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時代は振り子のように

新型コロナウイルスの流行が始まった2020年初頭から、気づけば5年が経過しようとしている。

リモートワークの急激な普及、昭和の「モーレツ世代」の退場、人手不足による若年者の売り手市場化。
これらの変化により企業の優位性は低下し、強い立場の者が一方的に力を振るう社会は一見否定されているように見える。コンプライアンスの重要性はますます強調され、趣味や娯楽の多様化によって個々の価値観も広がった。
人材の流動性が高まり、「従業員エンゲージメント」などの新しい概念が生まれ、マネジメントのあり方が揺れ動いている。

こうした急激な変化に、振り子が行き過ぎているような不安を覚える。歪みが生じ、その反動が近い将来訪れるのではないかという予感を常に感じる。だからこそ選択を誤らないようにしたい。

福沢諭吉の言葉を借りれば、「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」。平等を説いているようで、この言葉の本質はむしろ不平等の現実を指摘している。彼はこう続ける。

ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり。

つまり、人生を切り拓くためには「学べ」ということだ。

しかし、現代における「学び」はかつてのように単純ではない。資格試験に合格することが必ずしも本質的な学びには繋がらないし、セミナーや大学院に通うだけでも結果は保証されない。

それでも、学ぶための環境は整っている。情報は容易に手に入り、理解や暗記を助けるツールも充実している。雑務の多くはテクノロジーで代替可能になり、学びに集中する時間は確保しやすい。

大事なのは、行動力と運、そして謙虚に学ぶ姿勢だ。
「計画的偶発性理論」という理論が最近注目を集めている。
個人のキャリアは偶然の出来事の積み重ねによって形成されるという考え方であり、不確実性の高い現代においては、まさにそのとおりだと感じる。

行動力の源泉は好奇心にある。
自ら壁を作らず、積極的かつ貪欲に学び続け、行動を重ねること。これこそが、振り子の揺れが生む変化の中で、自分自身を前に進める唯一の道だ。

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