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石巻、あるいは地方都市の経営者が無知を飛び越えて殆ど気違いであること
ある患者。就労中に鬱状態になった。私が「休業を要する」という診断書を出したら、その休業中に会社の人間(社長らしい)が本人の自宅を訪れ、たまたま本人は外出していたのだが、居合わせた何も分からない老母に「この書類に本人のサインをしてくれ、いや代筆で構わない」と言って老母にサインさせた書類が、なんと退職届だった。
刑法第159条第1項「有印私文書偽造罪」だ。
それで、私がその患者を励まし、「そもそもあんたの退職届は違法行為によって偽造されたのだから、そんなものは無効だ。無効な退職届に基づいた会社の退職処分も無効だ」と説明し、本人はやっと事情を理解して石巻労働基準監督署にまずは「斡旋」を申し立てた、そこで石巻労基はその会社に斡旋をしますという文書を送付したが、なんとその会社はその労基の文書を無視した。労基が指定した期日までに、何の回答もしなかった。
既に石巻労基は本気モードに入った。そりゃ、田舎の地元企業が国の役所である労基(労働基準監督署は厚労省に属する国家官庁であって、県や市町村に属するものではない)という強制捜査権も逮捕権も持っている役所の文書を無視したらどうなるか、普通なら想像はきくだろう。
それなら労基がどういうものか、その馬鹿な会社にとくと思い知らせてやろうモードに入った。
しかし労基の斡旋の文書をガン無視するという事は、その会社の経営者は常識を超えて完全に馬鹿で無知なのだ。そういう、常識を超えた馬鹿な無知は時として手強い。従って今日私はその患者に、「100万じゃなくて3千万を要求しなさい。何故ならこれはもう労働審判になるのだから、弁護士に依頼する必要がある。もっとも3千万というのは言い値であって、最終的にはプロ同士の交渉で落ち着くところに落ち着くが、ともかく最初の言い値は3千万にしなさい」と言った。
もしその会社が労働審判の通知すら無視したら労基は強制捜査せざるを得なくなる。その時は、もともとの原因になった偽造された退職届について労基から石巻警察署に「事実照会」が出される。労基から事実照会が出れば、警察署も動かざるを得ない。有印私文書偽造は罰金刑はなく、必ず懲役になる。
社長さん、ムショ暮らしご希望ですか?そう言われて初めて、ああいう田舎の社長は自分がやったことがなんだったかを理解するのだろう。
是非思い知らせてやりたいものだ。