広西チワン族自治区と宮城県
中国に「広西チワン族自治区」がある。大方の日本人は知らないだろう。しかし実は広東省の隣だ。そこに三つの港があり、総称して「北部湾港」と呼ばれている。その北部湾港のコンテナ取扱量、貨物取扱量の伸び率は中国でもダントツだ。しかもそれは「元々小規模だったから」と言うだけで無く、コンテナ取扱量で言うと、なんと北部湾港は東京港を抜いている。広西チワン族自治区にコンテナ取扱量で東京港を稜雅する港があると知っている日本人がどれだけいるだろうか?
広西チワン族自治区は広東省の隣だから、中国の一番南で、しかも海に面している。従って、中国経済とASEAN経済を繋ぐのにはもってこいなのだ。しかしかつては全く振るわなかった。お隣の広東省が大発展しているのに、広西チワン族自治区は昔のままの趣だったのだが、実はコロナ禍時代、貨物取扱量を飛躍的に増やした。コロナ禍では人の移動は極めて制限されたが、貨物の移動は増え続けたのだ。
さて今、宮城県の主要な三つの港湾、つまり仙台港、塩釜港、石巻港も行政的には一体的に運営され「広域仙台港」になっている。しかしこの三つの港の貨物取扱高は?などと言ったら、お寒い限りだ。広西チワン族自治区の北部港湾に抜かされた東京港の足元にすら及ばない。
要するに、宮城県にある「広域仙台港」、つまり仙台港、塩釜港、石巻港をダイレクトに中国・ASEAN経済圏と結ばなければならないという事だ。いまや中国経済とASEAN経済は密接に関係し、一つの巨大経済圏を構築しつつある。中国経済のGDPが19兆6千億ドル、ASEANが4兆ドル。合わせるとざっと24兆ドル近い。アメリカ経済のGDPが26兆ドルだから、殆ど肩を並べている。ここに、東京などと言うちんけな町は無視して、ダイレクトに繋がることだ。中国ガーとか喚く人間はほったらかしてよい。中国・ASEAN経済圏は今やEUを凌駕し、アメリカに肩を並べる経済圏になった。なぜここと「広域仙台港」、そして「仙台空港」をダイレクトに結ぼうという発想が出てこないのだろうか。
まずは経済なのだ。経済が発展してこそ地域社会が活性化し、そうすれば自然に今地域に人々が困っている問題も解決する。人口が減り続ける中、医者や病院に来てくれと言っても無駄だ。まずは経済発展だ。そのためには東京ではなく、中国・ASEAN経済圏と直で繋がらなければならない。彼らにとって魅力的な条件を提示するのだ。地方都市は、そこを根本的に間違えている。