらいと あいじょうを
わすれとる からだ!
それでは どんなに がんばっても
トップ には たてんぞ!

そしてその後、勝者である主人公にはこう称える。

レッド(主人公の名前)!
ポケモン リーグを せいはしたのは
ひとりの ちから では ないことを
おまえは わかっとるな!
レッドと ポケモンの
ぜつみょうな コンビネーション!
みごと だったぞ!

信頼と愛情。
この二つが、ポケモンという作品における大切なメッセージだと理解している。

開発当時、ポケモンがここまでの世界的なヒット作品となることを予想していた開発者はおそらくいなかっただろう。

初代はバグも多く、ハードの制約もあり、グラフィックや機能には限界があった。
だが、151匹のモンスター情報をあの8ビットのロムカセットに詰め込み、さらにこれほど意義深いメッセージを伝えた開発チームの功績は称賛に値する。

大人になっても、このオーキド博士の言葉は重く響く。
ポケモンだけでなく、信頼と愛情がなければ、どんなに努力しても「トップにはたてん」という現実は、どの世界でも通用するものだろう。

仕事でも人間関係でも、仲間との信頼関係を築くことは欠かせない。愛情を持って物事に向き合うことも然りだ。

政治の世界ですら「まずは仲間作りから」なんてことが言われる。
これが出来ない候補者は、いくら能力が高かったとしても残念ながら選挙戦を勝ち抜くことはできない。

「信頼」と「愛情」。
ポケモンから学んだことを教訓に、これらのことを大切にしながら、これからも生きていきたい。

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