コースケコーチの出来るまで。8

さぁ、いよいよリトルリーグのチームに入る話だ。
3年生の2月、「豆まきがあるからコーちゃんもおいでよ」近所の同級生「ケンタ」に誘われ僕は再度リトルリーグに遊びに行った。

今回は普通に練習に参加しお昼はカレーライスを食べさせて貰い豆まきをしてお菓子を袋一杯にして帰った。
同級生がすでに10人位入っていて、誘ってくれた「ケンタ」や同じ学校の「ゲンキ」は特に上手で他にも何人かは1つ上の学年と一緒に練習をしていた。
別に、自分も上手くなりたいとか思う事もなくみんなと一緒に野球をする空間にいるだけで満足だった。

一人、優しいコーチがお昼時にバスの隣に座ってくれて熱心に勧誘してくれた。
僕もチームに入りたい事、両親が許してくれない事を話すと「俺が説得するから連れてきなさい」って言ってくれた。
帰る時にはユニフォームを一色持たせてくれて「入らなくても良いから持って行きなさい」と言ってくれた。

帰宅後紙袋に入ったユニフォームを母に見せ、再度リトルリーグに入りたい事を伝えた。
母は「パパが帰って来たら聞いてみなさい」と言った。
…ん?「パパ?」
そう、こんな爆裂親父をうちでは「パパ」と呼んでいたのだ。「パパ、ママ」令和の時代ではあまり違和感がないが昭和の時代は周りにはいなかった。
そのギャップが今思い出しても笑える…。
話を戻すが、仕事から帰って来た親父に「野球がやりたい」とユニフォームを見せながら話した。
「やりきれるのか?」と親父は言い「やれる」と答えると「ユニフォームを着てみろ」と言った。

生まれてはじめてユニフォームに袖を通してみるとズボンが短い…。
あれ?と思っていると親父が「ちょうどいいな」と言った。「どうみても短いだろ」って思っていると「野球のユニフォームは裾を上げるんだ」と言ってストッキングと呼ばれる靴下の上にはいている物を見せる様にユニフォームを上げてくれた。

晴れて野球少年の仲間入りを果たした所で今日はおしまい。

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