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この秋の新型コロナワクチン接種で使われるレプリコンワクチン「コスタイベ」について。

来月(2024年10月)から石巻でも接種が始まる新型コロナワクチンの一部に、新しく開発されたレプリコンワクチン「コスタイベ」が使われるという。色々な情報を勘案した結果、今回当院はこの秋の新型コロナワクチン接種は見合わせることにした。


これまで接種されてきた新型コロナワクチンはmRNAワクチンというワクチンであることはご存じの方も多いと思う。新型コロナウィルスが人の細胞に侵入するために持っている「スパイクタンパク」だけを合成させるmRNAをワクチンとして体内に入れる。


従来の説明では、ワクチンとして体内に入ったmRNAはただちに分解されるから安全、とされてきた。一方、mRNAワクチンの効果が長続きしないのはまさに同じ理由、つまり取り込まれたmRNAがただちに分解されるからだ、と考えられるようになってきた。あちらを立てればこちらが立たずと言うわけだ。


そこで、ワクチンとして入れるmRNAが容易に体内で分解されないようにしたというのが今回初めて実臨床で使われるレプリコンワクチン「コスタイベ」だ。レプリコンワクチンの場合は、一度体内に入れたmRNAは体内で自己複製をくり返し、長時間体内に留まるという。だからワクチンの効果が長持ちするというのだが、ちょっと待て。


そもそも従来、ワクチンとして体内に入れたmRNAはただちに分解されるから安全だ、と言われてきたのではないか。それなら、ウィルスの一部のタンパク質をコードしたmRNAが体内で自己複製を繰り返し、長く留まるなら、従来説明されてきた安全性の理由は覆るではないか。

iScienceという医学ジャーナルに報告されたこのワクチンの安全性試験を見ると、たった96人を対象に45日間経過を観たに過ぎない。このワクチンは従来のコロナワクチンとは大きく異なる点があるのだから、こんな小規模活痰期間の安全性確認試験では不十分だ。


次ぎに、新型コロナワクチンの効果が長続きしないのは、今のmRNAワクチンで体内に取り込まれるmRNAがすぐに分解されてしまうからというよりは、新型コロナウィルスが急速に変異をくり返し、数ヶ月前に打ったワクチンは既に次の変異株には効かない、と言うのが主な原因だろうと思う。


さらに、このワクチンはどういう製法であれ要するにウィルスを攻撃する抗体を身体に作らせるのだが、新型コロナウィルスは変異する度に抗体の攻撃をすり抜ける能力を驚異的に高めている。これも明らかにウィルスが変異する度に新型コロナワクチンが効かなくなった理由と考えられる。レプリコンワクチンも、「抗体を作らせる」という点では作用機序は同じだ。それなら、どんなにmRNAが体内で複製され長期間留まっても、どのみち作られる抗体をウィルスがすり抜けるなら、感染予防効果はさして期待出来ないだろう。


厚労省の発表によると、コスタイベのワクチンとしての効果の検証は2023年、δ(デルタ)株が蔓延していたベトナムにおいて16000人を対象に行われ、感染予防効果56.6%、重症化予防効果95.3%と報告された。しかしこの治験はδ株が蔓延している状況で行われたものであって、現在日本で流行しているオミクロン株に対する効果は現時点(2024.9.23)でまだ発表がない。新型コロナウィルスは凄まじいスピードで変異するが、とくにオミクロン株になって以来、ワクチンによって作られる抗体の攻撃をすり抜ける能力が比較的に高まった。従って、デルタ株が主流であったベトナムでの治験は現在日本で流行しているオミクロン株の変種に対する効果を証明しない。さらに、この治験が行われたベトナムすらこのワクチンを認可せず、今のところコスタイベを認可したのは世界中で日本だけだ。


このような状況を総合して、私は石巻市と石巻市医師会に「あゆみ野クリニックはこの秋の新型コロナワクチンを見合わせる」と通知した。なお、レプリコンワクチンであっても接種するのはスパイクタンパクを作るmRNAだ。mRNAやそれが作るスパイクタンパクが感染性を持つわけではないから、一部の人々が主張するような「レプリコンワクチンを接種されると他人にコロナウィスルを感染させてしまう」という主張には根拠がない。従って当院は、レプリコンワクチンを接種した人の来院制限などは行わない。


そもそもファイザーからもたらされた、コスタイベではない従来改良型ワクチンの「効能効果」にも「本薬剤の効果持続期間は不明」となっていて、私はそれを読んだ時点でかなり消極的になっていたのだが、さらにレプリコンワクチンが一部使われる,しかもそれは上に説明したような代物だということなら、少なくとも今回は見合わせた方がいい。安全性、有効性が共に疑問なワクチンは、市民に接種出来ない。

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