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医学研究におけるcuration

curationという言葉を耳にしたことはありますか?
もともとはアートの領域で用いられていましたが、最近ではビジネス用語としても定着しているようです。
参考:https://www.hrpro.co.jp/glossary_detail.php?id=99

データを収集する中で、新しい価値観を付与するという文脈が、この単語が示唆する本質と思います。

このcurationという能力を医学研究に当てはめると、論文の中で引用する文献の選択とその解釈をする能力を指すのではないかと筆者は考えています。

特に、定説に沿わない(否定的な)結果を報告する際に、このcuration能力は必要とされます。なぜならば、その分野で王道的な先行研究を引用していては、自分が提示する結果とその考察が当てずっぽうに感じられてしまうからです。そうならないためにも、影に隠れてしまった研究から新しい価値を見出す必要があります。定説に沿った王道的な研究の中にも、あなたの主張を裏付ける重要な示唆がある場合もあるでしょう。

そして、このcuration能力を高めるためには、先行研究が示す仮説と結果を高解像度で理解する必要があります。先行研究のdiscussionで書かれた文面をそのまま和訳して引用するような、稚拙な引用を繰り返していては、このcuration能力は育たないのでは無いかと思います。上記のような引用の仕方は業界内で蔓延しているようにみえ、研究の質を落とす一因として危惧しています。

私自身、つい最近知った言葉なのですが、お気に入りの用語だったので、私見とともに共有してみました。感想などお待ちしております。


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