映像を通して持続可能な仕組みを若い世代に伝える、トランジションタウン小金井代表 梶間陽一さん
地球にエコな暮らし=エコビレッジを掲げ、人が問題なのではなく仕組みが問題だと力説する、映像作家でありトランジションタウン小金井代表の梶間陽一さんにお話を伺いました。
プロフィール
出身 東京都
活動地域 東京都
経歴 専門学校で録音・放送芸術などを学び、録音、音楽制作、コンサート制作、バンドマネージャ、ライブハウス・ブッキング、ミニFM放送局、等をやって仲間とリングワールドという会社を設立。その後、商業施設でのTV放送、映像展覧会などを手がけ、1996年、海賊TV放送イベントを仕掛ける(RESISTV)。その後、CS衛星放送でアート・ドキュメンタリー(NY,LONDON,東京)等を制作。 第1回・第2回エコビレッジ国際会議の取材、WEBへの掲載。第3回~4回エコビレッジ国際会議参加。2008年第1回EDE(Ecovillage Design Education)に参加し、全世界で進んでいるエコビレッジ活動とともに、トランジション活動の事を知る。2010年3月、仲間とともに小金井市に移住し、トランジションタウン小金井に参加。その後、トランジション・ジャパンにも参加。
現在の職業および活動 映像作家、トランジションタウン小金井代表、NPO法人こがねい市民発電(こがでん)理事、NPO法人トランジション・ジャパン副代表理事。持続可能な地域づくり=トランジションタウンの小金井地域で活動。トランジション・ジャパンの理事として、全国のトランジション活動の普及・啓蒙・広報活動に参加。とくに映像によるトランジション活動の見える化、に力を入れている。またトランジションの延長線上にあるエコビレッジの実現に向けて活動中。
座右の銘 一事をもって万事をなす(多目的の同時達成)
記者 よろしくお願いします。
梶間陽一さん(以下、梶間) はい、よろしくお願いします。
「誰もが楽しめるクリエイティブなコミュニティ=エコビレッジをつくる」
記者 どんな夢やビジョンをお持ちですか?
梶間 トランジションタウンのコンパクトバージョンであるエコビレッジをやりたいと考えています。トランジションタウンというのは、今住んでいる町を足元から変化させるもので、すぐに始められるのが特徴です。エコビレッジというのは、イギリスのスコットランドで始まったフィンドホーンという自然と調和した暮らしが元で、地域自給可能かつ地球が持続可能な暮らしを実現するものです。エコビレッジの実現は、今までと違う生き方や暮らし方ができる場所として東京近郊で考えており、色んなアーティストと暮らすことで創造性が刺激され活性化される、そんなクリエイティブなコミュニティが出来ればいいなと考えています。
「市民から始まる地域に根差した地球1個分の暮らし」
記者 エコビレッジ実現に向けてどんな目標計画をお持ちですか?
梶間 はい、地球が何個あれば持続可能なのかを数値化した、エコロジカルフットプリントが1.0以下の暮らしを目標に掲げています。2017年度の日本のフットプリントは2.9で(アメリカは5.0以上)、地球が2.9個必要な暮らしをしていることになります。フットプリントが1.0を越えることは、地球が持続不可能であることを意味しています。如何に地球が持続可能である1.0以下にするのか、そのためにはレジリエンス(柔軟性)の高い、地域に根差した地球1個分の暮らしができるコミュニティ=エコビレッジがたくさんできればいいと考えています。市民が動けば企業が動き、行政が動き、政治が動き、国が動くという構図なので、国が動くのを待つのではなく、市民から動いていくことが重要だと考えています。
記者 エコビレッジと10年近く継続していらっしゃる小金井市のトランジションとの繋がりについて教えて頂けますか?
梶間 はい、エコビレッジは一つの持続可能な社会モデル、トランジションはそれに至るプロセスと捉えています。手法はどちらもパーマカルチャーなどをベースにして、地域自給を目指す提案・実践活動です。トランジションを続けていけば、やがてエコビレッジになるとも言えます。トランジションは日本がアジアでもトップ、本格的なエコビレッジはまだ0で実現にワクワクしてします。エコビレッジをまず1つ作り、世界中がそうなることを願っています。
「市民を巻き込んで世界に発信」
記者 エコビレッジ実現に向けて、普段どのような活動をされていますか?
梶間 はい、エコビレッジの候補地を探して回ったり、トランジションタウン小金井の代表として、地元でできることをしています。具体的には、学芸大学の敷地を借りて、農作業に参加したり、自然エネルギープロジェクトのチームに参加して、自分達で資金を集めて太陽光発電を設置(=オフグリッド、電力会社から外れて自家発電)したり、トランジション合宿を開催したりしています。また、活動だけではなく発信も大事だと思い、当事者になって一次映像を発信したり、英語のテロップを作成したりしています。
「原発に依存しない生き方がエコビレッジだった」
記者 エコビレッジ実現に目覚めたきっかけを教えてください。
梶間 元々ハードロックが好きで、レッド・ツェッペリン、ローリング・ストーンズ、ザ・フーなどをよく聞いており、音楽はハートにダイレクトに訴えられると感じ、CMの音楽制作会社に就職しました。ロック歌手のスティングがアマゾンの自然危機を訴えに来日する機会があり、打診してSOSアマゾンツアーに同行取材できることになり、海外の環境問題を意識するようになりました。2006年、六ヶ所村の核処理に関する映画『六ヶ所村ラプソディ』を見て日本の現状にショックを受け、社会に対する憤りが生まれ、社会を変えようと原発反対運動に参加するようになりました。
原発反対運動に参加する中で、ザ・フーの言葉、"Meet the new boss, same as the old boss"「新しいボスに会ってみろ。昔のボスと変わらない」(=問題なのは人間ではなく仕組み)が思い起こされ、反対運動では止められないことを悟り、原発不要のエコロジータウンのようなものを作れたらいいなと考え始めました。2006年7月にフィンドホーンを訪ねた人と出会い、エコビレッジに興味を持つようになりました。2005年11月、新たに映像発信を手掛け始め、2008年、発信だけでなく何か活動も出来たらとEDE(エコビレッジ・デザイン・エデュケーション)という教育プログラムを受けて、日本にトランジションを導入した榎本英剛さんと出会いました。導入の難しいエコビレッジに対し、すぐに始められるトランジションに魅力を感じ、2年後、日本でトランジションが始まった場所(藤野、小金井、葉山の3ヶ所)である小金井市に移住して今に至ります。
10年続けてみて思うのは、諦めずにやるのが大事で、ティッピングポイント(臨界点)、100番目の猿(100匹目の猿現象)、のように継続していれば良いことが起こります。また、活動しつつ発信することが、今できるベストのように感じています。
記者 最後に読者へメッセージをお願いします。
梶間 バッドニュースが多い昨今ですが、こんな時代に生まれた、なんてこったと悲観するか、時代を変革する原動力、エキサイティング・ワクワクに変えるのか、どちらを選ぶかは自分次第です。
記者 より多くの人にトランジションタウンを実践してもらえることを願っています。本日はありがとうございました。
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梶間陽一さんの詳細情報についてはこちらから
↓ ↓ ↓
HP
●ResisTV
●トランジションタウン小金井 代表
http://ttkoganei.exblog.jp/
https://irukarma.wixsite.com/ttkoganei
https://www.youtube.com/watch?v=HySbrHZ4RLE(5’39”)
●NPO法人こがねい市民発電(こがでん)理事
http://kogaden.jimdo.com/
https://www.facebook.com/kogaden/info?tab=page_info
●NPO法人トランジション・ジャパン副代表理事
http://transitionjapan.net/
https://www.facebook.com/transition.japan/
●Enowa Project(笑の輪)
主な作品
●トランジションを生きる~地域でつながるコミュニティの10年~(Digest版 4’56”)
●未来紀行~先進のエコビレッジとトランジションタウンへの旅~トレーラー(Digest版 5’30”)
●ツキアカリヲアビナガラ(4’24”)
~編集後記~
今回記者を担当した細井と森川です。
エコビレッジ実現を掲げ、石油や原発に依存しない、地域自給率100%の暮らしづくりを、諦めずに10年も実践し発信し続けていらっしゃることに感動致しました。その10年の活動があったからこそ、今ニュースで持続可能な社会が注目されているように感じます。諦めない心・実践し続ける勇気で、人との繋がりを大切にして、新しい未来をつくっていきたいです。この記事をきっかけに、この指とまれで梶間さんに出会ってもらえたら嬉しいです。貴重なお話をありがとうございました。
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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36