この土地って日本なの?
筆者には小学校低学年の息子がいる。
時折、鋭いというか、大人でも答えにくい質問を繰り出してくる。
ある時、突然息子が地球儀のある部分を指さしながら、こう聞いてきた。
「日本ってここにあるけど、北海道の上の方にある細長い島があるじゃん?これも日本なの?」
ムムっ。答えづらい質問だ。
彼が指したのは、ロシアとの間で領土問題が存在する樺太(サハリン)だった。
無邪気な質問に咄嗟にこう答えた。
「実は、日本には外国との間で『この島はオレのだ!』ってケンカしている場所がいくつかあるんだよ。君が指さした場所は、そんな島のひとつだね。その土地はロシアと争っているんだよ。」
分かりやすくこんな表現をしたが、厳密に言うと、樺太(サハリン)に関しては正確な内容ではない。
樺太(サハリン)は現在、日本が領有権を主張している土地ではない。
戦後の領土処理の過程で、樺太の北緯50度以南の帰属は未確定となっている、というのが日本政府の見解だ。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hoppo/hoppo_keii.html
社会科教科書出版社である帝国書院も、公式ホームページで樺太に関する説明をしており、現状を踏まえた解釈が示されている。
日本としてはこのような立場を取りつつも、樺太は南北含めてほぼ白人が暮らしているのが現状だ。
日本の領土だった時代があるとは言え、21世紀の現代においてはもはやその面影はない。
北方四島とは異なり日本が領有権を主張している土地ではないので、日本が強硬な姿勢を見せ、この島を日本の一部となるように動くことは、可能性としてかなり低いだろう。
ただ、争う姿勢を止めるわけにもいかない。
そんな感じで月日が流れているというのが、この問題の現状だろう。
大人の世界には、あえてグレーのまま残している問題が多い。
領土問題はその最たる例だ。
我が子もだんだんと、そんな考え方に触れながら大人になっていくのかと、しみじみ思う。