男女差別を一皮めくると
ある女性。とある会社の正社員。3人のお子さんが次々に熱を出す。その対応に追われて仕事が上手く行かず、「会社や同僚に迷惑を掛けている」ということを気に病んで心因反応や鬱状態を発症し、あゆみ野クリニックの心療内科を受診。
ところが、その人の夫も別の会社の正社員なのだ。ところが子供が熱を出したとき対応するのは奥さんだけ。夫は「仕事に穴を開けられないから」対応しない。
だけど今、奥さんの方は子供の対応を一人で背負ってまさに「仕事に穴が空いて」いるわけだ。
21世紀が始まった当初も、私は医者同士の夫婦で子供の面倒見るのは奥さんの方だけ、と言うのを何組か目の当たりにして、「どちらも医者として同じ社会的責任を負っているはずなのに、何故そうなるんだ」と疑問や憤りを感じていたが(なぜならそういう女医さんが私の職場にいて、お子さんが熱を出すと女医さんが突然休むことになるのだから)、2024年の今に到っても何も変わっていない、と言うことに、愕然たる溜息をついた。
男の医者は子供が熱出しても休んじゃいけなくて、女の医者は休んで良いのか。いやそれは何所をどう考えたって、説明付かないだろ。こう言うのって、たしかに男尊女卑とも言えるかもしれないが、逆に言うと男性だって被害者だ。自分の子供が具合悪いのに自分は仕事休めないから面倒を見てやれないということを「当然だ」とうそぶく男は多いだろうが、内心「俺だって具合が悪い子供の面倒を見てやりたい」と思う男性だって、たくさんいるはずだ。男だから我が子が具合悪くなっても休めないというのは、逆に男性に対する差別と言ったっていいんだ。
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